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June 28, 2007

『憑神』浅田次郎

テーマ：今日どんな本をよみましたか?(91891)

カテゴリ： ♪本の覚え書き♪

気風のよいしゃべりも効果的で、浅田さんの人生観に胸のすく思いと心温まるものが広がりました。

貧乏神、疫病神、死神というとんでもない神様を呼んでしまったどこまでもついていない彦四郎なのですが、それでもどこかで救われている気がします。それもこれもひたすらに忠義に生きる律儀な性格ゆえの人望。

その律儀さに貧乏神も疫病神も思わず涙してしまうほど。
新選組も活躍した幕末。何を信じどう生きてゆけばよいのかさえわからなくなっているこの時代を生き抜く姿を描いた物語はたくさんあろうかと思うのですが、現代を生きる私としては「そんなことに縛られて忠義立てしても幕府はなくなるのに…」という悲しい未来が見えてしまって、どこかで冷めていたのですが、この物語は違いました。
お家のためだなんだと自分の境遇は二の次にして生きている人たちですが、浅田さんの描く彦四郎の考えは、根幹太く一直線に伸び疑念など与えないとても胸のすく生き方として語られていました。こういう生き方はありだと思えたのです。

しかも浅田さんは、とんでもない神様とはいえ神は神。そんな神様を相手に人間の方が勝っていると彦四郎に言い切らせます。
何者も恐れず自分の意見をはっきりと言い放つ。私にはとてもできないことだと感じました。なぜ私にはできない、と思ったのか…。考えさせられました。

そんな彦四郎だから、後半に入る頃には大好きになり、その父親振りにも感動し、彼のその後をいろいろと推測してゆくのですが、そこは浅田さん。驚きの結末でした。。。

今、妻夫木くんが主役で映画が上映されているようですが、内容はこの本通りなのでしょうか…。
だとしたらいい話だなぁ。。。
妻夫木くんかぁ、疫病神と一緒に泣けちゃうよな。。。

どこかで必ず泣けてくる浅田さんの作品たちなのでした。

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