やっぱり本が好き♪

< 新しい記事

新着記事一覧(全1221件)

過去の記事 >

May 8, 2008

『幕末不戦派軍記』野口武彦

(2)

テーマ：今日どんな本をよみましたか?(91833)

カテゴリ： ♪本の覚え書き♪

名だたる英雄が現れた幕末の戦乱期にこんな男たちが本当にいた！酒を飲み、たらふく食い、姫廻りにうつつを抜かす世にも太平楽な四人組。大きな歴史の流れとともに語られる、もうひとつの“真実の”物語。

それらの日記を元に物語がつくられています。当時の日記もそのまま紹介されていて、この物語の現実感も紹介されています。当時の一般の人の日記って意外に残っているものらしいです。

今の世と同じに人は笑いを求め軽いジョークを飛ばし、楽に楽しいことへとひかれてゆく。
だからこそコネや立場に乗じた態度もとり野太く生きていく。そんな今とは変わらない人間というものが見えて、幕末だからって誰も彼もが戦いいきまいていたはずはないんだよね。と思わせてくれる本でした。

この日記を残した武士は当時武具や馬具の管理をする同心。戦争のたびにいろいろな用具をそろえ、そのたびに色を手にしたり手厚いもてなしを受けたりして世を渡っていました。

幕府側の旗色が悪くなり始めた頃戦にも加わるようになるのですが、これから大変な戦になるのだからこそわずかな間を惜しんで享楽にいそしむ、女性を求めるなどなど歴史の中で奇麗事を並べただけの物には留まらない人間くささが感じられます。

勝海舟の無血という平和主義の歴史上のひとコマも実はそうでない事。家茂、慶喜の育ちようや人となりがうかがえる戦況や行動も見えて、そんな上を持った家臣の現状が情けないやら悲しいやら。

そして歴史は繰り返す

笑いに包まれていながらそんな一言が重く残る貴重な一冊なのでした。

お気に入りの記事を「いいね！」で応援しよう