やっぱり本が好き♪

< 新しい記事

新着記事一覧(全1221件)

過去の記事 >

August 26, 2008

『おそろし　三島屋変調百物語事始　』宮部みゆき

(6)

テーマ：今日どんな本をよみましたか?(91891)

カテゴリ： ♪本の覚え書き♪

他人に心を閉ざした娘、おちか。

実家である川崎宿の旅籠で起きたある事件をきっかけに、人に心を閉ざした17歳のおちか。叔父・伊兵衛夫婦が神田三島町で営む袋物屋「三島屋」に身を寄せている。おちかを案じた伊兵衛は、いつも碁敵を迎える「黒白の間」で、人々から「変わり百物語」を聞くようおちかに言い付ける。人々の百物語とは？おちかの事件とは？恐ろしくも不思議な物語はおちかをどうかえてゆくのか…。

私の中で、今年一番の本

と言っても過言ではなかったです！

物語の最初の方でちらっと語られているようなことも後半ですべて明らかになる。どんな些細なことも読み逃すと損！丁寧に読まなくちゃと思わされる物語です。

不思議で恐ろしいことも語られているのにどこか温かい。。。

宮部さんの人となりなのでしょうね。

まず百物語とは。。。
百人が一つところへ集まり一人一つずつ不思議な話をして、ひとつ話し終えたら百本のろうそくを一つ消していき、全部語り終えると本当のお化けが出る。というものです。

この百物語をしに来た一人目からそれはそれは心の底に響くようなこわいお話です。

二人目がなんともこれまた恐ろしいひとの不思議な話。

解決法もなくただ聞くおちかは恐ろしいことをため込むばかりなのではないかと心配になるくらいです。
しかしおちかのまわりの心やさしい人たちによりちょっとずつ救われていく…。

中でも母から娘への帯に込めた思いは打たれました。。。

不幸な出来事はおちかばかりではない。自分のせいだというのはまちがいだ、どうしようもなかったことなんだ。

そういうことを説明くどくなく丁寧にやさしく感じさせる。いろいろな人にもどこか当てはまり救われる。
宮部さんらしい時代小説なのに社会派を感じさせるような怪談話。なんて多才なんだ～♪

毎回宮部みゆきさんの本を読むと「あの事件がきっかけでこの本を書いたのかしら」「こんな世の中にこう思ったのね」「この風潮に対する宮部さんの考えなのね」と、いうことがとても感じられます。そう宮部さんの本はとても『今』なんです。

今回の作品は同じ会社、大沢オフィスの三人（大極宮）の一人、京極夏彦さんの影響が大きい気がします。先日終わってしまった京極さんの『怪ラジオ』に数回出演されたこともあったし、京極さんは怪談話一筋?!というくらいの人だし、今は夏だし（笑）。そんな怪談話の中でも宮部さんがこの百物語を選んだところがいいですね。
私の中では最近森鴎外の百物語を読んだこともあってさらにリアルでした～。

おちかの経験してしまった不幸な出来事もこのところよくニュースで見る悲しい事件でもあ
りました。

宮部さんの新訳百物語心に残りました♪♪♪

これ、あまりアイドルとか使わないＮ○Ｋでドラマ化されないかな。。。
いぃ～話だからぜひぜひ２時間くらいの映画などにはせず、丁寧にドラマ化して欲しい。と思う私です。

以下は本文抜粋です。読んでいない方はご注意ください。

☆。.:*:・'゜★。.:*:・'゜☆。.:*:・'゜★。.:*:・'゜☆

　ある時突然、見たこともないような形の不幸の雲がやってきて、ただ見とれているうちにずぶ濡れになって雷に打たれて、何もかも打ち壊されてしまった。そういうことだったんでございますよ。

亡者はおります、けれどそれに命を与えるのはわたしたちのここでございますと胸の上に手を置いた。同じように浄土もございますよ。

お気に入りの記事を「いいね！」で応援しよう