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[埼玉県] カテゴリの記事
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東武伊勢崎線飲み歩き(松原団地篇) その2
先日，松原団地駅で呑んだのは駅の東側だったので，今回は西側の散策から始めようと思います。駅を出た瞬間深い失望を感じます。東武伊勢崎線の多くの駅で感じた失望と同様、再開発の波には打ち勝てなかったのかきれいに整備された―それは生活感の希薄さを意味しもします―殺風景な画一化された景色が広がるばかりでとてもひとりであてもなく歩いてみる気分にはなれませんでした。再開発の進む町を訪れる場合は、事前に調べをしておくといくらか興が削がれることがあるのは確かですが、それでも多少の下調べをして最低限の目的を設定しておいたほうが、歩き回る張り合いができるようです。やむをえずまたもや東側に酒場を求めることにしました。 といってもさほど多くの酒場があるわけでもなく、先日見掛けていてかなり繁盛しているように思われた(実際、立飲みの「たぬき」の常連があれっ、「鳥平」に行ったのかと思った、とさほどあるわけではなさそうな選択肢のひとつとして認知されているので悪い店ではないという印象を持っていたのでした)。というわけで「焼鳥 鳥平」の暖簾をくぐることにします。この夜もかなりの盛況ぶり。カウンターはさほどでもありませんが、50名ほどは上がれそうな座敷はほぼ満席となっていて、しかも入れ代わり立ち代わりの状態です。こじんまりとした店を想像していたのですが、思いがけないオオバコでした。店のスタッフも焼場担当の主人を中心に5,6名ほどの方たちがてんやわんやと大忙し。賑やかな店でひとり呑むのはぼくだけと幾分気まずさも感じながらちょっと可愛くて愛想のいい女性スタッフにチューハイと焼鳥を注文します。お通しには、枝豆豆腐・甘海老・カニカマ・さつま揚と材料そのものを切って出しただけですが、なんとなく華やかでしかも呑兵衛好みするつまみにうれしくなります。大衆的なお店としては焼鳥1本140円はちょっと高いかなと思ったらこれがなんとも大きくてびっくり、しかもちゃんと肉の味も濃いのでした。これは客が入るわけだ。普段使いにはもってこいの焼鳥屋に出逢えてひとまず満足しました。 続いてはほぼお向かいにある「喜作鮨」にお邪魔することにします。寿司屋なんてめったなことでは立ち寄らないのにどうしてまた暖簾をくぐる気になったのかというといくつかの理由があります。ゲームセンターのようなけばけばしい(といってもやや控えめではありますが)ネオンサインで飾られている入口の上に掲げられた看板はとても一般的な寿司屋とは思えません。正直ちょっと下品だなあと思わさせられますし、実際普段であれば忌避すべき対象ともなりそうですがこの夜はちょっと安全性の高い焼鳥屋からスタートしたのでちょっとした冒険心が芽生えたのでした。また、鮨の屋号を付けてはいるものの、ろばた焼も併せて提供していることが看板から知ることができたのでさほど心配することもなさそうです。窓から店内の様子がいくらかうかがえるのですが、ろばた焼のコーナーは焼場をぐるりと囲んだカウンター席になっているようで、一風変わっているように思われて俄然興味がわいてきます。入り口前にはサワーが280円からと価格も明瞭なのも背中を押す要因となりました。店に入ると手前にまっすぐと伸びる寿司カウンターがあり、中ほどはテーブル席と窓から見えていたろばた焼カウンターがあります。迷わずろばた焼カウンターに向かいました。客の入りはまずまずでこれなら全然心配する必要はなさそうです。お通しの豆サラダ・チクワキュウリ・揚魚(ちっちゃいの)がいずれもちょっぴりと上品な量が幾分下品に盛り付けられています。味もなんだかまずいんだかそうでもないんだか、まああくまでお通しですから、昔のチェーン店居酒屋の劣悪なお通しと比較すると問題ありません。里芋の揚げ出しなんかはまずまずの味で、量もありました。同じろばた焼コーナーで呑んでいたおっさんたちは1貫100円からの鮨を2,3種類ほど注文していて和風料理のファミレスみたいな使い方がされているようです。2階にはどうやら宴会場もありそうなので、地元の企業の宴会などで重宝されているのではないかと思われました。
2013/05/20
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東武伊勢崎線飲み歩き(松原団地篇) その1
徐々に開発を進めている東武伊勢崎線沿線の各駅周辺酒場ですが，なかなか行けずにいる駅もいくつか残されています。北千住で東武伊勢崎線に乗り換えるとまずは久しく下車していない梅島駅がぼくを誘惑します。ただし車窓の風景を眺める限りでは格別変わった様子も見られないのでさらに先まで乗車することにしました。草加駅でも本腰を据えて呑んだことがなかったのですが，眺められる風景は再開発後ののっぺりした町並みです。ここは多少リサーチしてから出直すべきと判断し，さらに一駅先に進みます。きっと寂れた町であろうし，だとしたらきっと気に入るような酒場もあるはずだとの確信がありながら億劫がってなかなか足を運べずにいた松原団地駅に到着しました。 早速本能の命ずるままに東口を歩き出すとロータリーを越えてすぐに立飲みの文字が，もちろんお邪魔することにします。簡易的な掘っ立て小屋のようなお店にビニールの入口をくぐってはいると，食券の販売機があります。ほとんどの酒と肴は200円のようです。食券に200円の本日のおつまみみたいなのがあったので，何があるか分かりませんが適当に購入。狭いカウンターの後ろを通ってカウンターの奥に進みます。奥のスペースもかなり狭くてせいぜい7,8人も入ったら目一杯になりそう。こういう狭くて怪しげな立飲み屋があるなんてうれしいですね。250円の肉じゃががうまそうだったので50円玉を添えて注文します。量もたっぷり盛ってくれて甘しょっぱいので酒が進みます。ほどなくわかったのですが，誰も食券機は使っていません。なので，お替りはぼくも声に出してお願いしました。狭い店はあっという間にほぼ満杯になってしまい，大いに賑わいます。楽しい立飲み屋さんでした。うっかりしていましたがお店の名前は「たぬき」というようです。 駅前の通りをまっすぐ進むとかなりくたびれた様子の「とんよし食堂」がありました。店頭で耳を澄ましてみても客の気配が感じられませんが，いつものことながら迷わずお邪魔します。客の気配がないと思ったのは気のせいで，かといって繁盛しているわけではなくおばあちゃんがひとりだけ。テーブル席と2人掛けテーブルの並び細い小上がりがあります。うらびれた感じが居心地いいです。お酒を軽くお燗してもらい，きんぴらなどの軽い惣菜をお願いしました。これがしょっぱい味付けで酒がついつい進んでしまいます。しばらくすると常連のおばちゃんが登場，店の奥さんと親しげに会話をはじめます。続いてはくたびれたサラリーマンのおっさん，客の入らないよからぬ店かと思いきや細々と商売できているようです。店の方から食事しないと言ってもゆっくりしていってくださいと言ってもらったので，お言葉通りゆっくりと過ごさせてもらいました。特にどうってことのない食堂ではありましたが、身近にこうしたのんびりとひとりの時間を過ごせるお店があるのって、松原団地の方たちがなんだかうらやましく思われました。お二人のお客さんは、ひとときをこちらで過ごしてから松原団地を目指すのでしょうか。もしかしたらお店の方たちもご近所さんなのかもしれないなとひとり空想するのでした。品書:酒:350,きんぴら/おしんこ/冷奴:200,揚物：430～
2013/05/13
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川口の西口で呑むことは可能なのか？
ここんところ西川口や赤羽に行って、なぜだか急に京浜東北線が楽しくなってしまい、実に久しぶりの川口にて下車。これまであまり縁のなかった東側を目指しますが、駅前の光景を目にした途端、とても酒場を探すという気分にならず(新築の高層マンションが立ち並びとても居酒屋が立ち入る隙もなさそう)、今すぐにでも飲みたかったので西側に踵を返したのでした。西側の探索はまたの機会にします。 ひさびさに，東側の駅前路地裏にあった場末っぽい雰囲気を留めていた立飲み屋に向かいますが、あれあれ見当たりません。見落としてしまったのでしょうか。あまりうろうろするのも面倒なので、目に留まった店に入ってみることにします。 目に留まったのは「食事処 酔来処(よっこいしょ) 川口店」です。1,000円セット(生中+サワー(ホッピー)+とり竜田揚と枝豆+刺身二点盛):1,000円[月～木]というのがあったのがその理由。店は典型的な居酒屋の造り。奥の洋風な座敷席には明かりが付いていません。それでも土間部分にはほぼ客が入っていてそこそこ盛り上がっています。テレビではWBCが放映されていてみなそちらに気を取られているようです。セットをオーダーして生ビールで一息つきます。ここのセットもなかなかお得です。最初にうっかりとホッピーをオーダーしてしまいましたが，セットにはホッピーも含まれているので変更してもらいました。なので，とりあえずホッピーから生ビールにチェンジして呑み直しです。ひとりならこれだけで充分楽しめます。中を追加してお勘定。ありふれた居酒屋ですが，ゆったりのんびりと呑むことができました。品書:ホッピー:480(中:200) 続いては，駅前通りにひっそりと営業している「炭焼やきとり 彩家(SAIKA)」にお邪魔します。チェーン店っぽい屋号ですが，そうではなさそうで，恐らく以前は喫茶店だったんじゃないかという内装です。そんな雰囲気なのでこんな店でほんとに大丈夫かいなとやや不安を覚えますが，これが意外や意外，焼鳥など値段を考えるとかなりのものです。若い店主なのになかなかやるなあと感心させられます。サラリーマンの父親とその息子さんがカウンターのはじっこで楽しげに夕飯がてらのんびりくつろいでいます。店主も会話の輪に加わりながら和気藹々とした和やかな雰囲気が漂います。ぼくはぼくでこの父子のことをあれやこれや思いをはせて飽きずにのんびりしています。あとのお客さんは入口付近のテーブルで激論を交わす2人組だけで，勘定前にカップル1組が入店しただけです。川口では良心的なお店だと思うので内装をなんとかしてもう少しお客さんが入るようになることを期待します。品書:チューハイ:290,焼鳥2本:180～,ひややっこ/オニオンスライス:200
2013/03/29
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またまた西川口で場末を感じながら一杯
西川口にまたまた下車。京浜東北線に乗り込んではみたものの思案に暮れてしまい、煩悶しているうちにいつまでも悶々としているのにうんざりしたので飛び降りたのがまたまた西川口というだけであって特に目的があったわけではありません。さて前回は東口だったので西口側にするかそれとも前回ちょっとよかった東口側にするか、悩むのも面倒なので前回行った店の東口側の駅前通りの反対側を散策することにしました。 「立ち呑み やまだ」というお店です。キャバクラなんかのソフト風俗店が入居する雑居ビルの1階にあります。扉をくぐり細長い通路を進むと、人気もなく、もしや蟻地獄に引きずり込まれているのではないかという不安感が若干首をもたげます。といっても細長い通路の先にはモダンなテーブルとスツールが見えるのでさほど危なげな店ではなさそう。もちろんそれが蟻を誘き寄せるための罠でないとは言い切れませんが、後に引くのも面倒。その突き当りは想像通り―というか細長い通路の先にテーブルだけが置かれているわけはないのは当然なのですが―奥には女王蜂の巣のようなスペースがあって女王蜂のほかに従業員とも友人とも判然とせぬ女性2名と子連れの男性1名というのがなんとも奇妙。取り急ぎ飲み物を眺めてなんだか一番安い枝豆なんかも頼んだりします。応対はまったく普通。ただぼくを除く4名とときおり存在感を醸すお子ちゃまだけで交わされる会話の内容がなんだかよくわかりませんが、あんまり穏やかではなさそう。しらっとした顔をして枝豆をつまみながら、ウーロンハイをぐびぐび、ああ、こういう場合にぐびぐびはいかんだろうと思いながらもついつい間が持たずにあっという間に近寄ってきた従業員とも友人ともしれぬ女性の1名にお替りをお願いしたのでした。非常に明快な会計なはずなのになぜだか計算が合わなかったのは、ぼくの計算能力に問題があったのだとは思いたくないものです。品書:サワー:320,ホッピー:450(中:200),酒:350,チーズサラミ:300,玉子焼/お新香:250,枝豆:200 はるばると駅を背に進みますがこれといった酒場はなし。このまま進んでも埒が明く気配はないし、ゆっくりと酒も飲みたいし、腹も減ってるので通りを渡って、仕切り直しです。駅に引換し歩いていくと「やきとり いわき」というまさしく好みのタイプのくたびれた焼鳥店がありました。これは入らないわけにはいきません。店に入ると高齢の方が3名。店の老夫婦と客はさらに恒例と思われるじいさまがL字のカウンターにつっぷしています。よく見るとつっぷしているわけではなくカウンターに広げた新聞に読みふけっているようです。てっきり昇天しているのかと思ってしまうほどに微動だにしなかったので勘違いしました。ご主人は幾分不自由なところがあるようで女将さんが激励しつつ主人を支えています。とても濃くてでかいチューハイをすすりながらとりあえず、切れてるチーズをお願いします。ようやく揃った2品でようやく落ち着いて飲むことにします。酒さえあれば気分も落ち着くもの。落ち着いてみれば店内は案外手入れされていて幸か不幸か案外こぎれいです。女将さんの掃除が行き届いているのだと勝手に思い込むことにします。女将さんもややたどたどしくはあるもののご主人もこちらを気遣ってくれて時折おしゃべりしてくれたりしてたのにはうれしくなります。ただそばで腰掛けるじいさんは最後の最後まで注文を含めて一言も発しなかったのでした。品書:ホッピー:350,酒/チューハイ:250,焼鳥:80,さば:300,煮込:260,切れてるチーズ/おしんこ/きむち:160
2013/03/19
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西川口にはやはり安酒場があった
ひさしぶりに西川口にやってきました。西川口駅は川口オートレース場の最寄駅(かつては戸田競艇場のも最寄駅でもありました)です。勝ち組の帰宅客を目当てにした、小さな歓楽街にすぎなかった西川口ですが、赤羽の再開発に伴いピンクサロンなどの店舗が次々に移転してきたことで週刊誌やタブロイド紙を通じて評判となったようです。大規模な風俗街としての歴史は短く、吉原にも匹敵すると言われた風俗街も数年後には違法風俗店の摘発などの浄化活動によりかつてのダーティなイメージを払しょくするのと引き換えに活気を失った町となったのでした。そんな川口ですが、酒場では相変わらずアブナイ雰囲気が横溢していることがあります。いつか西川口の立飲みの有名店「やきとり次郎」の西口店で、アル中なんだか薬が回ってるんだか判然としないオヤジが唐突に暴れだして仲間のやはりオヤジをいきなりぶん殴って、一転ぼこんぼこんにされた挙句、まあ仲良くやろうやなんてほざいたりして、見ているこちらは冷や汗ものでした。東口店は買い物帰りの主婦が目の前で発車する路線バス待ちで生ビールが注がれたジョッキを片手に焼鳥をつまんでいたのとは好対照です。 「立酒 ハチ公 西川口東口店」に向かいます。東口から徒歩1分の至近距離にあって清潔なこざっぱりとしたお店です。店の外壁にはハチ公の作り物が張り付いていてなんとなくユーモラス。西川口東口店とあるのでチェーン店なんでしょうか。表情にやや乏しいけれど丁寧でちょっと品の良さを感じさせるお姉さんがお店をひとりで切り盛りしています。客の入りはぼちぼちなのでなんとかひとりでもやっていけるのでしょうか。キャベツのお通しが串揚げ屋さんらしく、100円であれば文句はないのですが、おでんも売りの品のようなのでおでんに生キャベツは違和感があるのかも。串揚げを頼まなければ出されないのかしら。値段もしっかりと立飲み価格なので、学生らしき若者2名も安心して利用できるよいお店でした。品書:生ビール/酒:400,チューハイ:250,おでん/串かつ:100～,冷奴:150,まぐろぶつ/ばくだん焼:350 「ハチ公」の通りを少し進むとガラスのサッシ戸ごしに店内丸見えのお店があります。かなり広い店内ですがなかなかの入り。「大黒店」です。この後、酔い覚ましに西川口散策をしていたら東口駅前通りを越えたところに同じ屋号のお店を見掛けました。そちらはがらがら、不思議です。テーブル各席に焼台があって、カウンターにもひとり1つづつ焼台があります。三点盛(やきとん):550円をいただきます。これがなかなかのボリュームでお得感はばっちり。ホッピーも立飲み価格だし人気があるのがよくわかります。隣のお兄さんはひとりホルモン焼きでご飯も食べず、スマホをいじるわけでもなくウーロン茶で黙々と一心不乱に肉を平らげていきます。グループ客の中では組の若い奴がよお、生意気ぬかしやがるんで今度締めとかないとなあなんていう物騒なやり取りも聞かれこれまた西川口らしくて案外ほのぼの気分になるのでした。品書:ホッピー:340(中:180),三点盛(やきとん):550,おつまみチャーシュー:350,みそおでん:250,ネギ豆腐炒:260,米沢三元豚串カツ:290
2013/03/12
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蕨ってごちゃごちゃしていて愉しいな その2
さて，ここでT氏と合流。蕨に長いこと暮らしているT氏の案内でどこに連れて行ってもらえるかさあお楽しみ。ところが聞いてはいたもののほんとにあまり地元のことを知らない人だったのでした。なんて言ったら文句を言われそうですが，とりたててお勧めできる酒場はないとのことなので，ぶらり散策しつつ，めぼしい店に入ってみることにしました。 西口を北上します。線路沿いにちょっとだけ渋そうな店の灯りが駅構内から見えていたのでそこがとりあえずの目的地。「おふくろ」というありきたりの店名で，店もそこそこ古ぼけてはいるもののこれといって目立ったところがない店ですが，あまり迷っていてもしょうがないので，さっさとお邪魔しました。ああ，やはりカラオケがドンと据えられていて，ステージらしき台もあります。カウンターのベルベットのスツールもスナックっぽさを際立てます。そこにママさん登場。ビールなんぞをいただきながら引き揚げる頃合を早くも計り始めます。このママさん，大変なお喋りであれやこれや喋ってるうちにソーセージ食べるとかなんとなく薦められるままにオーダーしてしまうのでした。参考までにこちらはボクシング関係者御用達のお店のようです。 喋りつかれて次なる店へ。T氏が一度訪問している店に行ってみることにします。「大衆居酒屋 席亭」というのがその店。けっこう古ぼけた店構えはちょっと好みですが，決定打に欠けます。T氏が仄めかすいくばくかの躊躇の気配もあり，いくらか気が引けますがやはり入ることにします。あららやっぱりお客さんはひとりもいませんね。老夫婦の営むお店で勧められるままテーブル席に着きます。老夫婦がふたりっきりで年季の入った店内となるとわびしくなりそうですが，どっこいそうは問屋が許さないとばかりに，このお二方驚くほどによくおしゃべりになるのです。それも引き際を切り出せないほどのすさまじい連携トークでぐったりするほどです。赤羽の「まるよし」を例に挙げるまでもなく酒飲み好みの定番おつまみのキャベ玉はこちらに軍配。といったわけで飲み食いしつつもお喋りのお付き合いをして思った以上に長く滞在してしまったのでこれで今晩はお開きとなったのでした。
2013/01/29
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蕨ってごちゃごちゃしていて愉しいな その1
蕨ってところは京浜東北線で田端からも20分程度とさほど遠くないにも関わらず街の寂れ具合，うらびれ加減が場末っぽくて好きなのです。にもかかわらず気持のどこかでちょっと遠くて行くのが面倒だなと感じているらしく，ここんとこご無沙汰してしまっていました。最初に以前から気になっていた立飲み屋に向かうことにしました。 西口から3分ほどの場所にある「焼鳥 あかり」を振り出しにスタートします。人生のベテランといった風情のじいさんたちがご機嫌にカウンターを囲んでいるところに突如の闖入者として参上したため，ちらりちらりと視線がほっぺに突き刺さるのを感じます。しらんぷりを決め込んで，愛想のいい女将さんに酒を注文します。調理担当のご主人ともどもとても感じよくて，常連さんにぼくのことをじろじろ見ちゃダメよなんて注意してくれます。ここは昼の2時から開店というお店で，随分早くからやってるんですねと話しかけると常連さんたちを含めて西川口には朝からやってるとこもあるんだよなんてなんとなく輪に入れてもらえます。ほどほど飲み食いして店を出るときも常連さんたちはこもごもにまた来なよなんて声を掛けてくれる，気分のいい酒場でした。品書:ビール中:450,サワー:300,やきとり/べったら漬/チーズ/玉子豆腐:100 駅前の半分廃墟化しているようなビルの1階が飲み屋化していて，以前歩いたときに立飲み屋があったのを覚えていたので立ち寄ることにしました。ところが閉店しているのか単に時間が早かったのかやっていません。とりあえずほど近い「とりげん 蕨店」に入ってみることにします。新しい奇麗なお店なので趣味とは正反対ですが，この後，蕨を地元とするT氏と落ち合うので安く済ませておきたかったのでした。というわけでこちらはなかなかの安いお店です。広い店内はひとり客がいるだけで，店は大丈夫なんだろうかと心配になります。待ち合わせなんかでさっと呑むにはいいかも。品書:ビール大:480,ホッピー:300(中:170),サワー:380,鶏串焼:100～170,豚串焼:80～170 まだ時間があるので「やきとり 喜よし 西口駅前店」に移動。本店は言うまでもなく昭和44年創業の有名店です。西口側に店ができたのは知っていましたがこちらの店舗は始めて。店内は思ったよりずっと雰囲気がよくて驚きました。カウンター席の席間がかなり窮屈で冬場で着膨れしているのでさらに狭く感じられるのが残念。スタッフは若手がメインですが，ちゃらちゃらしてないのが好感が持てます。みそだれのおいしいもつ焼をいただきました。品書:ホッピー:380(中:220),二級酒:280,ビール大:550,チューハイ:320,麦焼酎ウーロン割:300,麦焼酎湯割:250,焼物:90～,とり豆腐:400,煮込/レバ刺:320
2013/01/28
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北浦和の飲み屋街はせまいけど一度では回りきれない その2
東口の飲み屋横丁を後にし，続いて向かったのは「炭火焼 ぺんと」。「吉田類の酒場放浪記」に最近登場したのでお邪魔してみることにしました。テレビで見ている限りではさほど強い印象がありませんでしたが，実際はなんとも場末感の濃厚なお店です。カウンターに座るオヤジたちの顔がことごとくいいのです。ドスの利いた迫力顔がずらりと並んでおりすっかりうれしくなります。値段はどれも安いですね。雰囲気に飲まれてしまい，何を飲んだか，食べたのかなんだかよくわからないうちにすっかり気分が盛り上がってしまったので，せっかくなので2階も覗いてみることにします。品書：チューハイ:280,ホッピー:350(中:200),ビール大:500,焼物:2本200～,煮込:250,ニラ玉:400 2階のお店が「ペントハウス」っていうんでしょうか？ まあそんな細かいことなど気にせず早速入店。やたらとハイテンションなオヤジがお兄さんたちジャズ好きかい？なんてことを尋ねてくるので誘導されるがままにジャズについてのご高説を賜りました。まあ1階のハードな雰囲気とはことなり2階は往年のジャズバーのような雑多に飾り付けられていていい感じではあります。でもこれなら1階のほうが好みです。 せっかくだから西口にも寄り道していこうということで「淀一 支店」という店があるので入ってみることにします。雑居ビルの2階にある店に向かうまでは人気もなくてホントにここは大丈夫なのだろうかと幾分不安を覚えつつ(実は不安というよりわくわく感が上回っているのですが)扉を開くと，そこはまさしく正統派の居酒屋，ややくたびてすすけている店内もよろしいんではないでしょうか。さらに特筆すべきはそのお値段。すっかり酔っ払っていたので過大に評価しているかもしれませんが，次回北浦和に来たらまた立ち寄ってみたいものです。ビール大:430,チューハイ:230,サバ塩焼/肉ジャガ煮/野菜天ぷら/もつ煮込:250,ポテトサラダ:200 というわけで北浦和にはすっかり満足させてもらいました。さほど知られているわけでもないような酒場でもこれだけの実力と客へのサービスがあるということは，まだまだ隠れたすごい酒場があるに違いありません。
2012/11/02
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北浦和の飲み屋街はせまいけど一度では回りきれない その1
このブログをはじめた当初，常磐線と京浜東北線を一駅づつ北上して行ってその対になる駅を最寄とする酒場を紹介するなんていうことを書いていましたが，常磐線では柏駅，京浜東北線では浦和駅を北限にしてその以北にはなかなか足を伸ばす機会がありませんでした。といっても昼間は喫茶店めぐりでつい先達ても大宮駅に行ってきたばかりなんですけどね。 知人O氏がそろそろ北浦和駅に行ってみてもいいんじゃないと唐突に切り出したので，ついついその気になって重い腰を上げて北浦和に向かうことになりました。北浦和駅ははじめて下車したわけでもなく，実際，1年ほど前にも昼酒の途中で下車して飲み屋探しをしたこともありましたがその際は折悪しく昼酒できる店を見つけることもできずすごすごと引き揚げたこともありました。というわけで一度飲み屋目当てに散策しているので，向かうべき酒場の目星は付いています。 早速向かったのは東口駅前をまっすぐ進み一本裏手にある通りです。なかなか味のある飲み屋横丁が広がっていてすっかりうれしくなりますねえ。酒場好きなら一度は来たい名店として誉れ高い「丸新酒場」があります。常に満席で入れないことも多いと地元住民から聞いていたので，そわそわあせあせ店の前に辿り着くとカウンターにはまだ多少の余裕があるようです。ひとまずほっとしてお店に入ります。う～ん，さすがに貫禄のある佇まいで，いっぺんに気分が高揚します。適当に注文を済ませて店の様子やお客さんの様子を眺めることにします。あれこれ眺めていると店の人たちの仕事っぷりもよく見えてきました。焼場は女性が担当されています，ちょっと珍しいですね。若いお兄ちゃんがドリンクとフロアー担当のようで，店内を駆け回っています。それと母娘らしきおふたりは? お客さんが酒のお替りなんかを頼んでいても2階から駆け下りてきた青年に呼んでるよなんていって自分たちは何やら味見をしているばかりでほとんど動こうとしないのでした。たまたま休憩時間だったのかもしれませんが，客として見ていてあまり気分のいいものではありません。その点を除くとさすがのお店だと納得させられました。 続いてはすぐそばの「串一」へ。もともとが焼鳥のテイクアウト店だったのでしょうか，酒場スペースは安普請でありながら手作り感があってなかなか楽しいです。店のおばちゃんも感じが良くてちょっとしたサービスの品を出してくれたりしてました。ひとりで訪れる常連さんたちとのやり取りも人情味が溢れており，なるほどここはひとり客にとって自宅の前の家のような存在であるのだなと一人合点したのでした。おばちゃんとあれこれ喋っているうちにO氏も姿を現したので，そろそろ次の店に移ることにしましょう。
2012/11/01
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坂戸の喫茶店を訪ねる／東松山では喫茶店と当然やきとり屋に向かう その5
店の構えにはまったくそそられることのない「やきとり ひびき 東松山前本店」ですが、人気店のようなのでとりあえず覗いておくことにしましょう。丸広百貨店前にはテイクアウト専門店もありました。店内はかなりの繁盛振り。現地の人でもこういう店が使い勝手がいいのでしょうか。家族連れなんかも目立ちました。テーブル席主体なのでひとり客にはちょっと使いにくい店だなあ。そこそこのサイズの店なのにトイレがひとつしかないのは繁盛店として考え直したほうがいいのでは。いい加減に酔っぱらったおじさんがいて、空のはずのトイレ前と席の間を行ったり来たり、真っ赤に染まっていた顔色が行き来するにつれ青ざめていくのが目に見えてわかって、気の毒に思いつつも、思わず笑ってしまうのでした。それにしても値段は飛び抜けて高いし、雰囲気もわざわざ東松山まで来るほどの店でもないと思うのですが、こうまで人気あるのは不思議ですね。 「ひびき」のある駅前ロータリーの周辺はすっかり再開発されて味気ないものかと後回しにしていたのですが、少し歩くとまだまだあるんですね。最後にお邪魔したのが「東松山の焼鳥 やまたけ」。かなり立派な構えのお店ですが、店内の入口付近はかなり広めのカウンター席。3人姉妹なんでしょうか、厨房はほとんどが女性。アルバイトも女の子たちがメインです。数少ない若い男性が給仕係というのがちょっと面白いです。お姉さんたちを目当てに訪れる客も多くて、露骨さを見せないように気取って見せているものの、かえってその露骨さが際立っている客もいて微笑ましいものです。しきりに年下の男にえばってみせたりしながら、「コイツはねえ……」なんて同意を求めたりしてるのがいじらしい。当の子分は適当に相槌を打ちながらも視線の先には別な女の子がいて困ったもんだねえなんてアイコンタクトしていたりするものだからますます年長の男性のみっともなさが目立っちゃうのでした。ともあれカウンター席の奥にはテーブル席や座敷席もあり、2階も広い座敷がありそうです。しかもかなりの席が埋まっており、人気のほどが窺えます。こちらのお店には梅割りがありました。うれしくなって思わずオーダーしていただきます。値段が安いのもオーダーの理由ですけど。効きますねえ。活気のあるいい酒場でした。 といったわけで今回は駆け足で8軒程巡ったわけですが、7～14倍ものやきとり店があるらしいのでまだまだ東松山の神髄の店には出会えていないような気もします。訪れる機会をなんとか作りたいものです。 では、次回のお楽しみのお店をご覧ください。
2012/10/03
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坂戸の喫茶店を訪ねる／東松山では喫茶店と当然やきとり屋に向かう その4
喫茶店の「魅乃瑠」を訪問する際に見掛けたのが、「伊田佳」です。交差点の隅にぽつねんと佇んでいるのが風情があります。掘立小屋のようなぶっきらぼうな造りもまた魅力。オヤジさんはまさにやきとり屋のオヤジといった風貌なのがうれしいです。焼鳥組合の慰安旅行についていろいろお喋りしてくれました。慰安旅行と言っても総会なんかも兼ねているし、女将さんたちも一緒なので派手なお遊びはご法度になっているようで、イマイチ盛り上がんないんだよということでした。そりゃ残念。店内はカウンターのみでけっこう広いのですが、内装は想像とは異なりけっこうきれいです。やきとりは焼立てなのになぜかちょっとぬるかったのですが、辛みそは非常にうまかったですね。思わず皿にとって箸でちょびちょびなめてしまいました。 「大松屋」は辛味噌の元祖と言われるお店で、焼台担当のかなりの高齢の女将さんとその娘さんたちでしょうか、厨房内には女性だけしかいないというのはユニークです。かなりのオオバコで店の前には駐車場もありますが、カウンターのみというのがうれしいですね。20mほどの直線を持つコの字のカウンターで、焼台は50cm程度のちっちゃなものだったでしょうか。席に着いて一息つくとカシラが出されます。試しに他に3種ほどあるもつ焼も食べてみました。なかなかおいしいですね。ただしここも値段は高いのが難点。「とくのや」 びろーんと細長い建物の暖簾をくぐると変形のコの字型カウンターとなっており、店の様子はこちらがもっとも好みに近いです。三和士っていうのも酒場気分を盛り上げてくれます。豆腐チゲやチジミなどの韓国料理メニューがあるのが特色です。焼き場担当のご主人とその嫁さん、その母親らしき人もおられたでしょうか。常連さんも観光の人も手前勝手に大声で騒いだりするようなこともなく、しんみりと落ち着ける店でした。 またまたおまけの気になる居酒屋とやきとり屋です。
2012/10/02
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坂戸の喫茶店を訪ねる／東松山では喫茶店と当然やきとり屋に向かう その3
お待ちかねのやきとり屋巡りをスタートします。東松山の「やきとり」はすっかり名物としてマスコミなんかでも度々取り上げられています。やきとり店は市内に約100軒あると言われていますが，現在の東松山やきとりマップを見ると45軒が掲載され，7軒の持ち帰り店もあるようです。 ご存知のとおり，やきとりといっても鳥肉ではなく豚肉(カシラ肉が基本，その他の部位は本来は提供されていなかったようです)なんですね。で，この串の炭火で焼いたものに味噌，ニンニク，韓国唐辛子などで作られた特製「辛味噌だれ」を塗って食すのです。昭和30年頃，あまり食されていなかったカシラ肉を無駄にしないように食べやすくするために考案されたものです。「大松屋」がその発祥といわれているようです。 ちなみに，この塗るというのがポイントで味噌ダレに突き刺されているのはスプーンやヘラではなくて刷毛なんですね。この刷毛で焼きたてあつあつのやきとりにぺたりぺたりと丹念に塗ってあげると味噌ダレが肉と馴染んでさらにうまくなるというわけです。 古い店の多くは席に着くとそのタイミングでカシラ数本が焼かれて，おしぼりで汗をぬぐい終える頃には焼きあがったばかりのやきとりが供されるというのがお決まりのようです。 などなどさまざまなエピソードがある東松山のやきとりですが，昭和37年設立の世界初の焼鳥同業組合を自称する東松山焼鳥組合のHPに詳しいので詳細はこちらで。http://www2.tbb.t-com.ne.jp/yakitorikumiai/index.html 余談が長くなってしまいましたが，最初に訪れたのは「大島屋」。駅前通りに三軒のオンボロな小屋があって，いずれもやきとり屋さん。昭和42年創業の町で5番目に古いお店が「大島屋」です。赤い袖看板に赤提灯がこれぞやきとり屋という趣がたっぷり。店内はごちゃごちゃっとしていてちらかり放題。焼物中心のお店でこれだけ乱雑に物が置かれていると汚らしくなるものですが，ここは不思議と気分がいいです。日もまだ高いのにやはりやきとり観光のお客さんがくつろいでいて最初の一軒として楽しめました。品書：ホッピー:500(中:250),もつ焼:3本360,ぬか漬:500,あつあげ:400 看板だけは対称的に黄色いのが「松川屋」。「大島屋」のすぐそばです。こちらも外観こそ違っているもののカウンターと丸椅子のスタイル。客の入りも似た感じです。その他の記憶はすっぽりと抜け落ちてしまいましたが，やはり昼酒も楽しめるいい店でした。 喫茶店「再会」のお隣がこの「鉄人」。実は伺った際は店名が不明でしたが焼鳥組合の力のこもったマップを見てはじめて知ったのでした。ここも似たスタイルでどこに入っても似たり寄ったりでした。 というわけでとりあえず駅からすぐの三軒にお邪魔したわけですが、ざっくばらんで活気があり佇まいの渋さにはうれしくなるものの、やはり駅から近いこともあって、観光客目当てなのか値段も高めでさほど感心しませんでした。ここは一軒だけに抑えて(敢えて押すなら歴史のある「大島屋」でしょうか)、便がいいので次回以降のお楽しみにキープしておくのがよろしいのではないでしょうか。 おまけに見かけた今後のお楽しみにとってあるやきとり屋さんや居酒屋さんを紹介です。次回はちょっと個性的なお店が登場です。
2012/10/01
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坂戸の喫茶店を訪ねる／東松山では喫茶店と当然やきとり屋に向かう その2
さて，さらに電車を乗り継ぎお次は東松山駅にて下車します。東松山市は埼玉県の真ん中にあって，埼玉県の交通の要衝となっています。鎌倉時代からの城下町で，松山城こそ比企郡吉見町にあるものの町そのものは東松山市が栄えています。市は埼玉のへそを宣言しているようでアピール効果はいかほどのものかいささか疑問ではあります。栄えているといっても人口は9万人弱と都市と呼ぶにはいささか貧弱な気もしますが，丸広百貨店があったりしてかつては栄えた町だったのでしょう。 そんなことはともかくとして東松山と言えばなんといってもやきとりの町として知られています。やきとりに気持はすでに流れていますが，その前に数軒ほど喫茶店好きには知られたお店にお邪魔してみることにします。 最初に訪れたのは「COFFEE SHOP 再会 駅前店」です。駅前店というからには本店とか市役所前店とかもあるのでしょうが，いまは現存していないのでしょうか。駅前から市役所方面に伸びるこじんまりした商店街にはこじんまりとして小汚いやきとり屋が点々とあって，心はすでに奪われがちですが，そんな只中にあるこの「再会」はこれらのやきとり屋をも凌駕するほどのオンボロさで強烈なオーラを放っています。白板の壁に緑色に塗られた扉はモダンですが，全体としてはかなりのすがれ具合でかなりの数の居酒屋や喫茶店をめぐって，さすがにすれてきていたはずのぼくですが，こちらの扉をくぐるのはいささか躊躇してしまいます。革張りのソファや黒壁できっちり純喫茶しているのですが，その荒び様には圧倒されます。雑然とした入口を抜けて奥に入るとさらに凄みは増して，床がぶかぶか言っており足元がおぼつかなくなるほどです。店の歴史を足裏から感じるというのも得がたい体験です。写真がぼやけまくっているのは腕の悪さはもちろんのこと，店の独特の暗さからも影響されているはずです。芸のない言い草ですが，この店に再会するためにもまた東松山を訪れるのも楽しいかもしれません。 次の喫茶店に向かうまでにたまりかねてやきとり屋に寄り道してしまったりしたのですが，喫茶モードに気持を切り替えてひたすら車道脇の細い道を進みます。なかなか店の姿が見えないので不安を覚えたりしながら，それでも黙々と歩き続けると黒壁に思いがけず巨大な文字で「魅乃瑠」と書かれているのが見えてきます。ここが「珈琲亭 魅乃瑠」なんですね。かなり立派な一軒家の喫茶店だったのですね。壁に巨大文字はちょっと大丈夫かいななんて思ったのもつかの間のことでした。店内は驚くほどに立派な調度類で飾られていて，まさかこんな立地の店でゴージャスな珈琲時間を過ごせるとは思っても見ませんでした。しばしやきとり屋のことは忘れて静かで優雅なひとときを過ごしました。
2012/09/30
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坂戸の喫茶店を訪ねる／東松山では喫茶店と当然やきとり屋に向かう その1
池袋駅から東武東上線の急行に揺られてやってきたのは坂戸駅。めったに川越から先には足を運ぶこともないので近所にお散歩という気分はなく，むしろちょっとした旅行気分です。江戸時代には千人同心街道の坂戸宿として発展した町ですが，駅前には当時を偲ばせるような痕跡はまるで失われており，商店もまばらなちょっとさびしい駅前風景です。 かつて訪れたときには駅の北側はごちゃごちゃとした古い商店街があったように記憶していますが，いまはすっかり様変わりして住宅ばかりが目立ちます。うろうろ歩き回っていると何やら路地の奥の方にひっそりと営業しているお店があります。なんと喫茶店のようですが，まったく普通の住宅をそのまま喫茶スペースとして営業しているようです。さすがにこれはちょっと違うんじゃないかと思い，早くも探索を諦めて駅前に引き返します。すると低層ビルの2階にちょっと素敵な雰囲気のお店が見えます。 「喫茶去 タイム」です。余談ですが，「喫茶去」という言葉はほんわかとさせてくれる響きを持っています。もともとは禅語として用いられていたそうで，この「去」の字は喫茶の強調の助辞で，去るという意味合いは持っていないようです。「お茶をどうぞ」といった何気ない言葉です。このさり気ない一字がやさしい雰囲気を醸します。上野公園や神保町にも「喫茶去」がありますし，大正8(1919)年創業の人形町の有名店「喫茶去 快生軒」は喫茶ファンなら訪れない者はいないでしょう。店は茶色を貴重としたオーソドックスで落ち着ける空間が広がっていて，店のあちこちに時計も下がっていて店名に相応しい雰囲気です。時計を描いたマッチ箱も気持を和ませてくれます。 ホット一息つけたので駅を南側に渡ってぶらり散策します。「サザン」というお店があります。こちらもオーソドックスなスタイルのシックな店でなかなかいいですね。特筆すべきはそのお食事メニューの豊富さ。あまりの品揃えとお得さについつい我を忘れて頼みそうになりますが，それはぐっとこらえて東松山まで耐え忍ぶことにします。
2012/09/29
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東武伊勢崎線飲み歩き Part7(せんげん台篇)
せんげん台というのもぼくにとってはまるで馴染のない駅で、はじめて降り立つ駅というのは期待感とそれが裏切られた時の不安感でそれはそれで刺激的な体験なのですが、伊勢崎線においては大体、面白い駅―つまらない駅―魅力的な駅―しけた駅……という繰り返しが大体パターンとしてあるような印象があるため、大袋が予想外によかったので、このせんげん台駅にはあまり期待はしないでおくことにします。 まずは駅の東側をぶらついてみることにします。おっ、駅前のロータリーの入口付近にいい感じの居酒屋がありますね。「居酒屋 寿亭」というお店のようですが、残念なことにシャッターが閉ざされています。今でも営業してるんでしょうか。さらに進むとちょろちょろと居酒屋もありますが、いまひとつこれぞという店がないですね。「ピエロ」なる喫茶店がちょっとよさそうですが、ぼちぼち店じまいの支度をしているようなので、眺めるだけにしておきます。 あてどなくふらふら歩いていると「たつた食堂」が目に飛び込んできました。袖看板にホッピーとあるのが頼もしいですね。これはいいんでないか、早速入店します。入った瞬間なんだか重たいどよ～んとした空気に包まれます。ん～、これは失敗したかな。カウンターとテーブルだかがあって、目付きの恐ろしく暗いおばちゃんがテーブル席のある店の隅に佇んでいます。とりあえずチューハイを一杯いただくことにします。お通しに出されたもやしのナムル風も薄味すぎて飲み込むのに苦労します。写真に写りこんでしまった握りしめたコブシがその辛さを物語っているようです。そんな時でもおばちゃんのじと～とした視線が向けられているのが皮膚に突き刺さっています。どうにかこうにか飲み干してお勘定します。500円也。そうきたかあ。素直に五百円玉を差し出すと、はじめておばちゃんの表情が緩みます。といってもその笑顔はむっつりと押し黙っている時以上に怪しく恐ろしいものでした。品書：チューハイ:400,ビール大:600,ホッピー:450,塩から:350,冷奴/はんぺん:300,ラーメン:500 「千曲」という屋号の焼鳥屋があります。これはなんともすごいオオバコですねえ。あまりそそられないので、スルーしますがこれだけのキャパの店が維持できるんでしょうか。ほどなく「もつ焼 ともや(千住加賀屋分店)」があります。伊勢崎線沿線には、北千住の「加賀屋」分店がちょこちょこありますね。それにしてもすごい賑わい振りです。地元のじいさんグループが大挙して押しかけていて、やかましすぎていたたまれません。やはり「加賀屋」はどこでもしっかりと「加賀屋」なので、特に語ることはないのですが、南越谷駅の「千野屋(千住加賀屋分店)」の静寂も考えものですが、ここまで怒号、嬌声が飛び交うのも疲れるものです。品書：ホッピー:350,サワー:300,ビール大:500,大串もつ焼3本:300,スタミナ焼/ホルモン焼3本/特製煮込:350 西口に移動します。へえ、こんなところに温泉施設があるんですね。かすかべ湯元温泉のアーチが出迎えてくれます。かなり立派な施設のようですが、あまり風情はありませんね。街並みは中途半端に開発が進んでいて、ちょろちょろと寂れた店舗が見受けられます。そんななかからお邪魔したのが「花笠」です。カウンターが15席ほどに小上がりもけっこう広いですね。店主がひとりでやっていますが、客の入りはパッとしないのでなんとか切り盛りできるんでしょうね。肉や白菜などの煮物がお通し、ウーロンハイを飲みながらようやく落ち着いて飲める環境です。どこまでも町のはずれにはありそうなごくごく普通の居酒屋ですが、その普通さ加減がこの夜の気分には何より有難かったりします。品書：ウーロンハイ:350,ポテトフライ:300 といったところで、この夏の伊勢崎線巡りは終了です。まだまだ訪れるべき駅と酒場がありますが、そうそう気軽に行ける場所ではないので続きはいつかまたの機会にとっておくことにします。
2012/09/25
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東武伊勢崎線飲み歩き Part6(大袋篇 その2)
大袋の居酒屋に手ごたえを感じながら少し酔い覚ましをしながらまたまた町をぶらつきます。喫茶店もちょこちょこよさそうなのがありますね。「TAKU」や「風月」、閉まっていたものの「COFFEE 庭」なんて魅力的な響きの店もありました。遠からず伊勢崎線でも喫茶店巡りをしなくてはならないですね。 次に入ったのはビニールシートで覆われたはみ出しコーナーのある「せんとり」です。もつ焼屋さんですね。店そのものは新しいながらも入口を入るとすぐにコの字のカウンター、奥がビニールシートのテーブル席と年季はまだまだですが、酒飲みの気持ちをよく汲んだ店造りをしているように感じました。まわりくどいですが、一言で言えばけっこう気に入ったわけですね。もつ焼などもなかなかの出来栄え。ちょっと気になったのが店主と従業員さんがなんだか元気のないところ。たまたまこのときだけがテンションが低めだったのかもしれませんが、こうした店ではそれなりに暑苦しいくらいのもてなしを受けたいものです。Book offのような店のあちこちからこだまが聞こえてくるようなのはただうっとおしいだけですし、従業員が一斉に声を揃えて出迎えや、見送り、果ては一日の労をねぎらわれたりするのはいたたまれなくなるものですけど。特に会計が千円にも満たないような場合にはひっそりと送り出してもらいたいものです。品書：チューハイ:300,かめ出し焼酎:300, もつ焼/焼鳥:120～,もつ煮込:450 ぼちぼち大袋を後にしようかと思い駅前を歩いていると「立ち串処 大屋」なる立飲み屋さんがありますね。マンション1階にあるお店で、入口脇の焼台では焼鳥が焼かれていて、持ち帰りもできそうです。知人の情報によると昼前から営業しているということでした。随分日もたっているので何を飲み食いしたかはすっかり記憶から抜け落ちていますが、サービスセットみたいなのがあって、それがなかなかお得でしたね。若い店長さんも元気で明るい人で気分よく大袋の飲み歩きを終えることができそうです。
2012/09/24
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東武伊勢崎線飲み歩き Part6(大袋篇 その1)
今回は大袋です。JRの武蔵野線南越谷を越えて、3つ目の駅になります。先般訪れた越谷駅があまり楽しめなかったので、春日部駅までは同じような地味な駅が続くのかと思って、あまり気乗りもせずに向かったのですが、これがなかなかよかったんですね。最初に向かう店はすでに決まっています。酒場放浪記で紹介され、今でもたびたび再放送されているお店です。大袋駅に到着したのですが、それにしてもこの駅は使いにくいですねえ。ウィキペディアを調べるといろいろややこしい経緯があったようですが、旧泰然とした昔ながらのまんまの駅の構造が残っており、下り電車の停車する西側にその目指す店はあるのですが、わざわざ階段で上りホームに接続された駅舎から出ないといけなくなっています。西口にはロータリーができていてこの不便さの解消に向けて動きはあるようですが、少なくともまだしばらくは掛かりそう。線路を越えるのもまた一苦労。踏切は待てど暮らせど開かず、地下道を通過することになります。到着ホーム上からは目と鼻の先でありながら、そうこうしてようやく辿り着いたのがあの店です。 三角屋根のバンガローのような「山吹」です。まだまだ日も高く普通なら酒を飲む時間ではないのに午後3時開店のこのお店はすでに5名ほどの地元の老人たちが盛り上がっています。品書きもずらりで何をオーダーしていいものやら迷ってしまいます。酒場放浪記でも吉田類が驚きとともに伝えたホッピーに行きたいところですがよりさっぱりしたものが飲みたかったのでついチューハイを頼んでしまいますが、ホッピーと同じ値段なんですね。ここではウーロンハイも200円と安価なのでそちらでもよかったかな。とにかく安いのでどんどん頼みたくなりますが、数軒は回りたいので店の看板メニューの串焼を注文します。それにしてもカウンターに腰掛けたのですが、このお店の難点はとにかく暑いこと。入り口は思いっきり解放されているため空調は付いているようですが、一向に涼しくならない夏の気候に焼台の熱気も加わって蒸し風呂のようです。ここは夜に来るか、店奥に陣取るか、夏場を避けるのがベターかもしれません。品書：ウーロンハイ:200,ホッピー:250,ローストビーフ:500,うなきも:200,串焼:100,枝豆:300 西口をぶらりぶらり歩くと南側には商店街らしき商店や飲食店も立ち並ぶ一角があってなかなか楽しいのですが、開かずの踏切が開いたので思わず渡ってしまいました。東口には懐かしのドムドムバーガーがありますね。ドムドムを見るのなんて何年振りだろう、まだ現役で頑張っていたんですね。まあ立ち寄るほどの興味はありませんのでスルーして東口散策を続けます。すると西口にもそこそこ飲み屋がありましたが東口の充実はすごいですね。駅前のほぼ全域が飲み屋やスナック、時々喫茶店になっていて、まだ夕方前だというのにカラオケの鳴り響く音がそこかしこから響いています。飲み屋街や飲食ビルなんかもあって、遅い時間になるとさぞや誘惑が多いことでしょう。 ひとしきり眺めているとトイレが近くなったので明かりの付いていた「山ちゃん」というお店に飛び込みます。オヤジさんがぎくりとしてこちらに目を向けてまだなんだけどどうぞと通していただけました。ほっと一息ついて早速ビールをいただきました。お通しはサンマの煮付けだったでしょうか。しっかり濃いめの酒飲みにはうれしい味付けでうまいですねえ。5時を過ぎてオヤジさんがのれんを出すとほどなくして常連さんが集まってきます。狭いカウンターはあっという間に満席です。さらに常連さんが見えたので手短においとましました。ここはじっくりと腰を落ち着けて飲みたい店でしたね。なんといってもオヤジさんの人柄がとてもいい。品書：ビール中:500,ホッピー:400(中:250),サワー/酒:350,串焼2本:350～,特製シューマイ:380,肉皿/酢の物/とん足:450,あじなめろう:500
2012/09/23
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東武伊勢崎線飲み歩き Part5(蒲生篇)
まだまだ日の高い時間帯ではありますが，迷わず飲みに行くことにしました。目的地は蒲生駅。蒲生駅の東口には随分いろんな商店街があるのですね。蒲生駅前商店会を抜けて日光街道(これが竹ノ塚を歩いた時に混乱した日光街道なんですね)を渡ると、蒲生ショッピングモールや蒲生アサヒ通り商店会なんていうのもあって、調べてみると登戸宮前通り商店会、日の出商店街、蒲生新栄商店会なんて商店街もあって、実際こうして書いていると随分栄えているんじゃないかという印象を持たれるかもしれませんが、いずれもこじんまりとした商店街でシャッター通りではないものの買い物客もまばらであまり賑わってはおらず、むしろ閑散としています。居酒屋もあまりなくってさすがに冷たいビールなんかが恋しくなってきます。 蒲生駅前商店会の脇道には寿通り飲食街という飲み屋横丁というよりはスナック街があって、なかなかいい風情ではありますがまだまだ営業までは時間があるようです。 西口に移動してみることにします。西口にある蒲生南銀座商店会には「ときわ食堂」なんかもありますが、まだ営業していないようです。 するとお馴染みの「しちりん」があります。ここは営業時間が早いのがうれしいですね。ところで余談になりますが、「しちりん」って二種類あるんですね。いずれも千葉の東葛地域（現在は千葉県の野田市、流山市、柏市、我孫子市、松戸市、鎌ケ谷市を指します）を中心に東京都、埼玉県、茨城県にも数店舗を構えており、黄色地に黒字の看板もそっくり、赤ちょうちんまでサイズこそ違えどどちらも店頭にぶら下がっています。自ら七輪で肉を焼く、ひとり焼肉の元祖とも言える居酒屋さんです。一方は「あみ焼元祖 しちりん」で1980年創業で、新松戸が本店です。もう一方は「備長炭火ホルモン焼 しちりん」で1975年創業、南流山が本店です。以前からこの系統の違いについて気掛かりだったんですが、調べてみたら簡単に答えがわかりました(真実の真偽は保証の限りではありませんが)。一言でいうと兄弟で各系統の社長をしているようで、前者が兄が社長で(有)しちりん、後者が弟が社長で(株)七輪商事ということでした。と結論は実に平々凡々としていました。ちなみにぼくはこの両系統では「あみ焼元祖 しちりん」が価格の点でも好きです。蒲生店は幸いにもそのお気に入りの系統でした。よかったよかった。とお店のレポートがあるかというと特に語るべきこともないので次のお店を探すことにします。 蒲生駅を北上していくと「丸眞」なるお店があり、すでに営業しているようですね。早速入ってみます。うどんやそば、らーめんなどもあります。1曲100円のカラオケまでありますね。カウンター席と小上がりだかテーブル席が4,5卓のお店で、すでに飲んでるお客さんもいます。愛想のいいご主人によるとこちらは長く浅草橋で立ち食いうどんのお店をやっていて、蒲生駅の東口にやはり立ち食いうどんのお店を開業して独立、それが昭和43年だったそうです。その後、客の要望に応えて酒を出すようになり、その肴を出すようになり、7,8年前に西口に移転してこられたそうです。もちろんカラオケを置くようになったのもお客さんの要望から。店の開店時間は当初は朝からやっていたのですが、今では午後3時から、それでも休みの日には昼12時から営業していて、休日を酒を飲みながらのカラオケで楽しむ老人たちで一杯になるそうです。といったわけなので、サービスもよくてオーダーしたホッピーにも焼酎はなみなみとついでくれてお通しもサービス。うれしい心配りに満ちたお店を見つけることができてラッキーでした。品書：ホッピー:350(中:200),チューハイ/ハイボール:350,ビール中:500,冷奴:250,いかげそ焼/ポテトフライ:350,もつ煮込:450,かけそば/うどん:350,らーめん:400, 西口は、飲み屋さんの数こそさほどありませんが、なかなか雰囲気のいい酒場がぽつぽつとあります。今回は回れませんでしたが、いずれまた来れた時には立ち寄ってみたいと思います。
2012/09/22
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東武伊勢崎線飲み歩き Part4(新田篇 その2)
新田駅前の思いがけぬ楽しさにうかれてしまって、事前に調べてあったお店に向かってみることにしました。周辺を散策した際には真新しい建物だし、ちょっとお値段も高めだったと記憶していたので、当初は敬遠するつもりだったのですが、勢いで入ってみることにします。「地蔵屋」という魚料理が自慢のお店ということです。新田横丁のアーチのすぐ脇にあります。ガラガラ、一人ですけどと人差し指を立てて入るとカウンターに案内されます。4人組の20歳そこそこの女の子たちがご機嫌に騒いでいます。しまったなあ、やはり場違いだったかなと思いながらも席に着くと見事な三種盛りのお通しが出されます。さつま揚にサザエに山かけですかね、すっかり忘れてしまいましたが好物ばかり。ここにはシャリシャリの生ホッピーもあってついついオーダー。品書きもずらりとうまそうな品が並んでいて悩ましいほど。魚介の串焼きセットを頼んだんでしょうか。特にたこ串は抜群においしかったなあ。いつも行く店よりは若干高めなもののこれだけの品をこの値段なら文句なしでしょう。いい居酒屋さんでした。 すぐそばにある老舗と思しき店に入ってみることにしました。切妻屋根というんでしょうか三角屋根風の造りのお店「南部」にお邪魔します。店内は山小屋風の木造の造りでなかなか手が混んでいます。カウンターも立派な一枚板で気分がいいですねえ。実はすでに何を食べたかはすっかり忘れてしまっているんですが、常連さんも女将さんも非常に愉快で一見客でもすんなりと受け入れてくれてすっかり愉快な気分になります。せっかくなのでご近所の老舗店を女将さんにうかがうと想像通りこれまた近くにある「三本松」さんであるとのお答え。それではほどほどに引き揚げて店を変えることにしましす。 やってきました「三本松」です。暗い中、旧型携帯電話のカメラで手元がおぼつかない中で撮影したので何が何やらよくわからん写真ですが、「南部」とは異なりなんだかそっけない造りのお店です。店内も長く営業しているにも関わらずあまり古ぼけていません。別にそれが物足りないとかいうわけではなく、店に随分と手をかけてきたということなのでしょう。こちらも常連さんが数名いたのですが、先ほどとは違って見知らぬ他人と打ち解けるということもなくひとりしんみりとちびりちびり飲んだのでした。 といった具合で最後はしっかり記憶が吹っ飛んでしまい北千住駅で乗り換えるところが目覚めたら曳舟駅でした。まあこの程度の乗り越しで済んでよかったよかった。新田駅、実はあまり期待していなかったんですが、楽しかったですね。もう少ししっかり歩き回ったらまだまだ面白いところがありそうです。
2012/09/21
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東武伊勢崎線飲み歩き Part4(新田篇 その1)
新田駅っていう駅名は、ウィキペディアで調べると、東北本線(宮城県・にった)、阿武隈急行線(福島県・にった)、奈良線(京都府・しんでん)に加えて東急多摩川線の武蔵新田駅(東京都・むさしにった)、さらに廃止となった駅でも宮城電気鉄道、山形交通三山線、名鉄美濃町線といずれもしんでんという読みの駅があったようです。かようにありふれた駅名ですが、埼玉県の新田駅周辺には面白い飲み屋はあるんでしょうか。東武伊勢崎線沿線の各駅は再開発の状況によって随分駅前の様子が様変わりするので楽しみでもあり、不安でもあります。 大丈夫、新田駅の東口を出るとすぐに飲み屋街が広がっていました。新田横丁という立派なアーチが掛かっています(ただし駅から向かうと横丁の出口のほうにあります）。店舗数はけして多いとは言えませんがうらびれたいい雰囲気の飲み屋横丁です。 早速待ちきれずに横丁の駅側の入り口にある「ザ・立飲や」という何だか投げやりな屋号のお店にお邪魔します。まるで飾り気のない立飲みスペースが場末の飲み屋っぽくってなかなかいいですね。奥にはビニールシートで覆われた一角もあります。早い時間なのにすでに数名の客がテレビなんぞを眺めながら生ビールなどを飲んでいます。おお、チューハイは190円か、なかなか安くていいですね。肴もどれも安いですね。店主は意外なことにまだ30代位のおにいさんで、さほど客とのやり取りが上手とか肴を用意する手つきが器用とかいうことはないのですが、サラリーマン泣かせの気の利いた商売をしてくれています。ここはいいなあ。いずれはちゃんとした屋号にしたらいいかも、なんていらんことを考えましたがそうしたらこの店に似つかわしくない客が増えて常連さんのオアシスを奪うことになっちゃうかもしれませんね。品書：チューハイ:190,ハムカツ:100,イカフライ:150,皮つきポテト:200,ナス焼/ほっけ/もつ煮:300 駅前を背にして少し商店街を歩いてみることにします。中途半端に開発されているのですがまだまだ古臭い街並みが残っていてうれしいですね。居酒屋もちょこちょこ見受けられます。そんな通りの突き当りに「もつ焼 文」というお店があったので早速入ってみることにしました。カウンターと小上がり(だったかな)の狭いお店。まだ開店直後らしく主人が懸命に串カツを揚げています。ものすごい量を揚げています。こんなに揚げてしまって捌ききれるんでしょうかね。そんなこれから夜本番という時間なのにすでに出来上がったご近所の隠居爺さんが、主人にしきりに話しかけています。ほどなく次の常連が来店。この二人そりが悪いんでしょうか、突如隠居爺さんはむっつり黙り込んでほどなく退店しました。まあそんなことはともかく、焼物は当然ですが、他にも数多くの肴があって、目移りしそう。しかも値段も手ごろでますますうれしくなります。料理上手のオヤジさんと感じのいい女将さん、うれしくなるようなお店でした。品書：サワー:300-,ビール中:500,酒:300,焼物:70-,マグロブツ刺/酢だこ刺:450,馬刺ユッケ/いか丸焼:500,豚しょうが焼:600 次回はいよいよ新田横丁に足を踏み入れることにします。
2012/09/20
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東武伊勢崎線飲み歩き Part1(南越谷はなかなかいいが満足には至らず，越谷は不満ばかりが残る その3)
南越谷駅・新越谷駅界隈にもちょっと飽きてきました。日も大分翳ってきたので，東武伊勢崎線を南か北かいずれかに向かって1駅分歩いてみることにしました。余力があったので，ちょっと距離のありそうな北側の次の駅，越谷駅に向かうことにしました。 失敗だったかも。越谷駅とその周辺にもやはり再開発の波が押し寄せてきていて，渋い飲み屋はほぼ見当たらず，チェーン店ばかりが目に付きます。東口側には立派な和菓子の伊勢屋など年季のありそうな店などもあり，何軒かの居酒屋もありますがが，真新しくて惹かれる店が見当たりません。 それでは西口側に。ロータリーのはじっこに「吉乃川酒場」というプレハブの居酒屋があります。ようやく意に沿った店を見つけたと思ったら閉まってますね。 しょうがないのでさらに進むと，「八潮」というなんとなく古めの店があったので入ってみることにしました。カウンターに座敷の店で，2人組のじいさんは座敷ですっかりできあがっている様子。カウンターの一人客のじいさんはむっつり黙り込んだままテレビを眺めています。なかなかよさそうですね。もつ焼は3本から，カシラをもらいます。サイズも味もまずは文句なし。チューハイは炭酸が外瓶で供されます。ダルマジョッキというのも変わっており，ここではウメ入りの氷抜きで出されます。おばちゃん(おばあちゃんと言ったほうが適当か)ひとりでやっているお店です。越谷駅周辺の味気のない店ばかりなのを考えるとこの店はぜひとも頑張って営業を続けてもらいたいものですね。品書：チューハイ:320(中:?),もつ焼3本:350,もつ煮込/レバ刺:380 といったわけでさほどの収穫もなくすごすごと退散することになりました。それにしても「吉乃川酒場」には入ってみたかったなあ。
2012/08/24
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東武伊勢崎線飲み歩き Part1(南越谷はなかなかいいが満足には至らず，越谷は不満ばかりが残る その2)
JR武蔵野線と直角に交わっているのが，東武伊勢崎線です。南越谷駅の接続駅が新越谷駅になります。新越谷駅を越えた武蔵野線のガード真下にある「とりげん 南越谷店」に入店します。ここも安いですねえ。しかも随分早い時間からやっているようです。向かい側にはさらにすごいことに24時間営業の「いちげん」なる店もあります。ここら辺に住めばとにかくどんな時間帯でも飲む場所を探すのに困るようなことはなさそうですね。品書：チューハイ:280,ホッピー:280(中:150),もつ煮込:350,もつ焼:80～,梅味味噌きゅうり:250,揚げだし豆腐/ジューシーから揚:350,とり皮ぽん酢:200 気になる店があったので15分程度時間潰しをしなくてはなりません。界隈をうろうろしますが適当な店が見つからないのでまたもやマンション商店街に引き返し，「居酒屋 あかさたな」に入ることにします。ここも「大漁船」や「末広」同様の造りでさすがに飽きてきました。チューハイセット(サワー+肴3品):900というのがあるのであまり考えずにオーダーします。よくよく考えると全然安くないですね。ちなみに肴3品はマカロニサラダと冷奴，刺身二点盛でした。入りが悪いのが納得の残念な店でした。 気になっていのはた「千野屋(千住加賀屋分店)」。開店する頃を見計らって出向いてみました。木の両引き戸は，いかにも「加賀屋」といった風情です。カウンターと座敷で先ほどまで回った店よりやや狭めですが，大体似たような感じですね。ちなみにここまで「やまちゃん」と「とりげん」以外は，時間が早いこともあるのでしょうが，まったくのガラガラ。ここでようやく一人客を見掛けて一安心しました。それにしても千住加賀屋分店と暖簾書きされていますし，スタミナ焼やもつ煮込鍋もちゃんとあるので紛れもなく「加賀屋」の系列なんでしょうが，驚くほど活気がありません。これほどまでに静かな「加賀屋」ははじめてかも，あの活気溢れる北千住店から暖簾分けされたとはとても思えません。品書：サワー:300,もつ焼2本:200～
2012/08/23
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東武伊勢崎線飲み歩き Part1(南越谷はなかなかいいが満足には至らず，越谷は不満ばかりが残る その1)
この日はまだまだ日が高いうちに仕事を終えることができたので，南越谷駅に行ってみることにしました。酒場放浪記でも紹介された「海鮮・もつ焼き やまちゃん」に行くのがとりあえずの目的です。そのVTRでちらりと写った団地商店街が気になったので見てみたいというのがもうひとつの目的。というわけではるばると電車を乗り継ぎ南越谷駅に下車。 ほどなく商店街があります。3階建ての南越谷マンションの第1と2のそれぞれ1階が居酒屋になっていて，けっこうな規模の店が鈴なりになっています。なかなか壮観な眺めですね。このマンションを抜けた先に少し道がクランクしていて，そこにも飲み屋通りが続いています。なかなか楽しそうな一帯です。どの店もかなりのオオバコと言える程に間口が広くて，いずれも50名近くは収容できそうな広さに思われます。これで商売が成り立つのでしょうか，いささか心配になります。ちなみに多くの店は4時にはほぼ開店しています。開店が早いのもうれしいですねえ。 最初はやはり「海鮮・もつ焼き やまちゃん」に行っておくことにしましょう。南越谷マンションを越えてすぐ，JR武蔵野線のガード沿いにあります。昭和58年頃の創業というがもっと年季があるように感じられます。番組ではホームから丸見えのオープンな構えでしたが，夏の日差しを和らげるため，よしずが掛けられていてちょっと怪しげな雰囲気。まだ4時前だというのにサラリーマン2人組が2組と立飲みにはお兄ちゃんがひとり。若い男女2名が店を任されているようで，この立飲みお兄ちゃんがやたらと絡んで若干迷惑そうです。お兄ちゃんはこの時間ですでに4軒目とのこと。立飲みカウンターが思ったよりくねっていて，ちょっと手狭な感じが馴染みやすいサイズで楽しいです。逆テーブル席は10卓ほどはあって広々としていますね。バイスをもらって，もつ煮込の小さいのももらいます。小さいサイズがあるのひとり飲みにはうれしいですね。安くはないけど，味も量もあって居心地もいいし，なかなかいい酒場でした。品書：酒:290,ビール大:500,サワー:350,角ハイボール:390,やきとり/もつやき:100～,もつ煮込:480 マンション飲食店横丁に移動。「大衆割烹 大漁船 南越谷店」がありますね，南越谷駅にもあったのですね。秋津店と同様座敷席が広いですね。メニュー構成は他店とさほど違わないようです。ここは肴の量が多いのでさっと切り抜けることにします。品書：肉ドーフ:500,もつ煮込:450,手羽餃子/まぐろ串カツ:380,イカ納豆/まぐろ納豆:350 「末広」は「大漁船」のお隣。こちらもほぼ同じような造りの店。長い長い20名ほどのカウンターに，同じく縦長の座敷。男性のみ3名だけでやっています。お通しのキンピラゴボウに毛が入っていたのが気になったものの，焼鳥数本を焼いてもらったら，この串のでかいこと。これで値段も安いのだから言うことなし。「末広」に軍配を上げたい。品書：ビール大:480,酒1合/酎ハイ/ウーロンハイ:300,とり・もつ焼:90～
2012/08/22
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埼玉県の素敵な酒場 その3（川口市編）
川口市は埼玉県で人口第2の市です。荒川を隔てて東京都に隣接しています。古くは日光御成街道の川口宿が置かれ発展しました。近代以降，吉永小百合主演の『キューポラのある街』の舞台ともなった鋳物工業が拡大し工業都市としてさらに発展しました。その後は住宅地へと変貌したことにより街は様変わりしました。 川口駅は，川口市の中心となる駅で東口に商業施設が密集しています。川口駅前行政センターや川口市立中央図書館の入ったキュポ・ラの竣工に伴いペデストリアンデッキが拡張され現代的な街並みになりました。そごう 川口店やアリオ川口などの施設があるものの，多くの商業施設は駅郊外に分散しています。昭和45年，駐車場不足を解消するために東口駅前地下に駐車場を整備され，地下商店街も造られました。埼玉県発の地下商店街です。当時，飲食店，服飾店，生花店など30店舗が軒を連ねていたそうです。この商店街もペデストリアンデッキの整備，地下道の駐輪場としての利用目的への移行により，平成4年には閉鎖されてしまいました。 西川口駅は，川口オートのアクセス用としての印象が強い駅です。東口側にはパチンコ屋がたくさんあるほか歓楽街が広がっており，西側にもたくさんの飲食店やホテルがあります。 どちらの駅にもチェーン系居酒屋に混じって古びた酒場も残されており，時折，公営ギャンブル場のある駅前飲食街に感じられる場末感をたたえておりやたらには近寄りがたい印象を与える店も残っています。川口 焼とん 松ちゃん そごう脇を抜けさらに進むと渋い商店街が交わっています。左手に折れてさらに進むと渋い「もります食堂」が見えてきます。当分休みますとの張り紙があります，残念。さらに進むと左手に「焼とん 松ちゃん」があります。引き戸を開くとすぐに4人掛けテーブル，その先にカウンターが10席ほどあり，奥にも4人掛けテーブルがあります。もつ焼屋然とした雰囲気はかなりいい。オヤジさんとその息子さんらしき人が切り盛りしています。もつ焼は処理も焼き方もよくて実においしい。なかなかの良店です。川口 京 そごう脇の路地にある立飲み屋。うなぎの寝床のような細く長く薄暗いカウンターが伸びていて，奥には不思議に明るいスペースがあります。場末めいた雰囲気やうらびれた客層などが好きな方にはたまらなく魅力的に感じられると思います。もちろん値段は安い。 「京」の「やきとり 太郎」の向いにあるテイクアウトがメインの焼鳥屋で呑むことができます。売り場脇の細い通路を進むと奥にカウンターが背中合わせに2本，それぞれ10席程度置かれています。酎ハイは濃くて，焼鳥はボリュームも味もなかなか。そばにもう一軒，テイクアウトの焼鳥店があります。「炭火焼 まるさん」。カウンター6席+4席とテーブル2卓があります。すすけていていい雰囲気です。ここもまずまず焼鳥がうまくて，店主やバイトのにいちゃんたちも感じがいい。西川口 大衆酒蔵 大将 「広瀬川」そばの大衆酒蔵と呼ぶのに相応しい構えの店舗です。不思議なことにネットではほとんど情報を見つけることができませんでした。いい雰囲気の店なのはもちろん，酒も肴も悪くないのに客が入っておらず疑問を抱きました。西川口 広瀬川 昭和50年創業の老舗ですが，平成22年に移転したようです。すっかり店舗がきれいになっているのがちょっと残念。目の前に置かれた焼台でホルモンを焼くスタイルの店です。10名程度座れる長いテーブルが6卓ほどあって，その奥が15名以上は座れそうなダイヤ型のカウンター席がある。かなりのオオバコです。名物の5馬力:250円は，焼酎のオレンジジュース割で，さっぱりしておいしい。チャーシューメンマ:180円など格安の肴もあって近所に一軒欲しいタイプの酒場です。 西川口駅西口のロータリー周辺では，有名店「やきとり 次郎 西口店」（かなりやばい雰囲気のお店，喧嘩沙汰も日常茶飯事のようです。東口店は買い物後の女性客も立ち寄れる位で西川口の立飲み初心者向き）や「立呑 鳥しげ」（ロータリーバス停前の椅子有りの立飲み店，陽の高いうちから常連で込み合っています），「スタンドバー かんづめや」（バルコニー席もある狭い立飲み屋。オート客メインで西川口立飲みとしては中級者向き），「ワンコップ 千登利」（コの字カウンターのあるまっとうな飲み屋ですが，客層は濃いめ）などなど場末な酒場が楽しめます。
2012/02/27
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埼玉県の素敵な酒場 その2（蕨市編）
蕨市は，日本で最も面積が狭く，人口密度が最も高い市です。京浜東北線沿線に位置しています。かつては中山道の宿場町として栄えており，今でも古い建築物を見ることができます。現在では市の広い地域が住宅地となっており，駅西口に残る商店街もうらびれた印象です。 実際に歩いてみると古い商店や朽ち果てた家屋がちらほら見受けられて，歩き甲斐があります。酒場もぽつりぽつりではありますが，いい具合に枯れた店舗があって，ついつい立ち寄りたくなるような風情があります。まだまだ知られていない酒場が隠されているようです。蕨 喜よし 昭和44年創業の蕨の名店。店構えだけで十分満足できる渋い酒場だ。入口付近にテーブル席1つと店内には大きなコの字のカウンター，20名は軽く入れそう。さすがの風格です。名物のみそ焼6本:500円は，小ぶりながらにんにくが利いたみそダレはなかなかおいしい。やはり「喜よし」は感動ものの酒場でした。蕨 安兵衛 昭和41年創業。チェーン的な居酒屋を想像していたのですが，いかにも酒場っていう佇まいがいいです。店内はコの字カウンターで20席ほど。老夫婦が切り盛りされています。常連さんたちが野球を見ながら大いに盛り上がっています。壁を見ると長嶋茂雄らしきサインもあり店主は巨人ファンと思われます。実に典型的に酒場っていう感じで気に入りました。蕨 とり松 平成14年創業ということなので居抜きで入ったんでしょうね。「牛丼 ぎゅうちゃん」や「Bon Voyage Since 1964」などのある怪しい横丁の一店。カウンター10席ほど，奥には小上がりとテーブル2卓といった造り。店内は年季が入っており，煤けて渋いが清潔，これは期待できるかも。お通しとしてもつ煮込が出されます。ちょっとしょっぱいがなかなかしっかり煮込まれていておいしい。焼物もなかなか。なかなかいい酒場でした。
2012/02/26
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埼玉県の素敵な酒場 その1（さいたま市編）
埼玉県は，東京都の北に位置する日本に8つある内陸県のひとつです。人口は720万人弱で全国第5位。西側は山地，それ以外は平地になっており，東京に近い南側には人口が密集しています。市の数が39で日本の都道府県で最多となっています。海に接していないため，冬季は寒さ厳しく，夏季は熊谷や越谷など日本屈指の酷暑地域であり，40℃近い気温が観測されています。 埼玉県の名物としてすぐに思いつくのは深谷ねぎ，草加せんべい，芋菓子，狭山茶といったところでしょうか。B級グルメで地域を盛上げに力を入れていることも話題に上ることが多く，武蔵野うどん，加須うどん，秩父そば，おっきりこみ，ゼリーフライ，東松山やきとりなどがすぐに思い出されます。観光地も案外多く，重要伝統的建造物群保存地区に指定された川越や秩父長瀞渓谷はライン下りで日帰り観光の定番コースとなっています。 というわけで埼玉県の居酒屋事情ですが，実はさほど詳しくない（というかまだまだ未踏の地が多い）のでした。これまで巡ったわずかな酒場はほとんどがJR京浜東北線・埼京線沿線に当たっています。とりあえずの目標は，東松山で飲み歩くことでしょうか。 さいたま市は平成13年に，浦和市，大宮市，与野市などの合併によりできた市で政令指定都市となりました。その後，岩槻市も編入しています。いずれも中山道などの宿場町として古くから栄え岩槻も岩槻城の城下町であり，日光御成街道の宿場町として発展しました。旧浦和市は埼玉県庁が置かれているため埼玉県の行政の中枢として発展し，文教都市としても知られるようになっています。旧大宮市は埼玉県の商業の中心地であり，国鉄大宮工場が誘致されたことから鉄道の街として知られ，現在は鉄道博物館が移転してきています。旧与野市は明治時代初期など他の街より栄えていた時期もあったが，現在は主として住宅街になっていますが，自動車関連工場が多くできたため，自動車の街と呼ばれています。また，旧岩槻市には当初県庁が置かれる予定があったことからも県の中心でしたが，現在ではひな人形を専門とする人形店が集まる，人形のまちとして知られるようになりました。 と巨大な街が寄り集まった市であるため，酒場の方もさぞかし古くからの店が残されているんだろうなと期待して大宮駅，浦和駅界隈を歩きまわってみました。大宮駅こそ風俗街が残されており，怪しい街並みを散策することができますが，チェーン店以外の居酒屋らしい居酒屋はあまり見当たりません。浦和駅周辺は再開発もあってそれこそ心惹かれる酒場は少ない気がしました。むしろ北浦和駅や南浦和駅などの駅周辺にうらびれた飲み屋街が残っていて，気持ちがそそられます。大宮 いづみや 本店 昭和30年代初創業のオオバコ。駅前に変わらず残る渋い佇まいについふらふらと吸い込まれてしまいそうな位です。広々とした見通しのいい店内では日中から多くの客が酒をすすっていて，日本の戦後の酒場のひとつの典型を見るようです。大宮 いづみや 第二支店 同じ「いづみや」でも昭和43年頃創業のこちらのほうが，店内が壁で仕切られていて孤独感を味わいたい向きにはより居心地の良さがあるかもしれません。ぼくはこちらが好み。本店が明るく開放的な印象なら，こちらは閉鎖的でわびしい印象があります。浦和 丸真 一軒家の風情のある建物。酒場スペースのお隣は漬物屋さんのようです。思いのほか狭い店内で，カウンター8席，壁側のカウンターは6席位だったかな。奥にはテーブル2卓がある小上がり。長くもつ焼屋をやっているとは思えないきれいな店内です。酒2合と焼物3本で580円なんかのタイムサービスもあってうれしいですね。白髪のオヤジさんは無口で渋いし，給仕する女の子もテキパキとしてるし愛想もよく，ちょっと可愛くていいですね。南浦和 あかね 幾分古びてはいるもののどうってことのない外観の酒場ですが，扉を開くとこれぞ酒場といった風情が広がります。コの字カウンター（といってもカウンターの中は物置となっています）8席にテーブル席4卓ほど。雰囲気も非常に魅力的ですが，何より安さにびっくり串カツ:350円をもらうと巨大な串が2本。すごい。常連のおっちゃんたちが店の大半であるが，思いのほか常連同士の連帯というのがなく，のんびり呑むことができました。南浦和 蔵ちゃん ホームから南浦和の東口方面を眺めると見える店。L字のカウンター8席と使用されていないらしい小上がり2名用が1卓だけ。ここもいい雰囲気ですね。鼻歌を奏でるのが好きな店主も好人物のようで心地よい時間を送ることができます。南浦和 串助 「蔵ちゃん」のお隣でです。こちらもL字のカウンター12席程度の狭い店でいい感じ。ちなみに串焼屋かと思いきや，焼き物はなし。煮込みはあります。ここもオヤジの寡黙なところも含めていいなあ。
2012/02/26
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