nipparatの日記 囲碁 不思議体験 

nipparatの日記 囲碁 不思議体験 

Jul 18, 2006
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テーマ: 囲碁全般(752)
カテゴリ: 囲碁
 わたいご記念リーグ戦の私の緒戦であったひよこ雛形さんとの一戦は、今リーグ前半戦の大きな山場になる対戦であるだけでなく、私にとって大きな意味のある一局であった。

 昨年のパンダ杯準決勝という大舞台で、完敗しているからである。この時は、序盤に成算のない趣向をしてリードされたのだが、途中では厚みを生かして寄り付けると感じていた。ところが、見事にかわされて、寄り付くどころか差が広がっての敗戦であり、打ちのめされた気分であった。
 今回のリーグ戦を企画したのは、わたいごの盛り上げが一番の理由だが、その次にはひよこさんとの再戦の機会を得るためだったのである。

 対戦前から2連敗は避けたいという思いが強く、プレッシャーがかかっていた。前日、パンダネット上に保存されているひよこさんの棋譜を何局か並べてみたのだが、その強さをあらためて思い知った。
 パンダでは、何人かのプロ棋士のIDを知っているのだが、プロの中堅クラス相手に常に互角の勝負をしていて、その安定感に愕然としたのだ。ただ唯一、乱戦模様の碁になれば私にもチャンスが来るのではないかと思っていた。

 当日昼間は、日本棋院ネットで朝日名人戦の準決勝と決勝を観戦した。韓国の選手達は確かに強いと思ったが、日本の招待選手と違ってちょっと無茶するところがある。優勝したユンさんの対片岡戦も乱戦模様の碁になっていたが、片岡選手にも十分チャンスがあるように見えた。

 夕方に床屋に行き、さっぱりしてから対局に臨もうと思っていたのだが、この日に限ってやたらと混んでいて、8時ぎりぎりの帰宅となってしまったのは誤算であった。

 私の白番。黒番のひよこさんは、得意の三の三と小桂馬しまりの組み合わせ。予想通りゆっくりとした布石になる。私が、最初に注文をつけたのが以下の場面。白1である。普通に左上隅を受けて黒に左辺に開かれるのは面白くないので、左辺にはさみ返したいのだが、それだと黒三三から白が上を封鎖した後に黒から上辺の絶好の開きを許してしまう。それで、右辺黒の3間開きへの打ち込みと左辺のはさみ返しを見合いにしたのである。ところが、あっさり黒に注文は外されてしまう。黒4とつけられて封鎖を拒否されてしまったのである。ここをがっちり黒に治まられると、上辺も薄くなって面白くない。こんな事なら、白1と打たずに単に左辺つけ返す手の方が良かったかも知れない。

hiyoko1.jpg

 白13では、下辺に開く方が良いという意見が多かった。確かに14に開かれて黒に走られた布石になってしまった。13の飛びは黒のノゾキを持ち込みにしているのと、薄くなった上辺に応援を送っている手である。先に右辺の白を攻められるのを嫌ったのであるが、やはり14と開かれてみてちょっと後悔した。ただ、同じ局面が来たらまた13と打ってしまう気もする。

 ふと気づくと300人近い観戦者がいたので驚いた。何と、昼間の幽玄の間での朝日名人戦決勝中園×ユン戦より多いくらいである。これは気合が入る。
 対局は進んで、以下の局面図は白が右上に手をつけて行ったところである。ここで、白1からセキにする手がある。黒は劫にする手もあるがセキが相場であろう。これは、ずっと前から読めていたのだが、ここではまだ手をつけずに上辺守る方が良かった。しかし、手をつけた以上はセキにするしかなかったのだが、気が変って白1で上辺に守ったので、右上黒8に下がられて打った石が全部持ち込みになってしまった。
 実は、右上に手があるのをひよこさんは気づいていなかった。その手の内を見せてしまった上に、持ち込みになってしまったのだからひどい。

hiyoko2.jpg

 細かいが多少黒がリードの以下の局面で、白1~3と中を厚くして終盤の寄り付きに期待した。ここで、ひよこさんの黒12が放心の大悪手。13とはねられて只ではすまなくなった。
 安全に行くつもりが、秒に追われて思わず危ない所に手が伸びてしまうケースは、私もよく経験しているので、この時の不思議な心理状態は身に沁みてよくわかる。そういう心理状態になってしまうという事は、ひよこさんもかなりプレッシャーを感じていたのだと思われる。

 暴れるチャンスをひたすら辛抱して待っていたので、ここは猛然と襲いかかった。ようやくチャンスが転がり込んだので「ここしかない」と押せ押せムードである。逆に黒は、優勢だったのがミスから乱れた場面で、こういう状況から気持ちを持ち直すのは非常に難しい。

hiyoko3.jpg

 さらに進み以下の実戦図。白は中央上をつきぬき、今上辺の劫を争っている局面であるが、ここで劫立てで打った黒1が手拍子。白2と打たれてそこの黒一団を切り取る手が生じてしまったのである。後手を引き、白10まで黒を取り込み勝負がついた。

hiyoko4.jpg

 辛抱してようやく来たチャンスをつかんだ嬉しい勝利だが、とにかく幸運であった。序盤から中盤のひよこさんの打ちまわしが素晴らしかった。彼は姑息な手が通じない強豪なので、雑念なく澄んだ気持ちで楽しく打つことができた。終局後は、冷やしておいたシャンパンで祝杯を上げた。
 これで彼とは一勝一敗である。また、いい舞台で真剣勝負をしたいものである。
総譜
(わたいご自戦棋部門 エントリー)





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Last updated  Jul 19, 2006 02:22:27 AM
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Comments

nipparat @ Re[1]:追悼 畑正憲氏(04/08) GO!さんへ  ぜひお楽しみください。今回…
GO!@ Re:追悼 畑正憲氏(04/08) 11/11にしずおか囲碁まつりでまた伺う予定…
GO!@ Re[2]:追悼 畑正憲氏(04/08) nipparatさんへ 久能山東照宮は行ってみ…
nipparat @ Re:追悼 畑正憲氏(04/08) あまり確認しておらず、返事が遅くなりす…
GO!@ Re:追悼 畑正憲氏(04/08) しばらくご投稿がなかったので、案じてい…

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