浙江省囲碁交流会シリーズ( 6 回
https://plaza.rakuten.co.jp/nipparat/diary/200808260000/
当時 11 歳の可愛く少し小太りの柯君が、現在世界最強とも言われる中国の柯潔(かけつ) 9 段である。残念ながらニアミスで対局できなかったが、私が対局相手に渡した名刺を羨ましがって、私の所にもらいに来たのが柯君だった。今も持っているだろうか?(まさかね)
その柯君と打ったのがOさん。すでにプロ棋士だった柯君に大善戦し終盤まで優勢だったらしい。夜の懇親会の席で「彼はまだ甘い」などとOさんらしい大胆な発言が飛び出したのだが、引率の陳臨新 9 段が「 柯君は強い。」と 即座に否定していた。調子に乗るとおそろしく強くなるOさんに対し、柯君が固くなったのだろう。
私の相手は、胡君。柯君の方が強かったようだが学年が一つの上の胡君が上位で打っていたようだ。とは言ってももちろん彼も天才少年。私の黒番。変則布石の出足。天頂で検討すると、多くの場合驚くほど変則布石の評価が低いのだが、この場合は左下の形との連携が面白く黒悪くないようだ。少年がどう対処してくるか興味があったと思う。
実戦図 1

黒がリードした以下の局面。中央一間飛びの所から下に向かってさらに一間飛びすればいい感じだったのだが、黒 1 から 3 が悪い癖。寄りが戻って得にならなかった。
実戦図
2

それでも黒リードの局面、白 1 の気合にびっくりした。
実戦図 3

さらに以下白 1 が最後の勝負手。
実戦図 4

胡君の連発する勝負手を何んと凌いで勝利が見えた次の瞬間、痛恨の手拍子が出てしまった。以下の黒 2 で、 3 に打てば何もなかったのだが黒 2 が大失着で敗着。白 3 が見事な手筋で劫になってしまった。
胡君は人懐こくて元気があって、少し大人しい感じの 柯君とは対照的だった。彼は プロになっていないと思っていたのだが、最近調べると中国棋院に胡鈺函五段という棋士がいる。函館みたいな名前だなと思った記憶があるので間違いないだろう。データベースで棋譜を拝見すると、この碁のように序盤辛い打ち方で中盤から強烈な殴り込みで乱戦になっている碁が多い。柯君には一歩遅れたが、その個性的な碁で世界のトップに躍り出るのを期待したい。
実戦図 5


PR
Comments