実戦図の場面まで、右下で少し白が遅れて黒が走っていた。ただ、黒 5 までとなった所でリードは飛んだようだ。黒 3 では、この下がりか一路下の渡りしか頭になかった。今はほとんど見なくなった形だが、以前のプロの碁でも黒 3 の下がりが多かったと思う。ここで天頂の推奨も下がりだが、 Lizzie の推奨は全く違う手だった。
実戦図 1 
Lizzie の推奨は以下の A かB。柔軟な手だが、形としてはある手なので、全く考えなかったのは左辺を黒の構えにしなければと言う思いに囚われていたためだろう。 かつて酒井猛プロが、アマとプロの一番の差は柔軟性にあるというような事を書いていた。よく見かける形に囚われるだけでなく、「この石は攻めなければ」とか、「ここを地模様にしなければ」などの思いが生じた時に、局面が変化してもすぐ切り替えができない事が多い。AIには、さらにプロ以上の切り替えの早さを感じる。
低段者でスソアキを全部受けてしまう人に「碁は変化するもの。変化を楽しもう。」と言うのだが、実は自分自身に言い聞かせている言葉だ。
参考図 1

以下の図になれば下辺の味も悪く黒が良いようだ。
参考図 2

参考図 3

黒Bも狙いは同じなのだが、さらに欲張った手だ。この手に対し、上ハネなら黒A切り、下ハネでも黒Aとなる。
参考図 4

仮に以下のような図になれば黒の注文通りで、左辺の黒を捨てて左上・上辺で黒が主導権を握れる。
参考図 5

実戦は中盤まで黒がリードしていたが、上辺で失敗して微細な展開となった。以下黒 3 に白 4 が打ち過ぎでここが手になって黒勝ちとなった。白 4 で 7 なら、黒 4 先手から黒 5 と切り、白左側から当て黒 6 となり、微細な形勢が続いていた。
実戦図
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