SAC.COM

PR

バックナンバー

2025年11月
2025年10月
2025年09月
2025年08月
2025年07月
2025年06月
2025年05月
2025年04月
2025年03月
2025年02月

カレンダー

フリーページ

2012年09月15日
XML
カテゴリ: 読書


 『共喰い』
 田中慎弥(著)
 集英社 2012/01/30



共食い
 デジタル大辞泉

 とも‐ぐい 〔‐ぐひ〕 【共食い】
 [名](スル)
 1 同じ種類の動物などが、互いに食い合うこと。
 「カマキリが―する」
 2 同業者が、互いに利益を奪い合い、その結果、ともに損をすること。
 また、そのような状態。
 「与党候補どうしの―となる」

世界大百科事典 第2版
 動物が自分と同種の動物を食べること。
 これには少なくとも二つの型がある。
 一つはなんらかの原因で死んだ仲間の死体を食うものであり,もう一つは積極的に殺して食べるものである。
 前者が動物食性の動物でかなり一般的にみられる現象であるのに対し,後者はこれを回避するような行動上のメカニズムを進化させている動物が多いこともあって,比較的まれである。積極的な共食いは,ほとんどの場合成体が同種の幼体(ふつうは自分の子ではない)を食べるものであり,コロニーをつくる海鳥類,魚類,昆虫,ライオン,チンパンジーなどで観察されている。


『喰う』 は「会意文字で、『口+食』。
 食の別体として「くう」という訓を表すためにつくられた。」
 中世までは『くふ』が標準的な言い方であったが、『食べる』が一般化してから『くう』は『食べる』の俗な表現となった。



 水に還る、水に流す。

 上流と下流は暗渠になり、一部露出した川が舞台。

 少年は父と暮らす。

 父と別れた母親も川縁で魚屋を営む。

 別れた母親、父の愛人、娼婦。

 少年と少女との出口の見えない愛の営み。

 暴力的な父に似た点を自覚し、少年は自らについて恐れ慄く。




 目 次
 「共喰い」
 「第三紀層の魚」



影と影人が抱き合った。
 橋の形は雨で消えた
 川の上に直接影が浮かんでいた.

 ネットリとした現実描写に端々に、ファンタジックな光景が織り込まれている。

 「共喰い」の芥川賞受賞に異存はないが、重苦しさが少ない分「第三紀層の魚」の読後感の方が、自分には合っていると感じた。





田中慎弥
 1972年、山口県生まれ。
 2005年「冷たい水の羊」で第37回新潮新人賞受賞。
 2008年「蛹」により第34回川端康成文学賞を受賞。
 2008年「蛹」を収録した作品集『切れた鎖』で第21回三島由紀夫賞受賞。

 2012年「共喰い」で第146回(平成23年度下半期)芥川龍之介賞を受賞。












お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2012年09月15日 16時23分45秒
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

キーワードサーチ

▼キーワード検索

プロフィール

Ta152R

Ta152R

コメント新着

私はイスラム教徒です@ Re:マスク効果とマスク・リスク(05/05) 神神は言った: コーランで 『 人びとよ…
maki5417 @ Re:コメ 品薄の構図、値上げの秋(09/09) 需給ギャップは20万トン程度。 6月頃か…
maki5417 @ Re:福島原発の核燃料デブリ取り出し…着手できず作業中止(08/31) 核燃料デブリ取り出し 元請けから下請け…
maki5417 @ Re:香川産 養殖鮭に注目(07/07) 外国のように船ごとの漁獲高制限をしない…
maki5417 @ Re:星野リゾートトマム 施設売却(07/05) 中国に買われていたとは知りませんでした…

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: