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2020年08月12日
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カテゴリ: 自動車
 2020年7月28日、日産自動車は2020年度の第1四半期(1月~3月)決算と2020年度の通期見通し発表。
 第1四半期の販売実績はグローバルの需要が1249万台(前年同比で44.5%減)となる中、日産は前年同期比47.7%減の64万3000台を販売した。
 4~6月は前年同期比34.5%減の82万7000台を販売した。
 2020年度第1四半期の連結売上高は、対前年同期比50.5%減の1兆1742億円。
 連結営業損益は1539億円。
 当期純損失は2856億円。
 日産は販売費用やモノづくり、固定費などの大幅削減を行なったことで、連結営業利益は1539億円の赤字に留められたと分析した。

 2020年7月30日、ルノーは、2020年上半期の決算を発表した。
 売上げは前年同期比34.3%減の184億2500万ユーロ。
 最終損益は過去最大となる72億9200万ユーロ(約9000億円)の赤字となった。
 コロナ前から不調であったルノー・日産・三菱自同盟も、コロナ前は好調だった自動車メーカーも、社会がコロナ前と変わっていることを反映しての改革は必至と思われる。


 7月27日に2021年3月期の連結最終損益が3600億円の赤字の見通しを発表した。
 同日、完成車組み立てを手掛ける100%子会社、パジェロ製造の閉鎖を決めたと発表した。
 ゴーン氏の量産規模の拡大で、製造原価の低下と販売価格の低下をはかる戦略は、いったん挫折した。
        ​
[和田憲一郎(日本電動化研究所 代表取締役)]
2020年07月17日 MONOist
 …(略)…
 …このような世界的な感染症の流行に対して、ポストコロナは単に元の状態に戻すことだけで良いのだろうか。
 長期視点で見たとき、もう少し違った視点で捉え、今から対応策を練り直す必要があるように思えてならない。
 今回はこれについて筆者の考えを述べてみたい。その際に、考えるべき視点として以下の3つを挙げたい。
・早く元の状態に戻すための課題
・ポストコロナに対応した車両開発が急務
・チャンスと捉えている企業も少なくない
早く元の状態に戻すための課題
 言うまでもなく、各国の自動車産業はいかに早く以前の状態に戻そうかと注力している。
 しかし、今回のCOVID-19に対して、簡単には元に戻れない幾つかのハードルがあるのではないだろうか。大きく3つに分類してみた。
(1)開発が困難
  …(略)…
 単なる打ち合わせであればテレワークでも対応できるが、車体レイアウトの最終設定など、多くのデータを検証しながら、関係部門の意見を調整し、決定を下していくことなど、テレワークでは効率が悪い。
 実験に至っては、CAE解析などで事前確認ができても実車で確認しなければならない案件も多く、テレワークでは到底つとまらない。開発日程に影響が出ているのであれば、企業の事業計画を狂わせ、企業収益に影響を及ぼす。
(2)生産継続が困難
 生産面の課題は2つある。1つは、北京の例でも分かるように、いったん収束しても、第2波などの波状攻撃が予想される。
 このため、自動車メーカーが工場をようやく再開しても、ある地域で第2波に見舞われると閉鎖せざるを得ない。
 部品メーカーも同様だ。
 COVID-19が波状攻撃で来ることにより、サプライチェーンは度々寸断され、生産が安定しない状況が続いてしまう。
 次に、生産時はこれまで以上の追加作業が生じる。
 自動車の製造では溶接などがロボット化されているが、車両の内外装部品の組み立てはどうしても人手に頼ることが多い。
 このため、完成検査を行った後に、内外装部品に対する消毒作業が追加されるのではないだろうか。
 また出荷後も、インパネなどの室内部品に対して、容易に触れない配慮が必要となるだろう。
(3)販売が困難
 ディーラーは対面販売を基本としているが、これが困難となる。
  …(略)…
        ​
ポストコロナに対応した車両開発が急務
 既販車種ではやむを得ないが、COVID-19は以前のSARS(重症急性呼吸器症候群)とは異なり、第2波、第3波と幾度もその波が押し寄せてくると考えられる。
 そうなると、次の新型車企画に当たって小手先だけではなく、本格的にポストコロナに対応した車両開発が急務と思われる。
 では、どのような視点で考えれば良いのだろうか。
 おそらくこれを実践するためには商品企画、設計基準、ガイドラインなどの見直しまでも必須となろう。以下3つのキーワードを例に考えてみたい。
(1)ソーシャルディスタンス
 一般的な意味では、疾病の感染拡大を防ぐために意図的に人と人との物理的距離を保つことである。
 では自動車業界向けに翻訳すると、どのような視点が必要となるのだろうか。
 まずは室内空間に対する考え方だ。
 これからの車両は、これまで以上に室内空間を十分に取った車両が好まれるのではないだろうか。
 もちろん、全幅は各地域のニーズによっておおむね定まってくるが、今後何を優先するかと考えたとき、全幅をやや大きくし、室内空間に十分配慮した車両が望ましいように思われる。
  …(略)…
 操作系のディスタンスについても検討したい。一般的にインパネ周りなどの室内レイアウトは、エルゴノミクス(人間工学)を考慮し設計されている。
 しかし、これまでの機能に対して、運転席、助手席の操作役割分担を見直すことも一案である。
  …(略)…
(2)殺菌効果
 殺菌技術として、深紫外線が話題となっている。紫外線(波長100n~400nm)の中で、特に波長の短い領域(波長100n~280nm)を深紫外線と呼び、高い殺菌能力を有しているといわれている。
  …(略)…
(3)コンタクトレス
 COVID-19では、これまで以上に接触についても考える必要がある。
 コンタクトレスにつながる技術の1つが、ワイヤレス給電だ。
 ワイヤレス給電はこれまで幾度も取り上げられているが、利便性がありながら普及段階とはいかなかった。
 しかし、今回の事態を受けて、EV(電気自動車)やPHEV(プラグインハイブリッド車)で充電する際に、充電ケーブルの充電ガンに触れることなく充電できるとなれば、ユーザーにとってうれしい機能となる。
 中国などでは徐々に実用化しつつあり、いよいよワイヤレス給電に脚光が浴びると思われる。
        ​
チャンスと捉えている企業も少なくない
 忘れてならないことがある。COVID-19の感染拡大は同時期にグローバルで起こったのではなく、地域によりかなり時間差があったという点だ。
 最初は中国で発生したが、現在では北京で一部発症があるものの全体的には収まっている。
 一方、米国では第2波の到来が大きな社会問題となっている。
 そして、落ち着いてきた国や企業は、これをチャンスと捉え、より業態の拡大を図ろうとするのではないだろうか。
  …(略)…
        ​
(1)M&Aのチャンス
 COVID-19で疲弊している自動車メーカーは多い。
 そうであれば、中国自動車メーカーから見て、日本やドイツなどで技術力のある自動車メーカーはM&Aの対象として浮かび上がる。
 中国では、EVバスやEVトラックも今後飛躍的に伸びる可能性があり、グループ企業として日系の商用車メーカーなどを迎え入れたいと思うだろう。
 もちろん、一般の自動車メーカーに対しては、技術提携から資本提携などの方策を取ることも考えられる。
(2)自動車の基盤技術を高めるチャンス
 中国自動車メーカーの最大の弱点は、クルマの基盤技術にあると思われる。
 その証左として、中国国内では販売可能であるが、ワールドワイドで展開できる車両は極めて少ない。
 衝突安全性も含めたプラットフォーム構想、自動運転車に必要な構造など、多くの基盤技術を高めるチャンスを狙っている。
 そのための方策として、中国国内への大規模なR&Dセンターの誘致、中国自動車メーカーが日独の自動車メーカーと合弁でR&Dセンターを設立するなどが想定される。
(3)要素技術を高めるチャンス
 中国では、新エネルギー車をターゲットに大手やベンチャーで多くの企業が乱立しているが、要素技術の実力は必ずしも高くない。
 モーターやインバータ、さらにその要素となる電子部品など、多くを海外部品メーカーに頼っている。
 自動運転に必要なカメラ、センサー類なども同様である。
 先般、オリンパスがカメラ事業を手放すことで話題となったが、中国の自動車関連企業が日独などで要素技術の高い部品メーカーに対してM&Aを持ち掛けることも考えられる。
​  ― 引用終り ― ​
        ​
 コロナ禍以前から、内燃機関の限界、電動化などで自動車産業は曲がり角に来ていた。
 元の状態に戻す、戻る事態は考えられない。
 世界の新車市場は一体化の傾向を強めており、企業グループの合従連衡で大規模化の度合いがますます強まった。
 開発・製造・販売で大きな失策をしたグループは存続の危機に陥る可能性が高まった。
 COVID-19対応は、山積した諸課題に対応する機会となる。






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最終更新日  2020年08月12日 06時00分08秒
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