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2024年09月10日
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 東京ディズニーリゾート(TDR)は繁閑によるパークチケットが価格変動制となり、2023年にはチケットが1万円台となった。
 ユニバーサルスタジオジャパン(USJ)もTDRと同じく2023年には1万円台となった。
 2024年にも値上げを行い、もっとも高いチケットは10900円。日本テーマパーク界の雄、TDRと同水準。
 最安値の日どうしの比較では、TDRが7900円なのに対しUSJは8600円。USJのほうが全体的に高めとなっている。
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 9月2日に財務省が発表した2024年4~6月期の法人企業統計は、金融・保険業を除く全産業の経常利益が前年同期比13.2%増の35兆7680億円で、四半期ベースとして比較可能な1954年以降で過去最大となった。プラスは6四半期連続。
 歴史的な円安により輸出企業を中心に収益が押し上げ、インバウンド客の増加が収益の拡大に寄与した。コロナ明け、円安日本ではインバウンド客が順調に増加しており、サービス業のうちインバウンド客の比率が高い企業は、価格引き上げの好機となっている。
 人口減、労働人口減による時給アップは、労務費比率の高いサービス業のコストアップ要因であり、価格転嫁の必要性も高まっている。
 人口減少日本向けの薄利多売の商売は、将来性に乏しく、継続が難しくなっている。
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日刊SPA!  2024年9月2日
  …  (略)  …
 こうした背景には何があるだろうか。もちろん、物価高などの事情もある。一方、それだけでない要因もある。それが、テーマパーク全体の「量から質」への転換だ。
 ディズニーが最もわかりやすい。コロナ禍での大幅な来場客の減少を経て、たくさんの客という「量」を入れて収益を取る方向から、それぞれの来場客の体験の「質」を深める方向に転換することを公式に発表している。
◆「量から質へ」の転換が加速する理由
 イマーシブ・フォート東京でも同様だ。そのオープニングセレモニーで森岡氏はこう述べる。現在のテーマパークは、多くのゲストを入場させて同じ体験をさせるモデルである。しかし、イマーシブ・フォート東京ではそれを変え、「一人ひとりに違う体験をさせる」ことを目指している、というのだ。
 少し補足すると、イマーシブ・フォート東京で楽しめるのは、「イマーシブシアター」という参加型演劇の形式を採ったアトラクションで、これはゲストがそのアトラクションに一人の参加者として入り込むもの。客の反応や選択によって、そのアトラクションの内容が変わるのだ。だから森岡氏は「一人ひとりに違う体験をさせる」ことができる、というわけである。
  …  (略)  …
     ​
◆テーマパーク以外の観光地でも「消費額を増やしていく」方向性
 実は、「量から質へ」の転換は、テーマパークだけで起こっているのではない。
 観光産業全体の昨今のトレンドでもある。2023年3月に閣議決定された「観光立国推進基本計画」では、今後の日本全体の観光の方向性として、「量から質」への転換が謳われている。そこでは、これまでのような観光客の量に依存して収支を取るのではなく、一人一人の消費額を増やしていく方向で観光地を形作ることが目指されている。こうした背景には、コロナ禍を経験したことにより、観光客の量だけに頼ってしまう危険性が露呈したことや、昨今話題になっている「オーバーツーリズム」(観光客の増大により、地域住民の生活に悪影響が出たり、観光地の質が低下してしまうこと)の問題も関係していると思われる。
 例えば、国内外に69の施設を持つ星野リゾートの代表である星野佳路氏は、とあるインタビューの中で明確に「これからの観光はコロナ禍前に出来なかった量から質への転換が重要だと考えています」と述べ、自社での沖縄のプロジェクトについて説明する。そこでは客単価を下げず、社員教育を徹底して、サービスを徹底させていった経緯も語られている。
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◆テーマパークは「行きたい人だけが行けばいい」けど…
 「量から質へ」の転換は、テーマパークのみならず、観光業全体、ひいていえば日本全体で起こっている変化なのである。
 しかし、「質」を向上させるには、基本的にその施設の利用料を引き上げるしかない。観光立国推進基本計画でいわれていたように、量に頼るのではなく、一人一人の消費額を上げる方向を目指すのならば、当然それぞれの商品やサービスの単価は上がっていく。
 また、テーマパークの事例でも明らかなように、「質」の向上は基本的には「チケット料金の値上げ」を意味している。イマーシブ・フォート東京が典型的なように、ゲスト一人あたりにかけるコストをあげていくことが、体験価値の向上につながっていくからだ。
 テーマパークだけであればいいかもしれない。「行きたい人だけが行けばいい」といえるからだ。ただ、それが、観光業界全体で起こっているとなると、(卑近な言い方になるが)これからの観光は「金持ち」しかいけない、ということになってしまうのではないか。もちろん、これは誇張した言い方だ。さまざまな工夫で低価格の観光も実現はされていくだろう。
  ―  引用終わり  ―
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 ずいぶん前から、F1シリーズの主催者はF1GPを庶民のイベントとは考えていない。オリンピック並みの国家的イベントにしようとしているので、ヨーロッパ以外では国家に準じた団体が主催するものが多い。
 高額なチケットは、鈴鹿サーキットではなくF1シリーズ主催者のロゴマークが付されて販売されている。

鈴鹿サーキット公式サイト
 ​ F1チケット情報
 一人当たりGDPが低下し、国全体のGDPでもランクダウンを続ける「円安日本」で、庶民がF1に行けるのは、日本の関係者の努力の賜物。
     ​
【F1】
2024/9/1 東スポWEB
 鈴鹿サーキットが来年4月4~6日に開催されるF1日本グランプリ(GP)のチケット料金を発表し、その高額ぶりにファンから悲鳴が上がっている。
 1名あたりの料金で最も高額な「Formula1 Paddock Club」が前年の90万円から110万円にアップしたのを筆頭に、ほとんどの席種が値上げされた。「GRAN VIEW M(2名)※1F」の100万円は、前年の60万円から大幅な値上げとなった。
 さらに、大人1名では最も安い「西エリア券」でも1万6000円に設定されるなど、庶民では手が届かない価格にファンからは続々と悲鳴が上がっている。
  ―  引用終わり  ―
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 F1日本GP についてははるか昔、シリーズが地上波で放送されていたセナプロ時代から、チケット価格を引き上げて、より快適な観戦環境にして欲しいという声があった。
 FSW(富士スピードウェイ)は企業の存続にかかわるとして契約途中でF1開催を返上した。 円安により鈴鹿サーキットには契約金の高騰が重くのしかかっていることだろう。
 嘆くべきは世界経済の中の日本の経済的地位の低下。竹中平蔵がブレインとなっていたアベノミクスは、低賃金政策で内需の拡大を阻害し、人口減少と相まって日本経済を縮み上がらせ、円安日本を実現した。
 モータースポーツがセレブ、貴族のものとなる往時が近づいていると考えた方が適切。





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最終更新日  2024年09月10日 06時00分18秒
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