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2024年09月17日
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テーマ: 賃上げ交渉(14)
カテゴリ: アメリカ
 物価高騰により米国は賃上げラッシュとなっている。賃上げをめぐり、サービス業でもストライキが行われている。
 米国・カリフォルニア州で2024年4月にファストフード店の従業員の最低賃金が、時給16ドルから時給20ドル(日本円で3100円余り)に引き上げられたことが、日本でも報じられた。
 9月3日、米国、カナダのホテルやカジノ、フードサービスなどの従業員が所属する労組「ユナイト・ヒア」は、メリーランド州ボルティモアとワシントン州シアトルの2都市でストライキを終了したと明らかにした。他の7都市では9賃上げ要求実現に向け376人が今後1─3日間、ストを継続した。
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 様々なトラブルが重なり第2・四半期決算は純損益が14億4000万ドルの赤字だったボーイング社も賃上げ要求に直面した。
 ボーイングは現地時間9月8日、同社最大の労働組合IAM(国際機械工労組)と労使契約の暫定合意に至ったと発表した。4年間で25%の賃上げを行うことを柱とした合意内容には、ボーイングの次世代機をシアトル近郊のワシントン州ピュージェット・サウンド地域で製造することも含まれる。
 今回の労働協約では、同社史上最大の賃上げや、医療費負担の軽減、退職金への会社負担の増加、ワークライフバランスの改善などで合意が含まれている。
 これで解決かと思われたが、そうは問屋が卸さなかった。

スト回避へ
ロイター / 2024年9月9日 10時16分
 航空宇宙大手の米ボーイングは8日、25%の賃上げなどを柱とする新たな労働協約で労組と暫定的に合意したと発表した。13日にも実施の可能性があったストは回避される見通しとなった。
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 全面的な労働協約の締結は16年ぶりで、期間は4年。ボーイングは次期商用機の建造をシアトル地区で行うことも確約した。小型旅客機「737MAX」の品質問題などで揺れる経営の建て直しに取り組むオルトバーグ新最高経営責任者(CEO)にとって重要な成果となった。
 労働協約には退職給付金の引き上げ、生産工程の安全性や質への労組の関与拡大も盛り込まれた。
 協約が成立するには、シアトルとポートランド近郊のボーイング工場の労働者が12日までに承認する必要がある。賛成が過半数に届かなければ協約は成立せず、ストについては2回目の投票で中止への賛成が3分の2に届かなければ実施が可能となる。
 ボーイングは品質問題に加えて財務面でも圧力にさらされており、7月に発表した第2・四半期決算は純損益が14億4000万ドルの赤字だった。
  ―  引用終わり  ―
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 ボーイングでは、会社側と労働組合の執行部が9月8日、協定案で暫定的に合意したが、組合員から賃上げの幅などが不十分だとして反発が起きていた。
 9月13日、賃上げなどの協定案が組合員の反対で否決されたことから、ボーイングではストライキに入った。協定案は94%の反対で否決された。
 ストライキの実施に96%が賛同した。
 ストライキは2008年以来16年ぶり。企業の窮状は、組合員には関係ないということなのだろうか。失業も辞さぬほどに米国の物価上昇が激しいということなのだろうか。
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 ワシントン州にはB747組立用に建設され、現在はB787を製造している主力旅客機組立工場であるエバレット工場がある。B-29の組立工場として有名で現在はB737を製造しているレントン工場もある。
 ワシントン州のボーイング社で主流のIAM(国際機械工労組)は、労使対決で名をはせたUAW(全米自動車労組)と異なり、比較的労使協調路線を保ってきた。
 ボーイングの品質問題の発生は、過去の業績不振時の解雇により熟練工が不足していることにも原因があると噂されている。速やかな賃上げ交渉の合意は、そのような状況を踏まえて行われた労使協調路線の交渉の賜物だろう。
 憲法で団結権が保障されている日本と異なり、米国での労働組合結成、運営は容易なことではない。
 ストライキで賃上げが実現しても、ワシントン州のボーイングの従業員に仕事は戻らないかもしれない。

 数々の困難の中、IAMは労働組合結成を進めてきた。
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(米国)
2018年06月07日 JETRO
 航空機製造最大手のボーイングのサウスカロライナ州工場で5月31日、労働組合結成に向けて国際機械工労組(IAM)による労使交渉を求める従業員投票が整備部門で行われ、169人中104人が賛成し、可決された。
整備部門で従業員投票、IAMによる労使交渉を可決
 ボーイングは2008年のワシントン州工場でのストで生産が止まったことを受け、2011年にサウスカロライナ州に米国内2番目の航空機組み立て工場を設立し、787型機「ドリームライナー」の生産を行っている。
 サウスカロライナ州は米国南部に多い「労働権法」制定州の1つで、また、労働組合組織率が2.6%と全米で最も低い。隣接するテネシー州にある日産自動車やフォルクスワーゲン(VW)で労働組合結成が否決されるなど、南部では労働者の組織化が困難とされている。
 IAMは既にボーイング・ワシントン州工場で労働者の組織化を行っており、同社サウスカロライナ州工場でも従業員の組織化を目指してきた。しかし、2015年には従業員投票前に申し立てを撤回、2017年2月に約3,000人の従業員を対象に行われた従業員投票でも74%が反対し大差で否決された。
 今回の投票は、ワシントン州工場に比べて7割と低い給与水準にあり、休日残業・解雇条件・昇給時期削減などの待遇に不満を持つサウスカロライナ州工場の整備部門従業員がIAMに直訴して行われたもの。契約雇用を含む同工場の全従業員約6,700人に比べるとごく少数派ではあるが、IAMにとっては同工場における労使交渉の第一歩で、従業員の組織化が困難な南部においては大きな勝利だと労働問題の専門家は語る。
  ―  引用終わり  ―





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最終更新日  2024年09月17日 06時00分13秒
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