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さて、白内障手術と言うのはテレビ等でも喧伝されているようにほとんどの場合は短時間でうまく行くわけですが、我々手術する外科医側から見ると、それぞれの工程での一つのミスが命取りになることもあり、術中は全く気を抜くことが出来ません。
これは白内障手術というものが極めて完成度が高く無駄がないものとなっているためですが、そのため手術終了後には毎回「廃人同然」というくらいの疲労感に襲われます。毎週極限の緊張感・ギリギリのストレスポイントの中で戦っているので、我々白内障手術専門医は常に覚醒して持てる能力の全てを発揮しなければならない状態で働いており、だからこそ患者様にとって最善のクオリティの高い眼科医療を提供できていると言う部分もあります。
さてこの「患者様には優しいが、手術する側から見ると余力が少なく厳しい」白内障手術を実際に行うに当たっては様々な無数の注意点があるわけですが、手術に臨むその瞬間にたくさんの注意点を同時に思い浮かべることはなかなか出来ません。そのため私は大切なポイントに絞り下記の3つのことに気を付けています。
1. なるべく大きなCCC(水晶体の前嚢という袋の表面をめくる手技のこと)を作る。
2. 短めの強角膜切開(白内障の手術操作のための傷口のこと)を作る。
1は、ハイドロダイセクション時のCBSを防ぐこと、US中の前嚢チョップを防ぐこと、術中の操作性を上げること、様々な効果がありますし本当に大切です。
2は、術中の操作性が良くなり、結果としてOPの難易度が下がり安全に施行することが出来るのでこれまた大切です。切開(3面)が長すぎると、角膜に皺が寄って極端に視認性が落ちたりとOPの難易度が急激に上がったりすることがあるので、常にそうならないように気を付けるべきです。
そして、上記の1.2を確実に実現するためには、
3. 常にZ軸(目の縦軸方向)を意識してOPをする。
ことが大切です。CCCの最初の穿孔についても十分な角度が無いと池田式CCC摂氏がうまく刺さらないですし、強角膜切開の4面の穿孔時にもZ軸方向へのベクトルはやはり必要です。またUS中に適切な高さで核を処理するのにもZ軸の意識は大切ですし、最後のIOL挿入にしてもZ方向へのベクトルがなければ永遠にクルクル回ってしまうということにもなりかねません。
このようなシンプルな原則を胸に、そして万一のトラブル発生時には多くの引き出しから適切で最適な選択肢を選び取れるように、これからも毎日の勉強を続けて行きたいと考えています。
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