にしわき眼科クリニック。

にしわき眼科クリニック。

2012.01.19
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カテゴリ: 手術全般
 さて今日もJSCRSウインターセミナー参戦記の続きです。セミナー2日目は、第4部 「マイマシン・マイモード このマシンをこう使え」から始まりました。以下は眼科専門医向けのやや特殊な内容を含みますので御留意下さい。

 ここでは各メーカーの白内障手術機械について、各演者がその長所をアツく語りました。

 まず累計売上世界一の日本アルコン社のインフィニティ

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 については、吸引圧&還流圧のダブルセンサー搭載で前房がとにかく安定していること、吸引の立ち上がりはコントロールパネル上でコントロールできるのでわざわざベンチュリーマシンを買わなくても良いこと、等が語られました。

 次にアボット社のシグネイチャー

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に関しては、溝堀り、分割、その後の処理でペリスタとベンチュリーを使い分けることによって効率のよい手術が出来ることが語られました。

 3番目のボシュロム社のステラリス

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に関しては、合うドクターには物凄く良いということが語られました。具体的にはそれまで他社のマシンで15~20分かけて恐る恐る手術をしていた先生が、マシンがステラリスに変わった途端「水を得た魚」のように生き生きと伸び伸びと手術が出来るようになり、手術時間も突然7~8分に短縮された、という事例が紹介されていました。このステラリスの凄さの秘密はやはりその「ステーブルチャンバーシステム」にあり、ボシュロム社が特許を取ったので他社は真似が出来ないということでした。ただ、このステーブルチャンバーは柔らかい核で5例、固い核だと2例で詰まってしまうという弱点も合わせて紹介されていました。

 4番目の唯一の国産、二デック社のフォルタス

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に関しては、APS(オートパルスシステム)とUS自動停止システムで、とにかく安全に手術が出来るということが強調されていました。

 しばらく前に私自身は上記の全てのマシンを実際にデモさせて頂いた上で、どのマシンも素晴らしい仕上がりではあったものの、その中から最終的にインフィニティとステラリスのどちらを買うか死ぬほど悩んだ末にインフィニティを選びました。

 その際決め手になったのは、グレード4.0を超えるような固い白内障を手術する機会が田舎に立地する私のクリニックでは多く、固い核を処理するにはステラリスよりもインフィニティがやはり頭一つ抜けて強いことと、インフィニティは登場後8年が経過しその間絶え間なく進化してきたので、極めて完成度が高く欠点の少ない、例えるならば「モデル末期のドイツ車」のような隙のない円熟のマシンになっているということでした。総合力ではインフィニティの方がステラリスをかなり上回っていると判断したのです。

 ただグレード3.5くらいまでであれば、率直に言って既にステラリスの方が優れている部分があるとも感じました。ハイドロダイセクションを確実に回し、核の2分割さえ出来ていれば、後はステラリスが魔法のように核を安全に確実に処理してくれるからです。6クリスタルの滑らかな超音波発振、ステーブルチャンバーシステムがもたらす驚異の前房安定性は一度体験するとやみつきというか忘れられない鮮烈な体験でした。お金があれば本当は両方とも買いたかったくらいです。

 私だけでなく、インフィニティとステラリスでどちらのマシンを買うべきか悩んでいる先生と言うのはきっと全国にたくさんいると思うのですが、私の個人的な考えでは、インフィニティは横発振がないとその魅力を存分には発揮できないわけなので、その独特のケルマンチップに違和感がないかどうかが最大のポイントになるのだろうと考えています。ケルマンに馴染めるのであればインフィニティは最高に素晴らしい選択肢に成り得るでしょうし、そうでなければステラリスの方が上という判断もあり得ると思います。いずれにせよ、両者共にエクセレントな仕上がりのマシンですし、どちらも間違いではないのだろう、と今回の講演を聞いても思いを新たにしました。






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最終更新日  2012.01.19 20:50:40


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