ハイパーのんちゃんの愛すべきものたち

ハイパーのんちゃんの愛すべきものたち

FIRST KISS



ねこちゃんの恋・・・FIRST KISS




ねこちゃんは親友のいる隣のクラスにいつも入り浸りだった。
ねこちゃんは5組、親友のうさぎちゃんは6組。

そこにかえるくんはいた。

1年生のとき、クラス委員で一緒だったのでクラスは違うけど顔見知りだった。

うさぎちゃんがすきなとらくんと同じクラブのかえるくんは明るくて女の子とも気軽に話せるタイプだった。

かえるくんにうさぎちゃんは恋の相談をしていた。

ある日、かえるくんがねこちゃんと付き合いたいと言い出した。
親友のうさぎちゃんは間を取り持った。

ねこちゃんはかえるくんとは別に好きな人がいた。けれど、かえるくんの存在が急激に大きくなっていった。

ねこちゃんはつきあう返事に「YES」と答えた。

ねこちゃんとうさぎちゃんは同じクラブ。いっつもつるんでて、しょっちゅうサボっていた。
文化部だったので、クラブの時間に彼氏となったかえるくんを見にグランドに行った。

家の方向はまったく逆なのに、一緒に帰った。

試合の日は応援に他校まで行った。

全然得意じゃないお菓子つくりに挑戦し、レモン風味のハート型のクッキーを山ほど焼いて、差し入れた。

ねこちゃんもかえるくんも明るい性格だけどシャイだった。

文化祭のとき、クラスが違うので一緒に行動ができなかった。

自分のクラスの展示物の見回り当番があって、クラスが違うのに周りの友達が気を遣ったのか、一緒に過ごした。

ねこちゃんは心臓が口から出そうなくらいドキドキしていた。いつの間にかすごくかえるくんを好きになっていた。

ある日の放課後、学校の敷地内ある場所で二人っきりでただただ一緒に過ごした。

ねこちゃんは内心、「KISSされるかな?」とドキドキしてた。
「あ、歯磨いてない・・・」地獄に落ちそうだった。

かえるくんが頬に触れた。おどけて見せた。



なんの前触れもなく、別れはやって来てしまった。かえるくんに他に好きな人ができたのだ。もしかしたら、本当はその子をずっと好きで、でも高嶺の花だから、道端の小花のねこちゃんと付き合ったのかもしれなかった。ねこちゃんは辛くて、生きているのも苦しかった。この世の全てが灰色だった。


別れたのか、振られたのか、ねこちゃんはかえるくんがずっと忘れられなかった。


楽しいはずの学校生活がねこちゃんにとって、なんの意味もないものになってしまった。
それでもクラスメイトも親友のうさぎちゃんもねこちゃんを励まし続けてくれた。

卒業。

ねこちゃんは、進路に女子高を選んだ。
どうせ、同じ道を歩けないのだから絶対会えないところに行こう。
ねこちゃんが聞いていた進路と違う高校にかえるくんは進学した。
「なんだ・・・だったら志望校変えなきゃ良かった。」ねこちゃんはちょっと思った。

春が来て、高校生になった。

ねこちゃんは学校にナイショで親友のうさぎちゃんのママの紹介でアルバイトを始めた。
電車通学だったので、ほとんど毎日シフトを入れていたねこちゃんは授業が終わるとさっさとアルバイトに行ってた。
生徒会副会長になって、放課後毎日生徒会役員は生徒会室に終鈴までいるという伝統があったのだけど、成績が良かったことをいいことに「予備校に行ってる」とウソをつき、アルバイトに励んでいた。

ある日のアルバイトの帰り、いつもと違う道を通って家に向かっていたら、見覚えのある男の子が自転車で通った。
かえるくんだった。
卒業以来だった。あの頃より、少しだけ大人びていたかえるくん。
中学時代と同じクラブで頑張ってるらしい。
かえるくんはクラブの帰りだった。
一緒に歩いた。

偶然会ったその場所から、2丁目のかえるくんの家はすぐそばだった。
ねこちゃんは3丁目。
あの頃は、ドキドキして上手にしゃべれなかったのに、今日のねこちゃんとかえるくんは沢山しゃべった。
初夏の夜、もう月が出てた。

急に自転車を置いて、かえるくんがねこちゃんの手をギュッとにぎってズンズンと歩き出した。
「どこに行くの?」かえるくんは黙ってた。
通りから一歩入ったマンションの影に行き着いた。

ねこちゃんは、かえるくんにぎゅっ~と抱きしめられた。
心臓は壊れた・・・様な気がした。
かえるくんの顔がねこちゃんに近づいた。

ねこちゃんは、かえるくんの唇の柔らかさを知った。
少女漫画で見るアレとはなんか違う気がした。
別に涙も出ないし、失神もしない。
でも、月が見ていたのでねこちゃんも月を見ていた。

かえるくんがボソッと何か言った。
「もっと早くにこうしたかった」
かえるくんはただKISSがしてみたかったのかもしれない。
ねこちゃんはこんなときでさえ、すでに終わってしまった恋だからと
思った。
もういちど、ふたりはチュをした。
笑う二人。

でも、この恋は二度とは戻らなかった。

ねこちゃんは、この魔法のせいで高校を卒業するまで新しい恋をすることができなかった。
大学入学のとき、またかえるくんと再会したのだった。

それでも、ねこちゃんとかえるくんは友達のままだった。

ねこちゃんは、ずっとかえるくんを好きだった。
それは、かえるくんと二人っきりで話をしたとき、かえるくんが「自分は自分の父親を尊敬してる。父親のようなひとになりたい」そう言ったから。

ねこちゃんにとって、かえるくんは最初にして最高のひととなったのでした。

この恋には、おまけがある。
かえるくんが結婚したといううわさを聞いた。
その相手は、ねこちゃんとうさぎちゃんと同じクラブで仲良しだった、ねずみちゃんだった。
ねこちゃんは、その後恋する心を封印してしまった。
随分長い間・・・。





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