思わずついた嘘と聞かない思いやり

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2004年03月12日

ちょっと気が早いかもしれないけど、

最近、会社でＧＷの話題が出ます。

今年は５月１日が土曜日なので、

のんのところのように

暦通りに出勤する会社でも

５連休になるんだよね。

そこで、話が出るのは、

旅行行きたいってことです。

ＧＷに割高なのはわかってるけど、

誰にも気兼ねせずにいけるってことで、

最近、のんともも先輩で、

旅行パンフレットを集めています。

真剣に探すと、

意外とお値打ちなのもあったりして、

だんだん現実味を帯びてきました。

５日間なので、

そんなに遠くは行けないけど、

中国、香港あたりが有力候補です。

実現するといいな。

とっても楽しみです。

小学校の頃、

長期のお休みには、

絵を描く宿題がありました。

のんは、絵を描くことが

好きだったから、

それ自体はイヤじゃなかったけど、

どこにも行かなかったりした時は、

内容に困ったりしてました。

今、思えば、

どこかに行ったことを

描かなきゃいけないわけじゃないけど、

皆、そういう絵を描いてるのに、

自分だけ家のわんこの絵だと、

ちょっと淋しい気がしてたんだな。

小学校４年生の夏休み。

お休み前、学校では、

自分の夏休みが、

どんなに楽しいものになりそうか

みんなが競争で話してた。

のんは、特に予定もなかったから、

みんなのお話をただ、

羨ましく聞いてるだけだった。

ちょうど４年生の時は、

兄貴は就職活動で忙しかったし、

Ｓ君（次兄）は受験だったし、

のんの家の環境自体、

遊んでられる雰囲気じゃなかった。

もともと兄弟が年離れてることもあって、

あんまし家族旅行って行ったことないし。

夏休みが始まって、

近所の美容院に行った。

小さい時から、

いつも行くところで、

おばさんが一人でやってるお店。

多分、他に話すことが、

無かったからだと思うけど、

「夏休みはどっか行くの？」

って聞かれた。

のんは、この質問が

とてもキライだった。

でも、みんながこう聞くんだ。

「どこにも行かない。」

そう答えるのが、ほんとにイヤだった。

なんだか、場の雰囲気下げちゃうし、

自分が惨めに感じてたんだ。

今だったら、

そんなこと気にせず、答えられるけど、

子供の頃は、自分のことを可哀想って

思われるのが、すごくイヤだったんだ。

それでつい

「うん。」

って答えてしまった。

予定なんて無かったのに。

「へぇ。どこ行くの？」

当然ながらおばさんは聞いた。

のんは、ちょっと困って黙ってた。

「海？」

「うぅん。」

「じゃぁ、山？」

「う・うん。」

すごく曖昧に返事した。

おばさんは、

「山いいねぇ。」

って言った。

のんは、自分が嘘をついたことに

とても混乱していた。

なんで、そんなこと言っちゃったんだろ。

すごく気分が落ち込んで、

そのあとどんな話したか

全く覚えていない。

家に帰っても、

気分は全く晴れなかった。

お母さんも行く店だし、

美容院のおばさん、

お母さんにその話するかなぁ。

そしたら、のんが嘘ついたこと、

わかっちゃうだろうな。

お母さん、恥ずかしい思いするだろうなぁ。

泣きたくなった。

もう一度、今日をやり直したかった。

夜、お母さんに

何度もその話をしようとした。

でも、どうしてもできなかった。

お母さんが、悲しむと思ったんだ。

のんが、どこかに行きたいのに

がまんしてるって思われるのも、

イヤだった。

そんなことで、

お母さん悲しませたくなかった。

兄貴たちが大変なのも分かってたし。

結局、その晩、

お母さんに話すことできなかった。

胸にすっきりしないものを

抱いたまま、何日か過ぎた。

ずっと気にはなってたけど、

結局、誰にも話さなかった。

今でも、その時の気持ちを

思い出すと、

ちょっと胸が痛い。

今、考えると、

大人はほとんど気にしないほどの、

子供の他愛無い小さな嘘。

でも、のんにとっては

１０年以上たった今でも

その時の気持ちが、

はっきり思い出せる。