鍋・フライパンあれこれ美味
100万ポイント山分け!1日5回検索で1ポイントもらえる
>>
人気記事ランキング
ブログを作成
楽天市場
000000
ホーム
|
日記
|
プロフィール
【フォローする】
【ログイン】
その他小説(ラブコメ風味)
~星に願いを~
ロゥ・バルバトスは、ゼロ・アリオーシュ率いる平和解放前線の一員であり、それなりの戦闘力を誇っていた。19歳の若き指揮官ゼロ・アリオーシュには及ばないものの、解放前線でも5本指には入る美形だという自負もあった。
解放前線は、元々は4年前に、王都フ・エルで、リーダーのゼロが、常に彼の隣で微笑んでいる(噂だと許婚とも言われる)ユフィ・ナターシャと、彼の両脇を固める人材、ルー・レドウィンとアル・オーレイの四人を連れてこの世界、ル・ギアスに過去の伝説の平和を取り戻すために掲げたらしい。
旅先で多くの敵と会い、誰かを救い、人が増え、噂が広まり、人が集まって来て……の繰り返しで、現在は42名にまで上り詰めた。
ここまで大所帯となると隠密に行動することも出来ないため、解放前線に好意的な国、フェ・ヴィの国にアジトを用意してもらい、半数がそこで雑務をこなし、残りの半数も半分に分け、フェ・ヴィから東西に分け悪を断つという解放行為を行い、定期的に合流していた。
ロゥが、この解放前線に参加した理由は、幼馴染みの少女、メルシー・バルドの存在だった。少女と言っても参加したのが14歳の時、2年前であったから、もう少女というわりには大人びてきた。彼女に手を引かれ、成り行きで参加し、戦ってきた。天真爛漫な彼女の姿は解放前線を活気付け、勇気付け、ロゥも後悔はしていない。乗りかかった船には違いないのだが。
だが、彼女に引かれるままだった生活も、彼女がゼロの部隊の方、西側に配置され、ロゥは東側のレイ・ラックライの部隊の方の配置のため、ロゥとメルシーは離れ離れとなった。
愛している、とまではいかないものの、気になる存在、ではあった。メルシーも、合流の時は真っ先にロゥも元に走って飛びつくので、嫌われてはいないのだろう。解放前線に参加して、結ばれた恋人は多い。まず、リーダーのゼロと、副リーダーであるユフィ。初期メンバーのアルと、アジトで情報処理をこなす、セレナ・フォーリー。ゼロに次ぐ実力者の、レイ・ラックライと、彼のサポーターのようなシャル・ウィルム。外交部隊隊長の、ディーン・リュックと、回復魔法に長けた、フォリナー・キルディア。工作部隊隊長の、ゲルハルト・ニックスと、魔法部隊の一人の、フィーラ・クレスジェクト。突撃部隊一、猪突猛進型で、傷の耐えないラシュ・メンデルと、後方からの弓で彼を援護する、ナナキ・ミュラー。などなど……。こういう息つく時の限られる場では、心の支えとなる人物が大切なようである。また、メンバーは皆未成年であり、そこらへんも厳しくしない理由の一つであろう。
また、貴族の子や、高名な魔法使いの家系の子、辺境で育った身寄りのない者など、親の名前のせいで比較されたり、劣悪な環境を改善するために、平和を手にするために参加したりする者もいる。
ゼロは、解放前線参加者に、条件は付けない。ルールも作らなかった。参加を希望する者は快く迎え入れ、歓迎した。
そして今日は、両部隊の合流する日であった。
フェ・ヴィの、アジト。
ゼロたち一向よりも、ロゥたちは先に着いたようだった。
ロゥは、もともとこの街出身のため、久々に自宅へと足を運んだ。道中、レイ・ラックライは正義感に厚いが、無口なので、何も言わずに敵地へと赴くことが多い。ロゥは、レイとともに最前線で戦う戦士であったから、流石に疲れもピークに来ていた。
ベッドに横になるが……眠れない。メルシーの事が、何故か気になった。
―――メルは……無事だよな……。あの馬鹿娘が、怪我はしても死ぬわけない、か……
ゆっくり眼を閉じる。いつもなら怒涛のようにやってくる睡魔が、来ない。
―――ピリピリした状況になれちまったか……?枕で寝れなくなっちまったのかよ
ロゥは苦笑した。外でも歩こうと思い、腰を上げた。
部屋を見渡す。ずっと一人っ子だったため、自分の物しかない。隣の家のメルシーも、一人っ子だったから、兄妹のように育てられた。親同士の仲もそれなりによかったし、小さい頃は、馬鹿みたいに楽しかった。メルシーに着いて行って、彼女が悪さをしても、要領のいい彼女は、いつもロゥにも責任を押し付け、平等に怒られた。だが、男の子だったため、ロゥの方がキツク怒られた。その時のメルシーの表情の輝いていたことは、なかなか忘れられない。不快感は、一度たりともなかった気がする。
楽しかった。だが、二人の父親が戦争のため兵として駆り出され、戦死し、後を追うようにロゥの母親は死んだ。ロゥが12歳の時である。その翌年、メルシーの母親も、病死した。
二人は、自然と共同生活を始めた。13歳のロゥと、12歳のメルシーは働くことは出来なかったが、親の残したお金で生活し、いつか必ず親の仇のために、と言ってメルシーは剣を買った。ロゥは、特に親の仇などは考えなかったが、メルシーに合わせて槍を買った。朝から晩まで、素振りをし、物干し竿を自分の武器の長さに切って、模擬戦もした。
ふと自分の机の横へ目をやる。あのころより少し古ぼけたが、変わらない物干し竿がある。
―――あのころは、小さかったからな……。室内でも出来たが……俺もでかくなったし、強くなった……もうここじゃあ、出来ないな。壊れちまう
ロゥは思い出し、苦笑した。
そして、外へ出た。
外には、知った顔しかいなかった。多いわけではないが、解放前線のメンバーも、外をフラフラ歩いているらしい。
「お~い! ロゥ~!」
知った声に呼ばれ、ロゥは振り返った。共に前線で戦う戦友、ルーク・バレリヤだった。一個年上の彼は、長身で体格も良く、痩せ型のロゥなど一蹴りでのされそうな雰囲気がある。
「ん? 何だ?」
ロゥは素っ気無く、だが、律儀に応答した。ルークは、少し肩で息をしてから、少し落ち着いたジェスチャーを見せた。
「もうすぐ、ゼロさんの部隊が戻ってくるらしいぜ、行かないか?」
ルークは、ロゥとメルシーが恋人同士と思っている。それに、彼の場合ゼロのほうに弟がいるためそれの心配もあるのだろう。二人は、別働隊に大事な人がいる、という共通点があった。
「分かった」
ルークの思惑とは違うが、ロゥは同意した。
二人が帰還地点である街の入り口には、少しばかり人が集まっていた。
ゼロは、ユフィという彼女的存在がいるにも関らず、解放前線内で、主に女性メンバーから絶大な人気があった。二人自身、曖昧なことしか言わないため、望みがあると思っている者もいるのだろう。
―――ゼロさんは……ユフィさん一筋だと思うけどな。あんな美人さん、ほっとくなんて勿体無いだろうが。メルにも、見習ってほしいもんだ、女性としての立ち振る舞いとか……。でも、それじゃあメルらしくないな
ロゥは入り口の門に寄りかかるように、ゼロの部隊が来るであろう方角を見ていた。ルークは、気付いたら近くにいなかった。すると、一人の女性隊員が近付いて来た。
「コンニチハ♪ ロゥくん」
ふと振り向くと、あまり記憶に濃くない女性、フィーラ・クレスジェクトが笑顔でこちらを見ていた。自然と、釣られて柔らかい表情になった。
「どーも。フィーラ」
そう挨拶を返すと、ロゥはすぐにもとの方へ向き直った。彼女のことはよく知らない。同じ部隊の、魔導師だったはずだ。
「メルシーちゃんを、待ってるんだよね?」
彼女の方から話しかけてきた。こうなれば話をする名分が立つ。反面、話をしなければならない名分も立つ。
「まぁ……あいつの、メルの保護者みたいなもんだからな、俺は」
何気なく、またフィーラの方へと向き直る。彼女はまだにこやかな表情をしていた。何故だろう? ロゥはそう思った。気にはしなかったが。
「ふ~ん……。ロゥくんって、メルシーちゃんの彼氏なんだよね?」
ロゥは彼女の言葉を聞き、がくっと肩が落ちた。
「そんなんじゃないさ、そんな大そう立派な身分じゃない」
ロゥは首を横に振った。
「でも、解放前線のメンバーの誰もが恋人同士って思ってるはずだよ? 知らなかった?」
フィーラは、たしかロゥと同い年なのだが、ずっと幼く、子供のようだった。あまり完成されていない容姿に、愛らしい大きな瞳、小さい唇、青く、澄んだ目、すらっとした鼻梁。真っ直ぐに伸ばしているが、あまり長くない亜麻色の髪。改めてみれば、十分に魅力的な女性だった。
「言いたいやつには言わせておくさ。迷惑になったこともないし。第一、百歩譲って恋人同士だとしたら、あの色恋沙汰の好きなユフィさんのことだ、一緒の隊にするだろうさ」
フィーラはぽかんとした表情になった。ロゥ自身、珍しく多くを喋った気がした。
「…………ふむ……断固として認めず、か…………」
フィーラがぼそっと呟いた。ロゥはそれを聞き取れなかった。
「え? 今、何か言ったか?」
ロゥはなんともなしに聞き返した。
「ううん、なんでもないよ。あ、じゃあさ、今度メルシーちゃん以外の子と組んで訓練してみたら? 以外な発見があるかもしれないし、それでも勝てたらロゥくんの実力と恋人説は嘘だったって、皆に伝えたげよっか?なぁんて……冗談だけど、アハハハハ♪」
フィーラは笑ってそう言った。ロゥは、基本的にメルシーが訓練時のパートナーなのだ。訓練の模擬戦は前衛前衛ペア戦と前衛後衛ペア戦があり、二人前衛前衛ペア戦は連戦連勝だったが、ロゥにとっての前衛後衛ペア戦は連戦連敗であった。それが、ロゥとメルシーを恋人のような阿吽の呼吸と言わしめさせていたりもするのだが。
「ふむ……。別に、いいぜ」
ロゥはまた、素っ気無く答えた。フィーラは、嬉しそうな表情になった。
「え?! いいの?!」
俄かに歓声が上がった。どうやらゼロたちの部隊が帰還してきたようだ。
「あ、帰ってくたらしいね、じゃあ、またネ♪」
フィーラは去って行った。
「なんだったんだ? 一体……。まぁ。それはそれ、か」
ロゥは、ゼロの周りに小柄で、自分と同じやや青い髪の少女がいないか一瞬、探した。だが、見つからなかった。
「ん? どこにいるんだ? あの馬鹿娘は?」
ロゥは隈なく捜したつもりだったが、付近をよく見ていなかった。
「ロゥ~~~~~~♪♪♪ たっだいま~~~~♪♪♪」
気付くと、猛烈な勢いで一人の少女が爆走していた。毎度お馴染みの、皆には見慣れた光景だが、やはり注目を集めた。
「な、何?! そこまで接近していたか!!」
ロゥは、彼の身体に向かって物凄い勢いで飛び込んできた少女の身体を全身で受け止めようとしたが、何を思ったか彼女は身体を丸め弾丸顔負けの勢いに変わっていた。
そして、ロゥはその弾丸の突撃を……腹部で受け止めた。
「ぐはっ!!」
一応、抱きとめた形にはなったが、ロゥは地面に倒れる形にもなった。彼の身体の上で元弾丸、メルシーは起き上がった。
「あ~ぁ~……全く。軟弱だなぁ、ん? ロゥさん?」
相変わらず、彼の上でメルシーは動いた。彼女が動く度にロゥは呻き声を上げる。
「えぇぇい!! 重いわ!! この馬鹿娘!!」
普段は冷静なロゥも半分怒り、半分安心の感じで怒鳴った。この彼女との自然な駆け引き漫才が、彼を二枚目と固定させなかった。
周囲からも爆笑が起こる。
「やっぱこれ見なきゃ合流した気にならないぜ!!」
「よっ!! ナイスメルシーちゃん!!」
「もっとロゥを痛めつけちまえ!!」
メルシーもその歓声に応えてロゥの上を動き回る。
「いい加減に……降りろーーー!!!」
ロゥが勢い良く立ち上がると共にメルシーは空中に投げ出され、見事に一回転半捻りを決め着地した。その姿にまた歓声が上がる。ゼロたちの帰還より、この二人を見に来る者のほうが多かったりもする。
「にゃははは♪ ただいま♪ロゥ」
屈託のない笑みで、非常に可愛らしく、愛らしい笑みで、メルシーは言った。
「おぅ。おかえり、メル」
ロゥは、ポンとメルシーの頭を叩いた。
こうして、両部隊の帰還が完了した。
愛らしい、野良猫のようにつかみ所のない、少女が、目の前にいる。
青い髪を、自然に伸ばしているだけなのだが、外はねしている。
思わず抱きしめたくなるような愛くるしさ。
万人に聞いても、万人が美少女と答えるであろう少女がいる。
なのに、ロゥは全く興味ないような感じだった。
メルシーは勝手にロゥの家に上がり、ベッドを占拠している。ロゥはというと、椅子に座り、愛槍の手入れをしていた。ベッドの上でメルシーがゴロゴロする度家が軋むような気がした。次の出発まで1週間。訓練開始は明後日。それ故、今日は明日の休息日の打ち合わせをするカップルが多い。例外は、ゼロとユフィと、レイとシャルぐらいか。
ロゥとメルシーは、というと、休日はいつもじゃれあっていたことしかない、とロゥもメルシーも記憶していない。
「ねぇ、ロゥ?」
メルシーが爽やかな、聞き良い声でロゥを呼んだ。
「ん?」
槍から目を離さずに、ロゥは応答した。
「明日さ……デートしない?」
その言葉にロゥは槍を落としそうになった。そして、咳き込む。
「何をおっしゃるのかな? お嬢様」
ロゥは苦笑に顔を引き攣らせながら言った。だが、メルシーの表情は不思議な程に無垢で純真だった。恥ずかしいなど思ってもいないだろう。
「というかね、一回ぐらいデートすればさ、ゼロさんも私たち一緒の部隊にしてくれるかなぁ? って思ったの」
ロゥは槍の手入れを終え、収納ケースへと収めた。
「そう……か。珍しく頭を使って考えたんだな?」
ロゥは、笑って答えた。
「う、うみゅ。その通りです……」
メルシーは今頃顔を紅くした。頬が紅くなるどころか、耳まで紅くした。
ロゥはメルシーの頭をぽんぽん叩いてやった。
「じゃあ、明日はメルに付き合いますかな。最後に、ゼロさんに当たってみようぜ」
ロゥの言葉にメルシーは感激し、嬉しそうな満面の表情を浮かべた。
「ロゥ♪大好き~♪」
またもやメルシーが飛び込んできたが、今度は距離も助走もなかったため、受け止められた。そして、疲れていたのだろう。すぐさまロゥの胸の中で穏やかな表情でメルシーが寝息をたて始めた。
「お前は一体何歳児だ? 全く。いつまでたっても可愛いやつだ、なんてな……」
ロゥはしばらく自分の胸の中で眠るメルシーを眺め、メルシーの保護者気分に浸っていた。
翌日。
メルシーが目を覚ますとベッドの上だった。きちんと毛布が掛けてあり、寒くないようにされている。横に目をやると、ロゥが椅子にもたれ掛かって眠っていた。穏やかな、優しい寝顔。メルシーは、このロゥは自分だけのものと決め込んでいる。
―――もしかして……私がベッド占領しちゃったから、ロゥはゆっくり休めなかったかな? あ~ぁ……また迷惑かけちゃった……
メルシーはパタパタと起きて近くの洗面所で顔を洗い、歯を磨いた。寝起きがもともと良いため、全く眠くない。
「ロゥを……起こしちゃ悪い、よね」
メルシーはそう言い聞かせ、外へと出て行った。
早朝だったからだろうか、ほとんどのメンバーはまだ外にいなかった。基本的に皆アジトに、借り部屋に泊まっているのである。
外の空気は、澄んでいて気持ちよかった。メルシーは大きく息を吸い、吐いた。
「ん~~~やっぱ……戦場じゃないってのは素晴らしいにぃ~~~」
散歩してみる。すると、何人かは人を見つけた。皆、女性メンバーだった。メルシーも、何となくに近付いた。耳を澄ませば、鋭い音が聞こえてくる。
「おはよ~。皆、なにしてんの?」
メルシーは彼女らに近付いた。気兼ねなく挨拶する。
「あ、メルシーおはよう。見てごらん? ゼロさんの朝練風景だよ」
彼女は、アルル・イディート、17歳の、いわゆるゼロの追っかけの一人。
「あんなに強いゼロさんでも、やっぱ訓練するんだねぇ……」
ウェイナ・クーゼル、彼女も17歳でゼロの追っかけだ。
「ただ純粋にカッコイイよね~」
ヴィセル・センヴァンス、16歳。一応ゼロ崇拝者の一人である。
―――あんた等は訓練しないんかい……
メルシーは呆れて、家に戻っていった。
「ただいま~。って、ロゥ起きたんだ。おはよう♪」
メルシーは寝起きであろうロゥに声をかけた。まだ完全に眼が開いていない。開くまでに、1時間くらいかかるのだが。
「おぉ、おはよ……」
今にも倒れて、眠りだしそうな勢いである。メルシーは苦笑した。
「ほらほら、さっさか起きる!! 今日は……デートでしょ!!」
言ってメルシーは赤面した。この解放前線で一番親しいロゥ相手なのだが、やはり恥ずかしいには変わらない。
「ん? あ、あぁ……」
ロゥの姿は、頼りなかった。
午前10時、軽めの朝食を取った二人は街の中を何気なく、歩いていた。普段と変わらない、散歩でしかない。ただ違うのは、メルシーが先頭ではなく、ロゥが前を歩いていることぐらいか。
テクテクテクテクテクテクテクテクテクテクテクテク。
ただ、二人は歩いていた。
「ねぇ、ロゥ? どこ行くの?」
メルシーが疑問に思って尋ねた。
ロゥは振り向かないで。
「見ろよ、こんなに快晴な日の休日、次は何時拝めるかもわかんないぜ。だったら、今日はあの場所に行くしかないだろ♪」
ロゥには考えがあるらしいが、メルシーには全く分からなかった。折角いつもの戦闘向けの服じゃなく、私服だというのに、メルシーは、とりあえずロゥについていった。
30分くらい歩いたか
メルシーは見覚えのある風景を目にした。小さな丘だが、フェ・ヴィの街を見渡すには十分な高さであり、その光景が美しかった。たしか、幼い頃もロゥがここに連れてきてくれた気がする。
「覚えてるか? お前とここに来るの、3回目だってこと」
メルシーは、きょとんとした顔をした。2回目という気がしていたのだが。ロゥははっきり3回目と言った。
「え? 前にロゥが連れてきてくれたのは覚えてるけど……他に来てるの?」
ロゥは軽く笑った。そして見渡す限り広がっているような光景に感慨に浸るように語りだした。
「ここを見つけたのは……メル、お前のおかげなんだよ。覚えてないか? 小さいころ、お前と俺が些細なことでケンカして、お前が夜になっても帰ってこないって言ったから、俺とお前の親父さんと、俺の親父で捜して、お前を見つけたのがここなんだよ。まぁ、あの時のお前は蹲って泣いてたから、この景色なんざ覚えてなかっただろうけどな。でも、俺ははっきりと今でも記憶してる。半泣き顔のメルが、街の光が輝いているのを背景にしてたこと。すっごく、綺麗だった。メルも、輝いて見えた。それ以来からかな? 俺は苦しくなるといつも一人でここから街を眺めたんだ。この雄大な光景を見ると、自分の悩みなんざちっぽけに見えてくるんだよ。だから、この素晴らしい光景こそ、デートに相応しいかと思ったんだが、つまらなかったか? メルには」
ロゥは罰の悪そうな表情を見せた。メルシーは、言葉を見つけれなかった。
この上なく、嬉しいのだが、あまりの嬉しさに、言葉が出ない。
思わずメルシーは、その場に蹲り、泣き始めた。
「お、おい! どうしたんだよ……? あまりにもつまらなすぎたか?」
ロゥは困り果てた表情をした。メルシーは両手で顔を覆い、ゆっくりと言葉を出そうとした。
「こんな演出……ズルイよぉ……予想できなかったもん……。ロゥってば……私も覚えてない記憶引っ張り出して、そんなに嬉しいところに連れてきてくれるなんて……。なんで……なんで……」
メルシーはロゥに抱きついた。ロゥは、しっかりと抱きとめ、抱きしめた。メルシーの涙で、濡れるのが分かる。だが、涙の冷たさは、メルシーの温もりが打ち消していた。
背中をぽんぽん叩いてやる。メルシーも、大分落ち着いたようだ。
「ねぇ……ロゥ……まだ、こうしていて?」
「あぁ……」
しばらくメルシーは、ロゥから離れず、ずっと抱きついていた。
夕刻。
二人はまだ小さな丘にいた。落ちる夕日をぼぉっと眺める。
その光景は、非常に美しく、力強く、神秘的であった。
「綺麗だね……」
「そうだな……」
地面に座って、肩を寄せ合って、夕日を見つめる。辺りは静かで、時折羽ばたく鳥の羽ばたきや、風が揺らし、葉っぱがこすれ生まれる微弱な音しかない。
「結局、デートらしいこと出来なかったな……」
「済まなかったな……」
メルシーの意地悪な言い方にも、ロゥは率直に対応した。
「でも……こっちのほうが良かったよ……」
「そっか……。アリガトな」
二人だけの空間には、静寂という名の盾が二人を包み、不可侵状態となっていた。
「ねぇ……ロゥ……わがまま、いいかな?」
「何だ……?」
「あのね……キス……して?」
「……あぁ……」
ロゥは、ゆっくりと、軽く自分の唇をメルシーのものに重ねた。ほんの、一瞬のことだった。
「ありがとう♪ロゥ……大好きだよ」
「あぁ……俺も、メルのこと、大好きだ……嘘偽りなく、大好きだ……」
二人だけの時は確実に、だが、ゆっくりと流れていた。
その日の夜。
ゼロやユフィ、ルーやアル、セレナ、レイ、シャルが集まり今後を話しているところに、フィーラがやってきた。
「ユフィさんの言ったとおり、次の訓練時にはロゥくんにメルシーちゃん以外と組むように言ってみました」
淡々と、フィーラは言った。笑顔で。
「しっかし、ロゥも強情だねぇ……。あんなに可愛い子をなんで恋人と認めないかね? 分かんないなぁ……」
ルーがぼやいた。ゼロはその姿を見て、鋭く言った。
「好いてくれる女がお前にはいないからな……。惨めだな」
ゼロの言葉に、皆が笑った。ルーが一人、叫び喚いていた。
そんな中に。
「失礼します」
ロゥとメルシーが入ってきた。フィーラとセレナとユフィは意外そうに、ルーは羨ましそうに、レイは無関心だが、アルとシャルは予想通りといった風に。
ゼロは、冷静な、澄んだ紫の瞳で二人をみた。
「どうしたんだい?」
アルが穏やかな声で尋ねた。
「えっと……その……」
メルシーは口籠った。やはり、いきなり付き合っているので同じ部隊にしてくださいなどはさしものメルシーでも言えなかった。
だが。
「俺とメルを、同じ部隊にしていただけませんか?」
ロゥは率直に言った。メルシーがビックリし、ゼロはほんの少しだけ微笑んだ。
「別にそれは構わないが。好きな女は男が護らなきゃいけない。何があってもメルシーを護れるか?ロゥ」
ゼロは冷淡に尋ねた。
「ハイ。俺の命に懸けて、メルは俺が護ります」
メルシーは嬉しそうに笑った。
「ったく……さっさと切り出さねぇから別なっちまうんだよ。いいか? 男ならビシッと決めろ、ビシッと」
ルーが頭を振りながらそう言った。
「お前が言っても説得力が足らん」
レイがそう告げると、皆が笑った。
「あっ! レイ! ひどいぜ!! それ!!」
二人を置いておいて、ゼロは軽く笑顔を見せた。
「お前たちの希望は聞き遂げた。次の出発の時には、二人ともレイの部隊に入ってくれ。それと……」
ゼロは一旦言葉を切った。そして。
「お前たちはお互いに好き合ってるんだろう? だったらそれを隠す必要も、恥じる必要もない。堂々としろ。以上だ」
ロゥとメルシーは笑顔になった。嬉しさがこみ上げてきた。
「ありがとうございました! 失礼しました」
二人が出て行く。
室内の者たちは感慨に耽った。
まず先頭を切ったのは、ゼロだった。
「そうだユフィ、今日は星が綺麗だから、ちょっと外に行くか」
「え……? あっ……そうね♪」
二人は部屋を出て行った。
「僕たちも、一緒に夕食でも行きますか? セレナ」
「そうですね♪」
アルと、セレナも出て行った。
「レイ~私たちも、一緒にどっか行こう♪」
「あぁ、そうだな」
レイとシャルも部屋を出て行く。
「私も、ゲルハルトのとこに行こうっと♪」
フィーラも退室する。
ルーは、一人取り残された。
「ちくしょーーー!! どうせ俺は独り身だよーーー!!!」
哀しい声が、ひそかに木霊した…………。
ロゥとメルシーは、家にすぐ戻らず、近くのベンチに座り、星を見上げていた。
「綺麗だね……」
「あぁ……」
もう、言葉はいらない。雰囲気は、二人をしっかり包んでいる。
「あっ、流れ星だ! ……ごにょごにょ…………」
「………………」
二人は、何かを祈ったようだ。
「何て願った? ロゥは」
「ん? 内緒♪」
「あ~! 何それズルイ~!! 教えなさいよ~!」
二人は笑い合っていた。静寂のなか、二人が輝いている。
「じゃあ、同時に言おうぜ」
「あ、うん。いいよ」
「せ~の」
『いつまでも幸せに付き合っていられますように』
二人は全く同じことを言い、大きく笑った。
二人はずっと、星を眺めていた………………。
―――この平和な時がいつまでも続く世界を……いつもメルと笑っていられるような世界を作らなきゃな……
この後、解放前線は独裁をしてきた帝国皇帝を遂に打破し、平和な平等を築き上げた。
その背景にはたくさんの人が隠れていたが、リーダーのゼロのみが、歴史に名を残していくこととなる。
ロゥとメルシーは戦後フェ・ヴィに戻り、孤児院を開いた。
その孤児院からは、いつも笑い声で溢れ、幸せを築いたという。
だが、それは、また別なお話…………。
完
ジャンル別一覧
出産・子育て
ファッション
美容・コスメ
健康・ダイエット
生活・インテリア
料理・食べ物
ドリンク・お酒
ペット
趣味・ゲーム
映画・TV
音楽
読書・コミック
旅行・海外情報
園芸
スポーツ
アウトドア・釣り
車・バイク
パソコン・家電
そのほか
すべてのジャンル
人気のクチコミテーマ
アニメ・コミック・ゲームにまつわる…
【アニメMAO】26話最終回感想ネタバ…
(2026-09-30 07:00:05)
気になる売れ筋おもちゃ・ホビー・ゲ…
アンパンマンおおきなよくばりボック…
(2026-09-27 10:35:28)
フォトライフ
源氏物語〔38帖 鈴虫 8〕
(2026-09-30 10:30:03)
© Rakuten Group, Inc.
共有
Facebook
Twitter
Google +
LinkedIn
Email
Design
a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧
|
PC版を閲覧
人気ブログランキングへ
無料自動相互リンク
にほんブログ村 女磨き
LOHAS風なアイテム・グッズ
みんなが注目のトレンド情報とは・・・?
So-netトレンドブログ
Livedoor Blog a
Livedoor Blog b
Livedoor Blog c
楽天ブログ
JUGEMブログ
Excitブログ
Seesaaブログ
Seesaaブログ
Googleブログ
なにこれオシャレ?トレンドアイテム情報
みんなの通販市場
無料のオファーでコツコツ稼ぐ方法
無料オファーのアフィリエイトで稼げるASP
ホーム
Hsc
人気ブログランキングへ
その他
Share by: