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遥統番外編4
あの気持ち この気持ち その気持ち どの気持ち?
ユフィ・ナターシャ、13歳。貴族学校の第6学年、魔術専攻クラスの主席で、魔術クラブに所属。容姿端麗頭脳明晰で魔力も学年では群を抜き、周囲から羨望の眼差しを受ける非の打ち所のない超絶美少女。性格は温かい雰囲気とは裏腹に負けず嫌いで、知的好奇心旺盛、色々と首をつっこんだりすることもある。当然の如くクラスの男子女子問わずモテモテなのだが、現在彼氏はいなく、とある男子生徒に片想い中であった。
新学年が始まって1ヶ月が過ぎた5月の始め頃。体調不良――寝不足による――を理由に午前の政治の授業をサボって彼女は屋上へと足を運んだ。
陽射しはやわらかく、そよ風が花々の甘い香りを運んできてくれ、心地よさに満ちていた。3階建ての校舎は柵のギリギリまでいくとそれなりの恐怖を覚えるが、誰が設置したのか分からない白いベンチに座って森を眺める限り、そこはさながら楽園だった。
「静か……。こんな風に不良になっちゃうのかな……?」
器用過ぎて何事にも不自由を感じることなく、毎日過ぎる同じような日々に退屈していた彼女は、何気なくそんなことを洩らした。
周りに自分と同じレベルの人間がいないということは、周りから見ればその人がどんなに凄く見えても、本人にしてみれば寂しいことなのだ。
これからも繰り返される日々を思うと、憂鬱になる。物思いに耽っていると、いつのまにかうつらうつらとしてきた。
「何をしている、今は授業中のはずだぞ」
ふと背後の入り口の方から声が届いた。その声は教師のもののような威厳も大人びた雰囲気もない、逆にそれらとはかけ離れた声変わり前の男声だったのだが、半分眠っていた彼女の脳にその識別をすることはできなかった。
「す、すいません! すぐに戻ります!」
慌てて立ち上がり振り返った彼女の視界に入ったのは、全く予想していなかった人物だった。
「そんな慌てなくてもいいよ」
きょとんとして、状況を把握できていない彼女の隣まで歩き、彼はゆっくりとベンチに腰を下ろした。
「俺も同じようなもんだ」
そう言って青空を見つめた彼の横顔は、今まで見たことがないくらいに美しかった。ツヤのある純黒の髪をツンツンにして、少し鋭い紫のかかった瞳を宿した目は僅かな憂いを帯びながらも輝いていた。彼女の視界に映る彼の左耳には青い宝石を埋め込んだピアスがついていたが、彼自身から発せられる存在感の前にあまり目立たないようだ。制服の着こなしもだらしなく、野良猫のような雰囲気を出す彼をユフィはしばらく惚けたまま見つめていた。
「座らないのか?」
そんなユフィを可笑しく思ったのか、苦笑交じりに彼がユフィの方に顔を向けた。ピアスは右耳にもついていた。正面から見つめてくるその瞳に、心臓がバクバクする。制服の首元についた青の襟章が、彼が上級生である第7学年であることを教えてくれた。
―――こ、この人って……。
ユフィが座ったのを見届けてから、彼はまた空を流れる雲へと視線を戻した。
―――もしかして……。
心臓のドキドキを押さえられず、彼女は手のひらに汗を掻いていることに気付いた。
「あ、あの――」
口ごもりながらも、ユフィは50センチほど距離をおいて隣に座っている彼に話しかけた。
「ん?」
ゆっくりと彼女の方へ視線を移した彼の目に勇気を出して自分を映して、彼女は言葉を続ける。
「――ゼロ・アリオーシュ先輩ですよね?!」
勢いよく尋ねた彼女に一瞬意味が分からないというような表情を見せた彼だったが、すぐに小さく笑って頷いた。
「あぁ」
涼やかな彼と対照的に、自分は一体何をしているんだろう――そんな思いがユフィの脳裏に去来した。
「あ、わ、わたしは――」
「ユフィ・ナターシャだろ?」
「え?」
「違った?」
どうして自分のことを知っているのだろう、彼女の頭はパニックをおこしそうだった。
「ち、違うくないです!」
珍しくおかしな言葉を言ってしまい、言ってから彼女は激しく後悔した。
「久しぶり」
「ふぇ?」
顔を赤くするほど緊張していた彼女は、情けない声を出して聞き返した。
言われる覚えのない言葉だ。
「まぁ、覚えてないのも無理ないかな? 最後に会った時は君まだ5歳だったもんな」
そうだとしても貴方だって6歳じゃないですか、そんな質問を心にしまい込み、ユフィは彼へ疑問の表情を見せた。
「うちの親父が忙しくなる前まで、毎年会ってたんだよ。アリオーシュ家と、ナターシャ家」
「ご、ごめんなさい……」
その事実は知っているが、説明されても彼との面識は思い出せない。申し訳ない気持ちで胸いっぱいになる。
「いや、西と南は同盟結んでるから、今じゃなくても遠からずはまた会えたんだろうけどね」
彼、ゼロはベンチから立ち上がり背伸びをした。そしてユフィの方へと向き直った。
「小さい頃から可愛いとは思ってたけど、きれいになったね」
そんなに綺麗な顔で、真顔でさらっとそんなことを言われては、照れてしまうのも仕方がない。今まで何人もの男子から愛の告白を受けてきたが、それらのような真面目さや熱意のない、変哲もない感想に、ユフィの心臓は飛び出しそうなほど脈を打ち、血液が沸騰しそうだった。
「でも、優等生なんだろ? 授業はちゃんと受けろよ?」
そう言い残してゼロは屋上から去っていった。
彼の姿が見えなくなった数秒後、授業の終了と、昼休み開始を知らせるベルが響いた。
その日の放課後の魔術クラブでも、ユフィはまだ興奮冷めやらずなのか上の空で椅子に座っていた。
「どうしたの? ぼぉっとしちゃって」
頬を突っつかれ、ユフィの意識は現世へと舞い戻った。
「ジェシカ先輩……」
彼女が気付いた後でも、ジェシカはユフィの柔らかな頬を突っつき続けた。彼女ほどの美しさではないが、おっとりした雰囲気で、優しい性格の彼女もなかなかの美人だ。
「ごめんなさい……」
いきなり謝られても意味が分からない。
「何かあったの?」
泣き出しそうなユフィを愛おしそうに抱きしめ、ジェシカは頭をなでてやりながら理由を聞いた。
「わたし、わたし……」
「ん~?」
「……ゼロ先輩のこと好きになっちゃったかもしれないですぅ……」
「あらあら」
ユフィの頭をなでてやりながら、ジェシカは少し言葉を探した。彼女が謝った理由はわかっている。何故なら、ゼロ先輩、ゼロ・アリオーシュにジェシカは依然から恋慕していたのだ。そして半年ほど前に告白して、無念にも彼女は振られた。今でも彼のことを好きといえば好きではあるが、今そのことについて悩んでいる可愛い後輩を目の当たりしては、彼女を責める気持ちにはなれなかった。
「初恋?」
少し方向を逸らして、ジェシカはユフィに尋ねた。
「たぶん……。今日の3時限目の授業のとき、屋上で会って……、それからずっとゼロ先輩のことが頭から離れなくて……」
「なるほどねぇ」
初めて人を好きになった彼女にとって、その気持ちをどうすればいいか分からず悩んでいるというのは人情として共感を覚えた。
「ルーを貸してあげようか?」
机にくたぁと倒れている彼女の頬をつつきながら、ジェシカはユフィに提案した。ルーというのは、ジェシカの二卵性双生児の兄であり、ゼロのよくつるんでいる3人の一人であった。
かくいうジェシカも、ルーがゼロと一緒にいるのを見て、そのとき紹介されたのがきっかけで知り合ったのだ。彼の協力を得られれば少なくとも話す機会は得られるだろう。
「え?」
「可愛いユフィの初恋だもの、成就させてあげたいの」
「先輩……」
瞳をうるませてユフィはジェシカを見つめた。その彼女をジェシカはたまらず抱きしめた。
「なぁにやってんだ、お前らは」
と、タイミングよく話の人ルーが側にやってきた。現魔術クラブの部長であり、有能な魔法使いだ。
「あ、ルー、実はね……」
「……いいのか?」
ひとしきりの説明を聞いて、ルーはやはり聞き返した。
「いいの」
彼はジェシカがゼロに告白したことも、その想いがまだ続いていることも知っている。だからこそ聞き返したのだが、ジェシカはきっぱりと断った。
「お前がそうしろってなら、機会を作ってやるけど」
ユフィの方を振り向くルー。
「正直俺もゼロが何を考えてるのかはいまいちわかんねぇからな。どういう結果になっても後悔するなよ」
言いながらちらっとジェシカを見てしまった彼は、ジェシカに叩かれた。それを見てユフィは人事ではないように感じてしまう。
「まぁお前を振るような男がいるとは俺には思えないけどな」
ゆっくりと立ち上がり、彼はユフィの肩に手をやった。
「心の準備が出来たら俺にでもこいつを通してでも言ってくれれば、あいつを屋上に行かせるからさ。まぁ、ガンバれよ」
軽くユフィの頭を叩き彼は教室から出て行った。
「言ったことはきっちりやるから、信用してもいいよ」
ルーがいなくなってから、ジェシカはユフィの頬をつついてそう言った。
「がんばるんだぞ?」
ユフィは、力強く頷いた。
それから彼女の決心がつくまでに2週間の時を要した。
決意を胸に第7学年の魔術クラスに入る。ルーは窓際最後列の席に座りながら、何かの本を読んでいた。貴族学校でも比較的有名人の彼女に、視線が集まるのを感じたが、それを気にもせずルーのところへ行く。ジェシカも寄ってきてくれたようだ。
「先輩、あの、例のこと、お願いしても、いいですか?」
緊張した口調でそう告げるユフィに向かって、ルーは軽く頷いた。
「今日の午後の授業のとき、屋上に行くドアのところで待ってろ」
「は、はい……!」
「勇気出して、ガンバってね」
ジェシカが優しく抱きしめてくれ、不思議と力が湧いてくるような錯覚を覚える。
「わたし、ガンバります!」
彼女は力強く答えた。
約束の時は、着々と近付いた。そのちょっと前の昼休み、屋上にはいつもの4人組であるルー、ベイト、シューマ、そしてゼロがいた。
「じゃあ僕はそろそろ次の授業があるから行くね」
次の授業はゼロとルーとシューマの嫌いな政治の授業だ。ベイトも好きではないが、それでも優等生として授業をサボることはまずない。
彼が教室に戻っていく後を追うように、シューマも追いかけた。
「あ、ベイト! 俺前回もサボったから今回は出るわ!」
―――ここまでは上手くいったな……。
今日何が起こるのか、ルーは事前にベイトとシューマに話していた。誰がゼロに告白する、とまでは言っていないが、二人は快く――半ば面白がって――承諾した。
ベイトの演技には微塵も疑いようはなく、シューマもまぁ及第点だった。
「俺はもうちょっとここにいるかなぁ……」
ルーがそう切り出すと、少しだけ授業に行こうか迷っていたゼロもサボる決心がついた。立ち上がったがまたベンチに座りなおす。
「俺なんか3連続でサボってんだけどな……」
「お前……」
ぼそっと呟いたゼロに対し、ルーが呆れたような表情を見せた。
他愛もない会話をしている間に、午後の授業の始業ベルが鳴った。
「あ、俺ちょっとトイレいってくるわ」
授業開始から10分ほど経った頃、ルーはありきたりな理由で屋上から姿を消す。
ドアを開けると、ちゃんとユフィが待っていた。
「決心ついたら、行って来い」
頭をなでてやった後、ルーは階段を下りていった。
深呼吸をして、決心をした後、ユフィは屋上への扉を開けた。
「こ、こんにちは!」
突如耳に届いた可愛らしい声に少し驚いたのか、ゼロはぱっと振り返った。
「またサボり?」
「はは、そんなとこです」
心臓のドキドキを必死にごまかしながら、彼女は笑顔を作ることに努めた。さりげなく彼の隣に座る。それに対しゼロは何を言うでもどうするでもなかったのは、彼女にとって幸先よく思えた。
「いい天気ですね」
世間話を切り出すように、話しかける。
「あぁ。雨期になる前だから、よく晴れるからな」
ちゃんと答えてもらえるだけで、喜ぶ自分がいることに気付き、少しずつ顔を紅潮させてしまう。
「あ、あの、先輩に聞きたいことがあるんですけど」
「ん?」
ゼロにしては何気なく聞き返してるだけなのだが、こちらを向かれると緊張で身体がすくんでしまう。
「せ、先輩、今、好きな人とかいますか?!」
勢いに任せて、半ば叫ぶように尋ねる。ゼロはきょとんとした顔をしたあと、初めて彼女の前で微笑んだ。
「いないよ」
ぱっとユフィの表情が明るくなる。
「じゃ、じゃあ!」
ユフィは下を向いて、両手をぎゅっと握り締めた。
「わたしと付き合ってください!」
ゼロは数秒間答えず黙っていた。その間、ユフィはずっと目を閉じて下を向いたまま。
「先輩のことが好きです!」
答え待っている時が永遠のように感じられた。
不安な考えが脳を支配し、泣きたくなった。
それでも、ユフィはゼロの答えを待った。
そんな暗闇を彷徨う彼女に、何か光へと手を引っ張ってくれるような存在が現れた。
顔を上げさせられ、目を開けるとゼロが自分の頬に手を当てていた。
「いいよ」
優しく微笑んで答えるゼロ。ユフィの視界に入る彼が霞んできた。
「ガンバったね」
そっと頭を彼の胸に押し当てられ、ユフィは涙しながらも至福の時を味わっていた。
「ユフィ」
名前を呼ばれ、顔を上げる。彼は優しく微笑んでいた。
「これからよろしくね」
「は、はい!」
ユフィは、堪えきれずゼロに抱きついた。
勇気を出したから得ることのできた幸せ。
たくさんの人の協力を得て掴めた幸せ。
今のわたしはすごい幸せ。
二人の物語は、今この時より始まるのだ。
「よ! おめでとさん」
抱き合う二人の死角からルーがひょっこりと顔を出した。
それに気付いたゼロが、今ばかりは流石に心底驚いた表情を見せた。その光景を見れただけでも、彼女に協力した甲斐があっただろう。
「ル、ルー?! なんでここに?!」
「何でも何も、トイレから戻ってきただけだろうが」
ユフィを優しく引き離し、彼女を見たところ、苦笑いを浮かべていた。
「珍しくシューマが授業受けに行ったと思ったら、お前の仕業か……」
軽く下を向き、表情が見えない分その声がルーの恐怖を駆り立てた。明らかに、怒っている。
「ち、違うんです! これは、わたしがお願いしたんです……」
おずおずとゼロの袖を掴み、ユフィは首を振った。そのしぐさを見て、ゼロはため息をついた。
「今回は、ユフィに免じて許してやるけど、こういうこと、次は許さないからな!」
ルーにはその言葉が、遠まわしな感謝のように聞くことができた。やれやれと小さく首を振り――。
「次もなにも、次はねぇだろ? お前はもうユフィと付き合うんだからよ」
そう言ってゼロの胸を叩いた。覗き込んでくる彼の瞳を真っ直ぐに見返し、ゼロは頷いた。
「そうだな……」
そのやりとりを見て、ユフィが再びゼロに抱きついた。
ゼロとルーは、そんな彼女を見て、同時に声を上げて笑うのだった。
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