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第11章
激闘
ミュアンの身体が右へ左へ、休む事無く跳び回る。少しずつ、気付かれない程度に前進しようとしているのだが、リーロの鞭が迫る速度はミュアンがギリギリ反応できる程で、攻撃の着弾と同時に同じ速度で彼女の手元に戻る鞭が織り成す連続攻撃の前に、ミュアンは打つ手なしのように思われた。
左右交互に、同じタイミングで攻撃を繰り出すリーロの鞭。その動きに、ミュアンの身体が慣れてしまった。右へ避けた次、無意識に身体が左へ動く。
―――しまった!
リーロが不敵な笑みを浮かべるのが見えた。左への攻撃の後、また左への攻撃。ドンピシャのタイミングで、鞭とミュアンの足が衝突した。
「キャァ!!」
甲高い悲鳴を上げ、ミュアンが後方へ弾かれる。
切り傷よりも何倍も痛く感じられた。当たった左足首が紫に色に腫れている。打撲と内出血、さらに捻挫も併発していそうな感じだった。
ミュアンは痛みを堪え、よろよろと立ち上がった。
―――こんな所で……死ぬわけにはいかないの……。
頭に過ぎる敗北、死という言葉を振り払うように相手を睨みつける。余裕そうな相手の態度が、妙に彼女をイラつかせた。
「鞭だから即死しないなんて思ったら間違いよ? 頭に当たれば頭蓋骨陥没で逝っちゃうんだから」
楽しそうに喋ってくるリーロの言葉に、ミュアンは耳を傾けなかった。
―――どうすればいい? どうすればいい? どうすればいい……。
頭の中で必死に策略を巡らす。だが、左足首の激痛で思考もままならない。
額に汗の玉を浮かべながら、ミュアンは最悪の状況を打破するための戦略を探し続けた。
「ウォー」
「分かってる」
レリムとウォーが進んだ先で気付いた相手は、まさに最凶の敵だった。
突如、二人の間に割って入るように、巨大な鎌が振り下ろされた。左右に跳躍し、二人は次の攻撃を窺う。
「これはこれは、楽しい相手が、二人も!」
嬉々とした声と共に現れた敵、“神魔団”の団長ヴァリスが二人に声をかける。
彼の話が終わる前に、両手に得物の短剣を構え、自慢の速さでレリムが迫る。右手に持った短剣で頚動脈を一気に狙うが、左手だけで振り上げられた鎌に阻まれ、間をおかず繰り出した左手による一撃も、右手の手甲で防がれた。
レリムの美しい顔が僅かに歪む。
鉄をも切り裂く彼女の短剣が、あんな一般的な手甲に防がれるとは。だが、悔しがる素振りも見せずレリムは即座に間合いを取った。
「相変わらず容赦ないな、天師様よ」
普通ならば死んだことさえ気付かない速さで繰り出される彼女の短剣を余裕をもって防いだヴァリスは、レリムの方へ向きを変えた。
傍から見れば隙だらけなのだが、ウォーにはそれが隙には見えなかった。おそらく、今攻撃をしかければ絶妙のタイミングでカウンターをくらい即死するだろう。
それを避けるためには、レリムとタイミングを合わせた同時攻撃をしなければならないだろうが、タイミングを合わせられる自信がウォーにはなかった。
動きの速さという点は中央五本指に入るウォーのことだ、かなりのものがある。だが同じ五本指だとしても、レリムは別格だ。五本指と称されているウォー、レリム、ブラッド、ヴァリス、シーナの中でも、レリムの速さは群を抜いている。それにアビリティの“未来予知”が加わるのだから、ウォーが彼女に合わせることは難しいだろう。
ちらっとレリムを一瞥する。凛とした表情で、彼女はヴァリスを見据えていた。だが、ほんの一瞬、1秒にもみたない時間だったが彼女がウォーと視線を合わせ、頷いたように見えた。
彼女を信じ、ウォーはヴァリスへと攻撃を繰り出す。
「うおおおお!!!」
ウォーのアビリティ“粉砕”が発動した。その攻撃を受けるわけにはいかず、ヴァリスは後方へ飛び退いた。だが、その動きを予知していたレリムは最高のタイミングで迫っていた。短剣を突き刺そうとした瞬間、ヴァリスが鎌を振り回した。
刃ではなく、柄の部分がレリムの頭部と衝突する軌道を描いていた。やはり戦いながらの予知では少々狂いも出てしまう。レリムは小さく舌打ちをしながら、自分の短剣を鎌の柄に当て、彼の遠心力を利用して大きく後方へ飛び退いた。
「はははははっ!! やはり戦いはこうでなくてはな!」
眼を爛々と輝かせ、ヴァリスが二人に向かって叫ぶ。ウォーはレリムの方へ近寄り、小さく何かを呟いた。
「来るで!」
急激な気配の接近を感じ、レイは身構えた。その声を聞いて、ゼロも刀に手をかける。
「ちっ」
その気配の攻撃はゼロを狙ってきた。避けられる速さではないことを感じ取ったゼロが迫り来る接近に合わせて刀を振りぬいた。
正面からぶつかった力と力は、激しい音を立てて止まった。相手に勢いがあった分、ゼロのほうが押されたようだ。
「はじめまして、“独創者”ゼロ・アリオーシュ」
ゼロの刀と自前の斧をつき合わせて、ゴーストはゼロに語りかけた。
「俺は“神魔団”のゴーストと呼ばれる男だ」
場違いな自己紹介だと思うものの、押そうとも引こうとも、ぴくりとも動かせない刀が彼の強さを如実に表していた。
「ムーンのことを知っているそうだな?」
自分の力では動けないことを察したゼロは、彼に話しかけて少しでも隙を作ろうと考えた。先程からレイが隙を窺っているが、思ったとおり、隙が見つからないようだ。
「あぁ。あの女はなかなか面白い素材だったからな。だが、所詮はアシモフに選ばれただけで、神々の直系ではないのだ。神々の直系であるお前が勝利するのもさして不思議ではない」
ゼロは方眉を上げた。いくら敵だったとはいえ、元をただせばもしかしたら普通に友好関係を結べていたかもしれない相手を侮辱されるのは、正直に腹が立った。
「神の血とはそれほどのものなのだ」
―――ゼロなら、アリオーシュの血ってわけか……。
ゴーストの話を聞きながら、レイは改めてゼロの強さの理由を理解した。
「それがなんだってんだ。俺だって、一歩間違えばムーンに負けていたぞ」
ぐっと刀を持つ手に力を込め、ゴーストの斧を押す。
「血なんかに全て決められてたまるかよ。確かに俺だってムーンがあんなに強くなるためにどれだけ努力したかなんか知らないさ。でもな」
ゼロの力に押され、ゴーストの足が除々に後ろへと下がる。
―――押されているだと?
「少なくとも俺は死にそうな思いをしながら、少しずつ強くなってきた。あいつの努力だって並じゃないはずだ」
真顔のゼロなのだが、普段とは違う、鬼気迫る雰囲気があった。
「お前にああだこうだ口を出される筋合いは無い!」
怒りとともに、ゼロの刀が振り切られる。その切れ味がゴーストの斧に小さなヒビを入れた。
「一歩違えばと言ったな?」
十分にゼロと距離を置き、ゴーストが口を開く。
「その一歩が決定的な血の違いだ!」
再び驚異的な速度でゼロに肉薄したゴーストだったが、ゼロはそれを上回る速度で背後を取った。
それで終わりかと思ったが、斧の柄の先端を持って振り回したゴーストの一撃は、ゼロの居た位置を切り裂いた後、そのまま遠心力を伴ってゼロへ迫った。その斧の動きをギリギリで察知したゼロが刀で直撃を防ぐが、衝撃は受け流せず、数メートルほど吹き飛ばされ、巨木の幹に背中をしたたかに打った。
堪らず咳き込むゼロの元へレイが駆け寄った。
「大丈夫か?」
「あぁ……」
少し声が引きつっている。ゼロの言葉を鵜呑みにできるほど楽観できる容態ではないようだ。
―――俺が、やるしかない!
ゼロを庇うようにレイはゴーストと向き合った。斧の切っ先を地に向けたまま、ゴーストはレイを見下すように睨みつけた。
「そこをどけ。貴様では俺の相手にもならん」
前回の戦いから、彼にとってレイは最早敵ではないと判断されているようだ。
「んなこと、やってみなきゃわからんやろ?」
剣の切っ先をゴーストに向け、レイはにやりとする。
剣を持つその手は、震えていなかった。
ゆっくりとリーロが近付いてくる。その光景はミュアンの視線に入っていたが、彼女の頭はそれを認識してはいなかった。どうすればいいのか、生きるためには何をしなければいけないのか、またゼロに会うには、どうすればいいのか。
ぎゅっとレイピアを持つ手に力を込める。力を入れすぎて所為で爪が皮膚に刺さり、つぅっと血が地面へと滴っていた。
―――死にたくない……死にたくない……死にたくない……。
どうやってもいい戦略が浮かんでこない。彼女は睨みつけるようにリーロと相対した。
―――生きたい……生きたい……生きたい……生きたい…!
それは、生への執念が起こした奇跡か。ミュアンの中で、何かが生まれた。
「え?」
自分でも信じられない出来事に、思わず声が漏れた。だが、内なる声が彼女の脳に直接言葉を授けた。
―――やってみるしか……ない!
ミュアンは痛む足を気にも止めず、リーロを中心に円を描くように動き始めた。
「ど、どういうこと?」
彼女を囲む円上に、何人ものミュアンが立っていた。皆一様にレイピアを構え、切っ先をリーロへ向けている。気配を探って本物を見極めようとしたが、彼女には全て同じ人物にしか感じられなかった。
―――同一人物が存在するなんてこと、在りえないわよね……。
先程までの優位はもはや欠片もなくなっていた。
―――これが一斉に掛かってきたとしたら、やばい……。
無意識の内にリーロは身構えていた。
『最後に何か言う言葉はある?』
ミュアンの声が何重にもなって彼女の耳に入ってくる。
「参ったわ。さぁ、止めをどーぞ」
リーロは鞭を手放した。目を閉じ、覚悟を決める。
―――でも、ただでは殺されないわよ……。
一斉に、どれが速く、どれが遅くもなく、全てのミュアンが動いた。
こういう時は相手の反撃を恐れて本体は背後に回ると思っていたリーロだったが、激痛は胸にやってきた。ミュアンの本体は、実は真正面にいたのだ。
「これが私のアビリティ“幻影”よ」
リーロの胸にレイピアを突き刺したまま、ミュアンは押し殺した声でそう告げた。流石に自分が殺そうとしている相手の顔を直視できず、視線は足元だ。
引き抜き、後退しようとしたとき、最期の力を振り絞ったリーロの手がそっと自分に触れられた。
ミュアンの脳内で、何かが暴れだしたような、得体の知れない何かが走った。
「くぅ……あぁ!」
「全てを忘れなさい」
誰かがミュアンに囁く。
「貴方は戦わなくてもいいの」
「戦わなければ傷つくこともなかったでしょう?」
「戦いに関した、全ての記憶を消しなさい」
「忘れなさい……忘れなさい……忘れなさい……」
頭がぼぉっとしてくる。何も考えれらない。
ミュアンは言葉に促されるまま、記憶を失っていった。
その最中、ふと過ぎった彼の顔。
「あ……」
得体の知れない空間の中、漂うような心地の彼女は、小さく言葉を洩らした。
「この人は……」
何かを思い出しかけた。
「忘れなさい……」
すると再び声が脳に下りてくる。ミュアンは首を振った。
「やめて!」
失いかけた記憶が逆回転し、頭の中に戻ってくる。
彼女の強い意志が、その空間に色を取り戻させていく。
「私はミュアン・リリルナ! 誰にも私の記憶を操らせなんかしない!」
「あれ……?」
再び意識が飛び、恐る恐る目を開けるとそこは先程までの戦いそのままの景色だった。レイピアからはまだ僅かだが鮮血が滴り、目の前では先程まで戦っていたリーロが事切れた状態で地に伏せている。
「あ……私、勝ったんだ……。っつ!」
ふと気が抜けた瞬間、痛めた足首に激痛が走った。
「ちょ、ちょっと休憩かな……」
ミュアンは、勝利に酔いしれる余裕もなくその場にうずくまった。
「俺が囮になる。その間に」
「しかし」
「後継者のリーダーはお前だ。俺が倒れようとも、戦いは終わらない」
先程はアビリティを使ったおかげで避けられたが、今度はウォーが直接切りかかり、ヴァリスの鎌を止めるという作戦だ。彼を囮とするのを本意としなかった彼女だが、勝つためを思い頷いた。
ウォーがヴァリスに対して構え、レリムがヴァリスの背後に回る。
ウォーが駆け出し、袈裟切りに剣を振り下ろした所を、狙い通りヴァリスは鎌で防いだ。剣と鎌がぶつかる刹那に、レリムは動いていた。一瞬にして距離を埋め、ヴァリスの背中から短剣を突き立てる。だが、恐るべき反射神経でヴァリスとの距離を0とした瞬間のレリムをヴァリスは捉え、レリムの細い身体を蹴飛ばした。
レリムの短剣は確かにヴァリスに突き刺さっていた。だが、狙い通りではない、わき腹だ。
「ち……」
忌々しくレリムの短剣を引き抜き、ヴァリスが目を閉じる。彼のアビリティ“招嵐”が発動し、ウォーはうずくまるレリムへと駆け寄った。どうやら、この勝負はお預けのようだ。
「まだ俺一人では貴様ら二人を同時に相手にするのは難しいようだ。また会おう!」
レリムの方へ短剣を投げて返しながら、強まった嵐の中が収まり、視界が冴え渡るともう彼の姿は消えていた。
「帰還するぞ」
「ええ」
戦いを終えたウォーとレリムは、速やかに砦へと撤退した。
先程の衝撃で少し内臓を痛めたようだ。ゼロの呼吸は少しだけおかしかった。
ゴーストと相対するレイは、先程からしばらく睨み合いを続けている。
―――ほぉ……“恐怖”を克服したか……。
睨んでくるレイの目などなんともないかのように、ゴーストはレイを見ていた。あまりに無感情な目に、全く相手の行動が読めない。
「おおりゃぁああ!」
先に動いたのはレイだった。剣の切っ先を地面スレスレに下げたままの、独特な構えだった。地面と擦らせた剣先を振り上げ、土を巻き上げた。
巻き上げられた土を避けるように後退したゴーストに、レイはすぐさま肉薄した。
「せいやぁあぁあ!」
気合いと共に振り切られたレイの剣だったが、ギリギリのところでかわされてしまった。だが、前回の戦いと違い、明らかにレイとゴーストとの実力は差をなくなっていた。前回は全く何も出来なかったのが、先程の剣撃によりゴーストの頬にかすり傷を生じさせていた。
「ほぉ……。これが本来の貴様の力というわけか」
「せや! この前はちょいと調子が悪かっただけや!」
鋭い犬歯を見せて、レイはゴーストにそう言い放った。
「調子に乗るな。そのこの前にぼこぼこにされて泣いてたのはどこのどいつだ」
気付くと、隣にゼロが立っていた。まだ呼吸は整っていず、顔色もあまりよくないが黙ってみているわけにはいかない。
「決闘じゃないからな。2対1でも文句言うなよ」
ゼロは鞘に入れたままの刀にそっと手をかけた。
「文句など。2対1でも結果は変わらん」
今度はゴーストが先手を取って動いた。狙いは万全ではないゼロだった。
ゴーストの斧を紙一重のところで避けようと試みたが、頬を掠めざっくりと肉が裂けたが、それもいとわずゼロは抜刀してゴーストに一太刀を浴びせまた刀を鞘に戻した。今の攻撃、居合いと呼ばれる必殺剣はゴーストのわき腹を切り裂いた。そこにレイが両手で剣の柄を持ち、ゴーストの頭上から振り下ろした。
ゼロの攻撃を受けたところに間髪おかず繰り出されたレイの剣をゴーストは地面を転がり避けた。器用に斧を手放さなかったのは、流石と言うべきか。
再びゼロが先程と同じように居合いを放つが、素早く立ち上がったゴーストの斧で攻撃に防がれる。だが、先程ゼロが生じさせた小さなヒビが、少し大きくなった。一撃離脱の要領でゼロが離れると、今度はレイが迫る。怒涛の波状攻撃にもゴーストはうろたえる事無く冷静に対処し、斧を繰り出しレイを弾き飛ばした。
斧を振り切った後の隙を見逃さず、ゼロがゴーストの背後に回り、これで決まりかと思われたが――。
「くっ」
突如ゼロは表情を歪ませ肺の辺りを押さえ咳き込んだ。やはり、かなり無理のある動きをしていたようだ。
―――やばい……。
隙を突いたつもりだったが今度は逆に大きすぎる隙を作ってしまった。
この男の前で、この隙は絶望的だ。振り下ろされる斧からなんとか逃れようと刀を構えたが、ゴーストの斧がゼロはおろか刀ともぶつかることはなかった。
「俺がいてよかったなぁ、ゼロ!」
吹き飛ばされていたと思われたレイが、ゼロの前でゴーストの斧を防いでいた。
「レイ……」
助けられたということも忘れ、ゼロは虚を突かれたように彼を見つめた。
「怪我人はそこで休んでればええ。後は俺に任せるんや」
ゴーストの斧を止めたまま、ゼロにそう告げたレイは、ゴーストの斧を押し切った。
「“独創者”レイ・クラックス。どうやら俺はお前を過小評価していたようだな」
真顔でそう告げたゴーストを見て、レイは鼻で笑った。
「今さら気付いたって、遅すぎや!」
力強く地を蹴り、ゴーストに迫る。袈裟切り、足払い、突きと連続して繰り出した攻撃を、ゴーストは全て捌ききった。攻撃の合間を衝かれゴーストの猛攻が始まったが、やはり彼も化け物ではなく、れっきとしたエルフだ。体力が底なしというわけではなく、ゼロとレイというエルフでも屈指の戦士二人を同時に相手にしては疲労が溜まるペースも早く、攻撃の鋭さは大分落ちていて、レイはその攻撃を余裕を持って防ぎきった。
それからしばらく、決定打の出ないまま同じような攻防が続いた。
―――そろそろやな……。
ちらっとレイがゼロを一瞥する。二人の戦いを凝視していたゼロは、その視線に気付いた。
「うわりゃああ!!」
今までと同じようなレイの一撃。だが、その一撃は先程までの一撃と異なり、気合い十分の渾身の一撃だった。
だが、剣筋が単純ではゴーストには通用しない。またも彼の斧で防がれたと思われたが。
「なに?!」
ゴーストの斧とレイの剣が衝突した瞬間、ゴーストの斧の刃が派手に砕け散った。その一瞬の隙を、この男は見逃さなかった。
「レイの策略勝ちだ」
居合いでゴーストの背後から横薙ぎに切ったあと、勢いそのままに縦に切り裂く。十字を刻んだゼロの一撃に、ついにさしものゴーストも地に伏せた。
「まさか……武器破壊とはな……」
うつ伏せに倒れた身体をなんとか捻り、ゴーストは仰向けになり二人に話しかけた。おそらく、彼の最後の言葉となるだろう。
「ゼロが作ったヒビのとこを中心に狙ってたんや」
「俺の……完敗だ……」
ゴーストの首ががくっと倒れ、二人は大きく息をついた。
「ふぅ……」
レイが剣を鞘に収め、いつもの笑顔でゼロの方を向こうとすると、どさっという音がした。
「ゼ、ゼロ!」
ゼロを抱き起こし、声をかける。
「ち……もうちょっと身体鍛えとけばよかったな……」
「も、もうちょっと! もうちょっとの辛抱やからな!」
半ば意識を失いかけたゼロを背負い、レイは砦の方へ歩を進めた。
「ミュ、ミュアンちゃん?!」
来た道を引き返しているのだから、彼女と遭遇するのは当然のことなのだが、レイはまるで予想外という風に驚いた。
「あ、レイくん……って、ゼロ大丈夫?!」
慌てて二人の方へ駆け寄ろうとして立ち上がったが、足首の激痛でミュアンは前につんのめるように転倒した。
「ミュアンちゃんもどっか痛めてるんやな……」
「ちょ、ちょっとね」
苦笑交じりの彼女に対し、レイは力強く引きつった笑みを見せた。
「ゼロとミュアンちゃんみたいな軽い人を運ぶのなんか一人も二人も同じやで!」
それは、ミュアンに言うというよりも、自分自身へ言い聞かせているようにミュアンには聞こえた。
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