あー、あの頃は二人とも若かった。今見ると、別人のようなラパン。スポーツマンですっ!と言わんばかりのスラーッとした体格していたなぁ。いまじゃ、パパですっ!と言わんばかりのマルッとした体。 何を話したかはもう覚えていない。だって、全然喋れなかったもんなー、あの頃は。 Je suis japonaise. J'habite a Toko. Je vais a l'ecole de la langue francaise. (私は日本人です。東京に住んでいます。〔←でも、今はぱりだろーが。〕フランス語の学校に通っています。) なんつーくらいか。それでも、熱心に聞いてくれたっけ。
”Allo?”(もしもし?) 電話にでた声には驚いて飛び上がった。若いスポーツマンの声ではなく、おばちゃんの声だった。 その時の私の反射神経は卓越したものだっただろう。凄いスピードで受話器を置いた。 おいおい、誰だよぉ~。 引っ込む私をまたもや電話機に近づける友人Aの術には今でも驚くが、私は再度電話をかけた。 "Est-ce que Lapin est la?"(ラパンはいますか?) なんというアホなフレーズ…。フランス語学校を4年間通いつめた結果がこれか?と飽きれてしまうが、きっと緊張して喉が締まり、言える事はこのくらいだったのだろう。だが、せめて、 "Bonjour, Madame. Excusez-moi de vous deranger. Puis-je parler a Lapin, s'il vous plait?" とでも言えんのか。(って、電話恐怖症の私は今でもいえない)まぁ、意味は通じたらしく、目的は果たしてるので、よしとしよう。