NOVELS ROOM from ROCKMANZERO

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巻ノ四



「シエル・・・・(やべえ、思い出せねえ)」
「どうしましょう、ゼロさん!!嗚呼、私のせいだっ!」
セルヴォが悶絶する横で、ゼロは本気(マジ)で考えていた。
どうしても思い出せないので適当なことを言ってみた。
「・・・あ~、あの二つ結びの女の子。」
「・・・え、」
「(あれ、違うっぽい…)え~っと・・・眼鏡の…」
「・・・ゼロさん、まさか・・・」
正直、ゼロの頭の中は昨日食べたものを考えることで精一杯の中身だった。
ゼロが、そろそろ開き直って白状しようとした、その時だった。
「すいませ~ん・・・」
店先で青年の声がした。話がズラせそうだと思ったゼロが見てみるとゴーグルをつけた気弱そうな少年だった。
「おお、ミランじゃないかっ!すまんが、今日は・・・」
「いや、実はですね。ちょっと気になることがあって・・・。」
そういってミランと呼ばれたその少年は店の長椅子に座った。どうやら話は長くなるらしい。ゼロはちょっと眠くなった。
「・・・で、なんなんだ、ミラン。いくらここの常連でも、今日は駄目だぞ。」
「シエルさんがいなくなったからですか?」

・・・・・・・・・・・。

「・・・えっ!?」
セルヴォが驚く隣ではゼロは、やっとシエルが少女だということを思い出しかけていた。

「なぜお前がそのことを・・・!」
「いや~、昨日どうも眠れなくってですねえ。夜の散歩をしていたのですよ。」
「そ・・・それで・・・!」
「あ~、星が綺麗でしたね・・・」
「そんなことはどうでもいい!」
スパッとセルヴォが、ズレかけた話の路線を修復した。ゼロは、自分の使命をやっと思い出して妙にわくわくしていた。
「それでですねえ、上を見て歩いてたら石につまづいてこけちゃったんですよw」
「だから、それはどうでも・・・ 「そのときですよ!」
ミランの口調が激しくなった。セルヴォは言いかけた言葉を飲み込んで、話に耳を傾けた。
ゼロも、自分の使命を思い出したので、それなりに聞くことにした。
「こけた僕の上を走っていく武士2人が、シエルさんの声のする袋を持って行ったんですよ!!」
「お前踏まれたのかw」
ゼロが、嘲笑した。セルヴォは不思議そうな顔をしてたずねた。
「・・・シエルの声のする・・・袋?」
「ええ。多分その中に閉じ込められていたのでしょう。」
「でも、なんで声が聞こえたんだ?閉じ込められているのに。」
ゼロが珍しく(?)まともな質問をすると、セルヴォも連動して質問を投げかけた。
「そうだな。それに、袋の中に閉じ込めたなら、気絶ぐらいさせているはずだ。」
ミランは少し考えて、答えた。
「声は、袋に開いてた穴から聞こえてきたんですよ。まあ・・・袋の中で気がついたんでしょうね。」
「成程・・・。しかし連れて行かれたのがわかっても、そいつらが何処へ言ったかが分からなければな…」
セルヴォの表情が一層暗くなったのに対して、ミランの目がキラリと光った。
「ふふふ、実は僕聞いちゃったんですよ。」
「?」
「あの武士たち、たしか悪代官の所に連れて行くとか言ってたんです!!」
ゼロがこれなら俺にも助けられるかもとか思ってる隣で、セルヴォはカタカタ震えていた。
「・・・どうした、セルヴォ。」
「あ・・・悪代官といったらこの辺にはただ一人・・・」
「ええ、奴ですよ。前々からシエルさんを狙っていた・・・」
2人はアイコンタクトをして、うなずき合っていた。その横でちょっと仲間はずれにされているゼロが、怪訝そうな表情でいった。
「でも何故、わざわざ悪代官に。普通に殿に引き渡せば良いものを」
「ああ。あの悪代官は何だかんだ言っても金持ちだからな。国はシエルと引き換えにうちの店が払えない金を頂戴するんだろう。」
セルヴォは震える声でそう答え、また悶絶し始めた。
「あああああ~…私が不甲斐ないばかりにぃ~!!」
「・・・・・俺が助けに行く。」
「!!」
「!!」


そんなことを言ってしまったばかりに、ゼロはこの店のボディーガードが本職になってしまいましたとさ。

まだ続いてしまいますよ?




~巻ノ五に続く~



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