NOVELS ROOM from ROCKMANZERO

NOVELS ROOM from ROCKMANZERO

大好きな人



 私の名前は、アルエット。
 シエルお姉ちゃんが付けてくれたんだよ。

 私の大好きな人は、シエルお姉ちゃん。
 でも、イチバン大好きな人は………………………

 今日は、シエルお姉ちゃんの部屋で、サイバーエルフのお話。
 サイバーエルフには、三つの種類で、分類されてるんだ。
 え~と確か…ナースとアニマルとハッカーだったかな…?
 でも、サイバーエルフは、自分の力を使うと死んじゃうの…
 なんだか、可愛そう…。
 そう言えば、シエル姉ちゃん、今日もとっても寂しそうな顔してる…

「シエルお姉ちゃん、どうしたの?やっぱりゼロの事?」

私は、心配してシエルお姉ちゃんに話しかけた。

「あ、うぅん…何でもないのよ。心配させてごめんね、アルエット」

 すぐに、お姉ちゃんは、いつもの笑顔に戻る。でも、その笑顔には少し悲しみが混じっていた。

 お姉ちゃん、ヤセガマンしてるんだよね…。
 一年前、ゼロがレジスタンスベースに来て、ネオ・アルカディアを統治する、コピー・エックスを倒してくれたおかげで、ネオ。アルカディアからの追求から逃れる事ができたの…。でも、ゼロは、帰ってこなかった。どこにも行かないでって言ったのに…。初めてお兄ちゃんができたのに…。
 それから、お姉ちゃんと私達は、他のレジスタンスメンバーと合流したの。
 新しいレジスタンスベースも完成して、みんな凄く喜んでいる。
 でも、シエルお姉ちゃんだけは、あまり喜んでなった。
 やっぱり、シエルお姉ちゃんは、ゼロの事が好きなのかな?きっとそうだよ。
 じゃなきゃ、あんなに落ち込んだりしないもん。
 私は、もう一度、お姉ちゃんに話しかけた。

「お姉ちゃん…大丈夫だよ、きっとゼロ帰ってくるよ…ね?」
「………ありがとう、アルエット。慰めてくれて。私、もう大丈夫だから…」
「ホントに?大丈夫?」
「ええ…大丈夫よ」

 よかった、さっきより笑顔が華やかだ…。
 そうだ!ゼロが来るまで「ゼロの話」は禁句にしようっと!
 シエルお姉ちゃんまた落ち込んじゃうもんね。
 さてと、もっとお姉ちゃんを元気にさせる話は………う~ん……
 ああ!もうダメ!ゼロの事しか浮かんでこないよぅ……。
 禁句なのに…。

「あら、どうしたの?そんな難しい顔になっちゃって。可愛い顔が台無しよ」

 えぇ!?もしかして顔に出てたぁ!?

「えっ、えっと…その……な、なんでも無いよ!!シエルお姉ちゃんがもっと元気になるような話をしようかな、なんて思ってないよ!!ゼロの話は禁句だからどうしようなんて考えてないよ!!」

 しまった…言っちゃった…私ってバカ…。

「フフ…アルエットは面白いわね、私に気を使ってくれてたのね、ありがとう」

『シエルさんに報告!!シエルさんに報告!!至急外に来てください!!ゼロさんが…ゼロさんが…倒れています!!』

「えっ!?ゼロが…!?……わかったわ、今行くわ!」

 シエルお姉ちゃんは、私に、ここにいてねと言って行っちゃった。
 シエルお姉ちゃんのインカムは、何を言っていたのか分からないけど、きっとゼロに何かあったんだ。
 私は、シエルお姉ちゃんが行った後に、密かについて行った。




 あれ?シエルお姉ちゃんどこに言ったのかなぁ…。
 いろんなとこ回りすぎて、どこだか分かんなくなっちゃったよぅ…。
 えぇ~ん、シエルお姉ちゃ~ん、ゼロ~、どこにいるの~…?

 どんっ…

 きゃっ!
 誰かにあたっちゃった…イテテ…

「ご、ごめんなさい、私よそ見してて………!!」
「相変わらずだな、アルエット…」
 ゼ、ゼロだぁ……!!
 私は即座に抱きつき、泣きながら話しかけた。でも、話しかけたって言うのかな、こういうとき…?

「バカー…バカー、どこにもいかないでって言ったのに~ばかー…」
「……すまなかった、心配かけて…。…シエルにも言っておかないとな」
「まだシエルお姉ちゃんのところに行ってないの?」
「…あぁ。まだ、メンテナンス・ルームから出てきたばかりだからな…」
「だったら、私もついててく!なんか迷っちゃってさ…えへヘ…」
「じゃ、行くか」
「うん!」
 私は、ゼロと一緒に、お姉ちゃんの部屋に向かった。




 部屋には、悲しそうな顔をしている、シエルお姉ちゃんがいた。
 あ、そっか、私、勝手に出てきたから、私のこと心配してたんだ…。

「お姉ちゃん…」
「あ!……アルエット!どこにいたの?ここにいてって言ったじゃない!心配したのよ!」
「ごめんなさい…お姉ちゃん…」

 はぁ…怒られちゃった…当たり前だよね…。

「いいじゃないか。本人も謝ってる事だし…な…」
「あ、ゼロ!もう体のほうは言いの?」
「あぁ、おかげさまでな…。それに、久しぶりにコイツと話せたしな…な、アルエット」
「え?あ、う、うん。でもゼロったら、頷くだけで、何も話してくれないの。話してたのは、私だけ」
「そ、そうだったか?」
「そうだよ、もう…!!」

 私は、顔を膨らませた。

「まぁ、そう怒るな。可愛い顔が台無しだぞ」

 ゼロったら、お姉ちゃんと同じ事言うんだから。でも、ゼロに言われるとなんか嬉しいなぁ…。

「さて、そろそろ、セルヴォの部屋に行ってから、アイツの所に行くか……でも、その前に…」

 ゼロは、私の背丈までしゃがみ……頬に軽くキスをしてくれた。
 もちろん、シエルお姉ちゃんにも…。
 ゼロって、案外、積極的だなぁ~…。
 ゼロは、じゃぁ行ってくる、って言って、部屋から出て行こうとした…ところを私が止めた。

「ねぇ、また話できる?」
「…………」

 ゼロは、数秒黙ってから、

「…あぁ、できるさ。この戦いが終わったらな…」
「その戦い…いつ終わるのかな…」
「わからない……でも、終わったら必ずできる…オレが保証する」
「じゃあ、終わったら、また話そうね。今度はゼロが話してよね」
「あぁ、分かってる」
 そういって、部屋を出て行った。

 ゼロ、ずっと待ってるから。
 ゼロの仕事が終わったら、いっぱいいっぱいお話しようね。
 私は、笑顔で…ゼロを…お兄ちゃんを…見送った。

 そう、私の大好きな人は……ゼロ…お兄ちゃん。世界でイチバン大好き…☆


THE END…



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