にゃんでんかんでん

著者名 ま行




鴨川ホルモー(万城目学)
 腹を空かせた新入生の安倍は葵祭からの帰り道、一枚の新勧コンパのビラを受け取る。そのコンパ会場で出会った早良京子にひと目惚れした彼は、“京大青竜会”という謎のサークルに入部。しかしオールジャンル系に見えたそのサークルは、なんと式神や鬼を使った戦争ごっこ、通称“ホルモー”を行うというなんとも奇妙なサークルだった。軽快な語り口に惹き込まれること間違いなし、壮大なる歴史的スケールで冴えない大学生の悲喜こもごもの日常を描く、伸びやかで爽やかな青春小説。4回ボイルドエッグズ新人賞受賞作。
 鬼と鬼を戦わせるという突拍子もない話ですが、設定が面白い。京都が舞台というのもいい!とても楽しい話でした。読後感もとても爽やかです。(2007/7/10)



恋空-切ナイ恋物語-上・下(美嘉)
 小さくて普通の少女・美嘉。長身でイケ面、人気のあるヒロ。ひょんなことから出会ったふたりは、意気投合して付き合うことになるが…。美嘉が最後に見上げた恋空は。さらに明かされるもうひとつの真実。衝撃的な結末があなたを待っている…。800万人が涙した感動の物語。ケータイ小説サイトでダントツ1位。ケータイ小説界の記録を塗り替えた奇跡の恋愛物語、待望の書籍化。
 『中高生が夢中になる本』らしいのですが、そんなにいいか?と疑問に思ってしまいました。レイプ、自殺未遂、妊娠、流産、友達の裏切り、破局。色々な事が立て続けに起こりすぎです。最後は好きな人が癌で死んで、お腹にはその人の子供が・・・なんて。好きな人を亡くすだろうという事は最初からわかってしまうし。ケータイ小説で少しずつ物語が進んでいく場合は続きが気になる話。ではあるのでしょうけれど、こうして書籍化されてしまうととても薄っぺらく感じてしまいました。読者を惹き付けるためにあえて色んな事件を起こしているのかと思っていましたが、実話を元にしているらしいです。それにはビックリでした。今どきの若い子は、すごいですね~。皆さん絶賛されているようですが、すでにおばさん(?)の自分には馴染めませんでした。この本、映画化されるそうです。どんな仕上がりになるのやら?(2007/6/8)



失われた町(三崎亜記)
 30年に一度起こる町の「消滅」。この世界では、ある日突然ひとつの町が「失われ」、住人が一度に消滅してしまう不思議な現象が起こっていた。消滅後の「汚染」にさらされないよう、管理局が人々に悲しむことを禁じ、その町に関わる文献や私物の回収に努めている。つい先日消滅した月ヶ瀬町に回収作業員としてやってきた茜。ひょんなことから恋人も記憶も失った和宏と知り合い、彼の支えになりたいと願うように。また、30年前に起こった消滅の唯一の生き残りである管理局員・桂子さんも、差別に苦しみつつ消滅を食い止めるため「町」と戦っていた。忽然と「失われる」住民たち。喪失を抱えて「日常」を生きる残された人々の悲しみ、そして願いとは。大切な誰かを失った者。帰るべき場所を失った者。消滅によって人生を狂わされた人々が、運命に導かれるように「失われた町」月ケ瀬に集う。次の消滅を食い止めることはできるだろうのか。大切な人が不条理に失われてしまった傷は癒える日がくるのだろうか。時を超えた人と人のつながりを描く、最新長編900枚。
 近未来SFのような設定で、最初はわけがわからず、苦手かな。と思ったのですが読み進めていくうちに引き込まれました。各章が独立したストーリーになっていて、それぞれ登場人物の物語が描かれています。その登場人物達がやがて一つにつながりあっていきく・・・。巧いと思います。「消滅」に関わる人達の強さを感じ、たとえ明日「失われる」としても、その瞬間まで精一杯生きることの大切さを感じました。(2007/5/23)


バスジャック
バスジャック(三崎亜記)
 バスジャックブームの昨今、人々はこの新種の娯楽を求めて高速バスに殺到するが…。表題作をはじめ、日常を揺るがす驚きと感動の全7篇を収録。ショートショートから短編、140枚の中編までバラエティに富んだ形式。驚愕のベストセラー「となり町戦争」の新鋭作家最新作。
 わけのわからない世界の話ばかり。世にも奇妙な物語(フジテレビ)で扱うような話ばかりでした。私的にはいまいち。(2006/4/28)



殺人ピエロの孤島同窓会
殺人ピエロの孤島同窓会(水田美意子)
 噴火で島民が東京に強制移住させられた日本から1500キロ離れた東硫黄島。そんな島で4年ぶりに高校の同窓生が集結。和やかなムードで進んでいた同窓会は、突如現れた殺人ピエロにより恐怖の孤島に…。次々と同窓生たちを惨殺し始める殺人ピエロの正体は?第4回「このミステリーがすごい!」大賞特別奨励賞受賞作。
バトル・ロワイアル のパクリかと思いました。言葉遣いも変だし とっても違和感。何でこんなのを本にしたのだろう?と思って読みましたが、著者が1992年生まれの中学1年生と知って納得。中学生が自力で書き上げたのだとしたらスゴイです。中学生が書いたと知らなければがっかりの作品です。(2006/11/9)




黒と白の殺意(水原秀策)
 「殺し屋」の異名を持つ天才的なプロ囲碁棋士・椎名弓彦。ある日弓彦は、対局で訪れたホテルで、日本囲碁協会・大村理事の死体を発見する。股間と胸を刺されて絶命している彼のそばには彼の小学生の息子、啓太が呆然と立ち尽くしていた。容疑者は弓彦の弟、直人。IT関連の会社に勤めており、日本囲碁協会とビジネス上のつきあいがあった直人は、彼にリベートの増額を要求されたことが動機ではないかと疑われていた。その矢先、直人は大村の自宅に不法侵入した罪で拘留されてしまう。殺人容疑をかけられた弟の無実を信じる弓彦は、直人の会社のやり手女性経営者・桐山千穂の協力を得て調査を開始する。日本囲碁協会の不正を暴こうとする二人は、思いもよらない事実を次々と発見し…。第3回「このミス」大賞受賞者が描く、ハードボイルド・エンターテインメント。
 囲碁の世界は知らないことばかりで対局の場面はさっぱり・・・でしたが、ところどころくすっと笑える場面などもあり、楽しく読めました。ただ、真犯人へのたどり着き方が強引というか・・・。大ラスがいまいち。でした。(2007/1/8)



ドリームバスター(2)
ドリームバスター 2(宮部みゆき)   
 シェンとマエストロが今回潜ったのは、20歳のOLの夢の中。彼女は殺人事件の目撃者として証言して以来、誰かの声が心の中で話しかけてくるという。夢に逃げ隠れする凶悪犯を追うアクションファンタジー巨篇第2弾。
 うっかり ドリームバスター(3) を先に読んでしまいました。首ぐらぐらの理恵子の話がわかってスッキリです。消息不明のスピナー、これからの展開がきになるところ。ただ、続き物なので図書館で借りるには不向きかもしれません。話が完結してから全部通しで読んだ方がいいようです。そうでないと、間が開きすぎていて、どんな話だったのかさっぱりわからなくなってしまいます。(2006/7/20)



ドリームバスター(3)
ドリームバスター 3(宮部みゆき)
 宮部みゆきが初めて壮大なアクション・ファンタジーに挑んだ人気シリーズ。16歳のシェンと師匠のマエストロは、人の夢の中に潜り、悪夢を退治してくれるドリームバスター。そんな彼らが、現代地球の日本に出現し、最も凶悪な逃亡犯と夢の中で戦う。そんな彼らが いよいよ佳境に差しかかる。謎のフィールド“時間鉱山”へ。新キャラも登場、シェンとマエストロから目が離せない。
 『お話』としてとても面白いです。口の悪いシェンの言い方に思わず笑わされたりしながら物語の世界へ。“時間鉱山”へ行ったところで終わってしまっているので先がとっても気になります。『4』が楽しみです。(続編なので前のシリーズを読んでいないとわからないのが難点かな。)(2006/6/28)



ドリームバスター 4(宮部みゆき)
 “時間鉱山”に迷い込んでいた、事故で臨死状態にあるヒロム少年と、心中を果たせなかった地球のカップル・キエとユキオは、無事生還できるのか…。
 3の時間鉱山のつづき。ひとつの話に時間も本の枚数もかけすぎじゃない?もう少し速い展開を望みます。(2007/8/12)



名もなき毒(宮部みゆき)
 財閥企業で社内報を編集する杉村三郎は、ある女性の身上調査のため、私立探偵・北見のもとを訪れる。そこで、連続無差別毒殺事件で祖父を亡くしたという女子高生に出会い…。『 誰か 』以来、著者3年ぶりの現代ミステリー。『誰か』でも活躍した杉村がこの世の「毒」と対峙する!
 連続無差別毒殺事件の4人目の犠牲者と思われた古屋明俊の事件、それと平行して起こる、会社をクビになった元部下からの執拗なまでの嫌がらせ。毒殺事件の犯人かと疑われた愛人の飛び降り自殺。死期間近の元刑事、殺された古屋氏の娘親子……。いろいろな事が絡み合っていくのですが色々書かれすぎていて、どれもが浅く感じてしまいました。もっと的を絞って掘り下げれば良いのに・・・と。
土壌汚染やシックハウスなど、普通の意味での『毒』以外に タイトル通り、この社会に潜む『名のない毒』。その毒は誰の中にも、自分の中にもあるものなのかもしれないということを改めて思いました。こういう点では宮部氏は巧いと思います。(2006/11/24)



かもめ食堂
かもめ食堂(群ようこ)
 ヘルシンキの町角にある「かもめ食堂」。日本人女性のサチエが店主を務め、看板メニューはおにぎり。だが、お客は日本おたくの青年トンミだけ。そんなかもめ食堂に、ミドリとマサコという日本人女性がやってきて…。普通だけどおかしい人々が織りなす、幸福な物語。映画原作。
 ほのぼのとしたお話。映画のために書き下ろした作品らしいのですが、小林聡美さん、片桐はいりさん、もたいまさこさんの配役は決まっていたのでしょうか?3人の女優さんそのままのイメージで描かれてます。トンミくんのたどたどしい日本語が可愛かった♪(2006/5/27)



夜は短し歩けよ乙女(森見登美彦)
  「黒髪の乙女」に片想いしてしまった「先輩」。ふたりを待ち受けるのは奇々怪々なる面々が起こす珍事件の数々、そして運命の大転回だった。天然キャラの女子に萌える男子の純情を描いた、キュートで奇抜な恋愛小説。
 このお話のヒロイン、「黒髪の乙女」がとってもキュート。古風な語り口も、彼女の『天然』ぶりもとっても可愛らしい。その彼女に恋をしてしまった「先輩」の頑張りも微笑ましく、ほのぼのとした気持ちになれます。話のテンポも良く、とても楽しかったです。(2007/7/17)



氷の人形(アイス・ドール)(森村誠一)
 マドンナ教師を陵辱した番長の死体を地中に埋めた3人の中学生。社会的地位のある男に成長した彼らの前に、恩師が妖艶な女となって現れれた。悪名高き産廃処理業者の用地買収計画を内偵していた環境大臣秘書・香山素行の前に、中学時代の憧れの教師・花岡綾子が現われる。彼女はその企業の契約社員になっていたが、綾子の魅力に溺れる香山は逢瀬を重ねるようになる。だが、折しも発生した計画凍結派の町長襲撃事件が二人の関係を揺り動かす。事態の深刻化に慄える香山をよそに、綾子の言動はさらに妖しさを増してゆくのだった。まるで香山が中学時代のクラスメートとともに封印した、忌まわしい過去を掘り起こすかのように…。産業廃棄物処分場をめぐる巨大利権に群がる男たちの欲望と、忌わしい過去を消したい美貌の女の復讐劇を描いたサスペンス。
 3人の女神ともいえる花園先生は、怪しい臭いがぷんぷん。老人専門の詐欺に加担したり、悪名高い産廃処理業者で働いたり。その業者の背後には米軍事関連会社の影までもが見え隠れする。そんな大きな疑惑まで話に織り込んだ割には結末は何だか分けがわからず・・・。話を大きく膨らませた割には内容が無いつまらない話でした。(2006/12/19)

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: