New Zealand 虹の立つ国へ

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第34章「教育 II 」

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第34章 「教育II」
時間は少し前後するが、St.Kentigern入学までの事を書いて置こう。

確かに学校見学の感想は 素晴らしい!!の一言に尽きた。
でも果たして今から登録して何時入学できるのか? と言うのが素朴で偽らざる疑問。
しかし、此処で考えていても何事も始まらないから取り合えず長男を登録しておく事にする。
勿論、本人も承知の上での事。
もっとも普段はサッカーに忙しく勉強どころではなかったが。

登録して待つ事一年。
我々両親も忘れた頃にSt. Kentigernから連絡があり、長男が入学できる可能性がある という。
あくまで “可能性” である。
私立は何処でもそうだが、学校が生徒を選ぶ。
前もって指定された日に長男の公立学校での成績を送り(書類審査)、後日親子3人で面接に行く。

まず、3人で教頭先生との面接。
簡単な質問から何が好きか、スポーツは何をやっているかなど、長男本人に直接質問される。
特にスポーツはサッカーの事を結構詳しく聞かれていた。
幸い前述のようにクラブでも活躍していたので、その点も正直に話して好感を持ってもらったようだった。

その後は両親の面接。
簡単な質問でなぜ本校を選んだのか?
学校に期待する事などを聞かれた。
また宗教についても質問された、礼拝の日が必ずあるので参加できるかどうか?など。
このあたりの質問は前もって予測していたので、受け応えもスムースに。
後でわかった事だが、実はこの時に我々両親もしっかり値踏みされていたのである。
前もって友人からのアドバイスもあったので、我々両親もきちんとした格好で面接に望んだ。
私立は生徒もさることながら、親を見て合否を決めると言うのは本当らしい。

書類審査を終えていたのである程度面接には自信があったが、面接で落とされるケースもある。
後年、我々の友人の子供が面接まで行ったが、あえなく落選。
聞けば先生の質問にまともに受け応えができなかったようだ。
これも後で判ったことだが、この年に中途入学したのはどうやら長男だけだったらしい。
やっぱりこれもラッキーだったのだろうか?

2週間ほどで合格通知をもらい、10月から長男は晴れてSt.Kenteigernに通い始める。
彼はForm2からSt.Kentsに通い始める。
この時は既に英語も全く問題なく、普通のKiwiの子供と同じように生活していた。
不思議な事に彼はSt.Kentsでも数学はAdvanced Classに編入されて数学の学校対抗の代表などにも選ばれる。
サッカーも学年のプレミアリーグでプレーを重ね、中学生の部ではリーグ優勝をする。
友人の幅も広がり、傍で見ていても彼が学校生活をエンジョイしているのが判る。
親としては、入れて良かったとホッとする思いであった。

息子達の通ったSt.Kentiger collegeは セルティック系の学校である。
校章もアイルランドの十字であるし、毎週金曜日にも礼拝の時間がある。
勿論生徒は全員参加。
月に一回は両親参加の礼拝もある。
我々も何度か参加したが、キリスト教ではないので正直あまり楽しくはなかった。
もっとも、NZはそれほど熱心なキリスト教国ではない。
私の友人も殆どが日曜学校とか礼拝には参加していなかった。

翌年は次男の入学だったが、長男が既に入学しているので、彼はほぼ自動的に入学。
彼はForm1から始める。
授業料も「兄弟割引」なるものがあって、いくらか軽減された。
でもこの割引制度、何となく日本的で面白いなと思ったものだ。


幸いにというか、あるいは彼らの性格から、二人ともいじめなどにも一度も会わず、無事に7thForm(最終学年=日本で言えば高校3年生)まで終え、今は大学に通っているが、今でもこのSt.Kentsの友人達とは定期的にあったり連絡を取り合ったりしているらしい。
この7年間の中学高校生活。
彼らに一言で言わせると、「非常に楽しかった学生生活」になるらしい。
二人とも最後の半年は家の改築で、学校の寮に寄宿して通った。
特に下の息子はこのときの寄宿生活の楽しさが忘れられず、その後ももう半年余計に寄宿して過ごす。
それもあってか、今の親元を遠く離れクライストチャーチの大学に通っている。


此処で学校について一般的な事に触れておこう。
このほかにも私立の学校は幾つかあるが、たいていはクリスチャン系の学校である。
中には家族がクリスチャンでないと入学できない学校もある。
またドイツ系の学校もある。
クリスチャン系といってもキリスト教を強制されるわけではなく、大抵の学校がせいぜいたまに礼拝に参列する程度であるので、宗教をあまり気にされる必要は無いと思う。


では一方の公立はどうであろう?
公立で有名なのはグラマースクールである。
特にオークランドの男女各々のグラマースクールは学校の規模も大きく昔から有名である。
校舎も如何にもイングランド系の学校というイメージがある重みのある石作りの校舎で素晴らしい。
ただマンモス校であるので、私立のように極め細かい教育が出来ない。
進学クラスとそうでないクラスがはっきりと別れ、アルファベットのABC順にクラスが分かれている。
トップのABCクラスくらいが進学クラスらしい。
だから、グラマーに通っている生徒に何クラスと聞くのはタブーのようだ。

このグラマースクールもスポーツは強く、息子達が通ったSt.Kents,或いは
Kingsなどと良いライバル関係にある学校である。

このほかの公立学校はそれぞれ各地域にあるので、評判が気になる方は直接その地域で学校の評判を聞かれるのが良いであろう。

NZの学校(小学校も含め)は大抵学区制を敷いており、その学区内に居住しないと通学出来ない。
良い学校と評判が立てば、その地域に住んで子弟をその学校に通わせたいとの親心は何処も同じである。
よって良い学校がある地域はその地区全体の不動産価値が上昇すると言う現象が起こる。
前述のグラマースクールなどもその例に漏れず、「グラマー・ゾーン」と呼ばれる地域は昔からその不動産価値が高く、常に人気である。

一方私立は、基本的に学区制を敷いていないところが殆どなので、結構離れたところから通ってくる生徒も多い。


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