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白い真綿のような気球かな、
ふわりふわりとさまよう風情、
さまよってるんじゃなかった、
心についたさまざまなしみを、
そっとさわって吸いとってる、
友に裏切られてできたしみも、
薄皮をはがすように消えていく、
そのときなんとも言えず快い、
3年前の失恋のしみは深い、
すこし時間がかかったけど、
きれいに消えて跡形もない、
淡く残ってもよかったのに。
でも、しみとりの気球さん、
もうそのへんでけっこうよ、
きれいすぎてもよくなさそう、
悪玉菌がすべて絶滅したら、
免疫力ゼロの空間になる、
貧しい心にはしたくないの。
気球さんが汚い色になった、
しみをいっぱい吸ったもの、
重くもなってよたよたしてる、
息を大きく強く吐いてみた、
気球がスポンと飛びだした、
よたよたふらふらと漂うの、
気球さん、汚れを落として、
また、わたしの心にきてね、
よたっ、と1回、うなずいて、
窓から外へさまよい出て、
風に吹かれ遠くへ飛んだ。
WEB絵劇場はこちら ◆志茂田景樹のホームページ・
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