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2014.03.14
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 昭和12年(1937)下半期の第6回芥川賞は、

 火野葦平の「糞尿譚」だった、

 このとき火野は、

 杭州へ上陸した第10軍の隷下第6師団所属の、

 牛島満率いる旅団の軍曹をしていた、

 牛島は後に沖縄防衛を担った第32軍の軍司令官になるが、

 中国戦線での牛島旅団は、

 鬼畜も黙る勇猛な部隊として怖れられた、



 南京攻略戦で主役を演じ、

 詩の都とうたわれた杭州を占領し、

 そこに軍司令部を置いた、

 評論家の小林秀雄が主催者を代表し、

 報道陣とともに軍司令部を訪れた、

 初めなんだ、こいつら、といった態度を見せた、

 柳川軍司令官をはじめ第10軍首脳は、

 小林が、

 芥川賞は日本最高の文学賞であること、

 その受賞者が南京攻略戦を戦いぬいた第10軍の軍曹である、

 ということは、



 とハッタリもまじえて持ち上げると、

 コロリと態度を変えた、

 杭州第1の劇場を授賞式の会場に、

 柳川軍司令官はもとより、

 各師団長、師団麾下の旅団長、連隊長が、



 これに先立ち、

 壇上に上がった火野葦平に、

 商品の懐中時計と賞金を渡した小林も、

 辟易しながらあっけにとられた、


 さらに、連夜の招宴が待っていた、

 何しろ軍司令官、師団長、連隊長が、

 それぞれに席を持つのだから、

 連夜のご馳走攻めになった、

 受賞後、火野は、

 「麦と兵隊」「花と兵隊」「土と兵隊」などの、

 兵隊ものを書きまくり、

 作家としての基盤を確立した、

 遠征の軍中での文学賞授賞式は、

 先にも後にもこれだけではないだろうか。


              + 以上の文章は文藝春秋刊「芥川賞・直木賞150回全記録」、
                に収録された文藝春秋昭和33年9月号所載の、
                「芥川賞陣中授賞式」をもとに書いたものです。








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最終更新日  2014.03.14 16:52:41
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