おいしい 千葉 ~ponの食べある記~

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2006.02.18
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カテゴリ: 市原市 和食
かつ丼(あるいはかつ重)のふたを取るときの期待感というのは、それはものすごいモノがある。それは、玉子丼や親子丼、はたまた天丼、鰻丼ではぜったいになし得ない、独特の境地のモノだ。

まず湯気ののぼり方が違う。アラジンの魔法のランプを連想させるS字をさらに幾重にも攪拌したような、ほんわかした白い曲線があたりをゆっくりと漂い、さまよい立ちのぼる。芳香が違う。すっきりしたみりん醤油たまりの甘辛い芳香に、半熟卵とじのちょうど良い蒸し加減の甘美な匂いがミックスされ、そこにさらに胃に直接訴えかけるような揚物系の重厚でとろけるような匂いが多層構造にミックスされる。

かつ丼は素晴らしい。それは、かつ丼を食べようと決めてからはじまり、かつ丼を待つ間に幾層倍にも増幅され、目の前に品物が置かれ、実物を食べ、食べ終わって満腹になるまでの一連の流れのすべての瞬間瞬間に、食欲の中枢を最高度に刺激し続けるくらいに素晴らしい。そして完食のあかつきには「食った、食った」と重厚な満腹感にどっぷり浸ることができる。フランス料理がオードブルからデザートまで8品から9品かけてやっと達成できる満足感というフルコースを、これはたった1杯で具現化している。

人々はそれを無意識のうちに知っている。だからこそ、刑事ドラマの取調べシーンで「かつ丼でも食うか?」という刑事の決め台詞が出てくるのであろう。あれは、玉子丼でも親子丼でも天丼でも鰻重でもNGである。役不足である。ミスキャストだ。容疑者の頭の中に、その重厚なる満腹感への期待がひろがり、その食欲刺激が抑制できなくなるほどの連想実体がはっきりと浮かぶからこその落とし台詞だ。圧倒的なボリューム感に裏打ちされたおいしさ欲が、白ばっくれたい気持ちを楽々と凌駕しなければ話にならない。玉子丼・親子丼では軽すぎる。天丼はちょっと外れる。鰻重では、(待遇がよすぎて)視聴者のほうが不愉快になってしまう。かつ丼ならば、全方位において、バランスが良い。万人すべてが納得できる。それがかつ丼の、得も言われぬ魅惑のすべてを物語っていると思う。

太陽で私はかつ重を注文した。

と、ここまで来たのはいいが。正直いって今、ここまで書いてきた自分自身が無性にかつ丼を食べたくなってしまった。今の中途半端な時間だと、どこがあいているのか厳しいが、とりあえず(1)ということで擱筆する。これから、どこかの店でかつ丼を食べてくることにする。めんご。(つづく)





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Last updated  2007.10.13 06:36:43
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