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2016.05.20

『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ第六十九段　～ソフトランディング～　映画『西遊記之孫悟空三打白骨精』によせて

カテゴリ： ◆映画・TV・華流・韓流・ショービズ

↓前回です♪
『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ第六十八段　～レッド・プラネット１２　『乳房を求める赤子のように』～　映画『西遊記之孫悟空三打白骨精』によせて

★☆★☆
第六十九段

ポッドの落下速度が急速に落ちてきて、

着陸を知らせるブザーとアナウンスがあり、

ポッドはスムーズに地表に着陸した。

着陸と言うよりは、地面の蓋が開いて

深いマンホール状のものに落ち込んだ。

すぐに足下の扉が開き、その下には都市に続くのだろう

ミックを何人かで庇いながら、その梯子を降りて行った。

大した高さはなく、すぐに下に着いた。

ユーリがジョンが抱いているミックを引き受けようとしたが、

ジョンは次の扉が開くのを見ながら首を横に振った。

シアンが先頭に立って、扉をくぐり全員中に入った。

ステーションと同じような作りの部屋が待っていた。

ステーションとの違いは、

そこには武装した人間たちが待ちかまえていたことだ。

瞬間マーキュリーの全員が緊張したが

シアンが安堵の声を上げて

大股で急いでその中のひとりの男に近づいて行ったので、

その男もシアンに走り寄って来て、

ふたりはがっしりと抱きあった。

その様子を見ながらジョンはゆっくりとミックを床に下ろして

丁寧に横たえ、自分もその横に腰を下ろした。

ミックは相変わらず穏やかな様子でただ眠っているだけのようだった。

ミックが目をこのまま覚まさないなら

彼を守りながら、自分に何ができるのかを考えていた。

出迎えの男たちの中のひとりがやって来て

自分を医者だと名乗り、

持っていたカバンを降ろして、自分も床に膝をついて座り

ミックに聴診器をあてた。

シアンは出迎えの

さきほどの男に早口で、報告をしているのであろう

男はシアンの言葉にいちいちうなずき、

時々、ジョンの方に視線を向けた。

その男は無帽で惜しげなく、

ゆるやかな巻き毛の美しい長髪を見せていた。

銀髪だった。

ドール？

長身でやせぎす、顔立ちはだが、

シアンたちのような画一的なハンサムとは違っていた。

ジョンは躊躇わず、次の彼の視線を捉えた。

するとその男は、話し途中のシアンに許しを求め、

ジョンの方に歩いて来た。

ジョンは疲れたようにのっそりと立ち上がった。

『やっと会えましたね』相手は微笑み、親しげに言って、

手を差し出した。

ジョンは警戒しながら手を伸べ、彼の手に触れた。

すると、その手はジョンを引っ張り、抱き締められた。

『無事でなによりです』彼は旧知の間柄のような言い方をした。

いつのまにかシアンがジョンの横に立っていて、

ぽかんとしたジョンの顔を見て言った。

ホワイト長官ですよ。

ジョンは驚いて、目の前の男の顔を見直した。

敬礼した。相手も敬礼を返した。

若い。

自分とほとんどかわらない歳だろう。

この男が反政府軍の軍人だった火星自治区の長官か。

少し前なら殺し合っていた間柄だ。

オールバックの前髪の一部分だけが金色だった。その金髪の輝きが

彼の美貌を一層引き立てていた。

『本当に何も思い出せないんですね？』ホワイトは残念そうに言った。

え？ジョンは訊き返し、その言葉の意味について考えた。

そのジョンの様子を少し考慮するような顔をしたが

とにかくここを出ましょう。

ホワイトは即座に全員に言ってから、その男はどう？と医者に訊ねた。

医者は計器類をカバンにしまいこみながら、『大丈夫のようです。

ただ気付け薬を使っても目を覚ましません。

明日まで目を覚まさないなら

入院が必要かもしれませんよ。

詳しく検査しませんと』と応えた。

その言葉を聴いてジョンは不安にかられた。

ミックはいったいどうなってしまったんだ？

『とりあえず私の屋敷に行こう』ホワイトは皆を促した。

扉を開くと、無人の廊下に出て、それから少し歩き

また小さな部屋に入り、そこで上界から来た皆は

薄汚い衣服を小ざっぱりとした出迎えの軍人たちと同じ服に着替えた。

わざと汚した顔も拭いた。

次に別の扉から外に出ると人通りがあり、警備員に見守られながら

外で待っていた装甲車に乗り込んだ。

ジョンは車の中でもミックの傍にいた。

そしていつ彼が目を覚ましても自分を見たら安心するだろうと思った。

どんな場所で目覚めようと、ジョンを認めたなら

きっと心から安堵するはずだった。

後ろを振り向き、ジョンは車窓から、外の様子を見た。

外からは車内は見えないようになっている。

通りはものものしく、

武装した警察達が数人のグループであちこちに立っていた。

『上から報告が来てね』

とジョンと向かい合わせの席のホワイトが言った。

ならず者が、と続けて、くすくす笑った。

君たちが逃走中なので、下界でも警戒するようにと、ね。

これは警察の仕事だから、僕は見守るだけさ。

彼は若者らしい悪戯っぽい笑顔を作り肩をすくめて見せた。

この若さで長官か。

ジョンはしみじみと思った。

ポールは金星の統治に四苦八苦している。

あのポールでさえだ。

この火星と元反政府軍を束ねている男。

いったい、どのような男なのだ？ニール・ホワイト。

その長官の横にシアンがお行儀よく腰かけている。

ホワイトの大柄な体格のせいで、

シアンは顔こそ当時の変装とは違っているが

見かけは、少年のころの可憐な様子を取り戻していた。

ジョンは座席のほとんどを占領して横たわっているミックの頭を

膝の上に置いて彼の額に触れながら、

彼等に託された作戦について考えを巡らせた。

するとある非現実的な別の作戦がぽとりと

雨漏りのように水滴めいた冷やかさで脳裏に落ちて来た。

俺とシアンの結婚。

スティールとホワイトが後見人。

そんな途方もないおとぎ話が、

その極めて現実的な血なまぐさい作戦の上に

いや、そればかりでなくジョンの人生そのものの上に

やがてはざあざあと滝のように雨を降らせそうだった。

つづく

ちゃんこ1.jpg

↓次回です♪
『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ第七十段　～ふさわしい男～　映画『西遊記之孫悟空三打白骨精』によせて

下記の

↑
からどうぞ♪

ウィリアム・フォン、馮紹峰、フォン・シャオフォン、ペン・シャオペン　以上全部同じ人（笑）

『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ早見表ってことでヨロシク♪

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Last updated 2018.01.29 15:09:19

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すみれゆきの

いつのまにか母娘でやることになったブログです。娘は主に音楽関係を2017.04あたりから担当。 '17.07.22現在『アジアの音楽』『アジア以外の音楽』の両カテ以外の音楽の記事は娘です。私は映画やドラマなどを中心に気功や太極拳などの情報ファッションや猫や人間の健康に関することなどを発信してます。混乱します？そうでもない？娘は几帳面。私はイイカゲン。そんな感じの見分け方で(笑)

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