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2017.01.10

『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ第百二十五段　～少年と少女～　映画『西遊記之孫悟空三打白骨精』によせて

カテゴリ： ◆映画・TV・華流・韓流・ショービズ

↓前回です♪
第百二十四段　～曲者～

★☆★☆
第百二十五段

噂にたがわぬ、今までで最高の経験だった。

ジョンの経験数は多過ぎはしないだろうが

同年齢の軍人たちに負けない程度の回数はこなしていると思う。

それにしても、喜びの少ない人生の中でこのような

圧倒的なイベントが待っていようとは。

金持ち連中が何故大枚はたいてこの生き人形を手に入れたがるのか

分化前のドールは青年期に差し掛かったばかりの肉体に

未熟な少年と少女が混在していた。

しかもベッドでのシアンの振る舞いはその見てくれ以上に幼かった。

初めてテーマパークに連れてこられたガキみたいに

大変なはしゃぎっぷりで、ムードもへったくれもなく、

牧場で植えつけられた全てのアトラクションを

次から次へと試したがり。

命の危険があるものと、さすがのジョン(！)も気が進まないもの

を除いたほとんど全てを試し終わった後で、よく考えてみると

ジョンはシアンの提案の何十分の一も受け入れていないことが

分かった。

もちろんシアンは試したいずれに対しても

大喜びで大満足だったのだが

ジョンはいかに自分がノーマルな

ある意味退屈な性癖の持ち主であるかを知った。

ふたりが試したのは

特定のカテゴリーのそのまた一部に過ぎない。

それでもジョンは一年分はゆうに楽しんだように満ち足りて

例によって溶けたバターのように

正体無く横たわっているシアンの身体を

抱きしめてキスをした。

すると再び

一番最初の少女が現れて、もう一度と言った。

最前彼女はジョンを苦しみながら受け入れ

彼女があまりにも苦しむので、ジョンは途中でやめようかと

思ったほどだったのだ。

『もう一回試して』シアンは言った。

彼も疲れていたし、ジョンもへとへとだったから

その要求もその要求をかなえようとすることも

ほとんど気ちがい沙汰だと言ってよかったが、

真似ごとだけでもして、彼女を歓ばすべきかもしれないと

考えた。

ジョンは身体を起こして、思いやりをこめて彼女にそっと重なった。

そして驚いたことに、

その時初めて、ジョンはドールのドールたる所以を

知ったのだった。

彼女がうねった。

そして怒涛のような快感、

激しいけれど限りなく優しい。

絶えまないグッドバイブレーション。

永遠に続くかと思われるそのよろこび。

これが天国というものか。。。

それからふたりの間で奇跡の化学反応が起きて、

ふたつの身体が溶け合った。

『ああ、これなんだ』シアンは言った。

『これで僕はパーフェクト』

ジョンは『知っている』と言った。

それは例によって、自分の意志で言っていることではなかった。

自分の中にいるほかの誰かの言葉だった。

シアンに似たあの男も彼の身体の中には存在していた。

『あなたとはずっと溶け合っていた』

うわごとのように繰り返した。

『俺たちがどこにいるのかも分かっている』

何度も言って、何度もシアンがそれに頷き続けた。

ジョンは激しく動き、彼女を壊すかも知れないと言う躊躇いは

消し飛んでいた。

ふたりはいつか碧い宇宙に投げ出され

いっとき不思議な光に導かれて

ついに水色の光の底に辿りつき、ふたりして

抱擁したまま凍りついている獣と青年とを見た。

『君も同じ夢を見ていたんだね』

シアンがテレパシーのように心の中でジョンに訊ねた。

『やはりあなたの夢だったんですね、私が見ていた幻は』

ジョンは応えた。

『僕は保育カプセルでモーツアルトに反応する胚子だったころから

この夢を見ている。

以来、ずっと見続けている。

彼は哀しみを僕に送信し続ける。

剃髪している男。彼は僕だよ。』

そう言ってシアンはジョンを見た。

ふたりで観ている夢の中で、ドールの顔が変化した。

水星人。

チャイニーズの古典的な青年の典雅な顔が現れた。

ジョンは自分が泣いているのを知った。

『あの金色の獣は僕の傷ついた身体を、

今日君がしたように優しく洗ってくれたんだ。

洗っても洗っても僕は血を流し続け、彼はずっと泣いていた。

僕の肉体は死んでいたけど、魂はそれを見ていた。

死ぬべきじゃなかった。

彼をあんなに苦しめて。

僕は心底後悔したよ。』

シアンの話のほとんどは理解できなかったが、

ジョンはうっとりと彼の顔を眺めていた。

傷のない青年の顔は美しく清らかで、

シアンの新しい顔としてしっくりきた。

『あなたは誰なんです？』ジョンは訊いた。

『ゲンジョウ・サンゾウ』シアンは答えた。

そして優しく言った。

『ゴクウよ。私を迎えに来るのだ。』

つづく

もうそなたは私の弟子ではあらぬ。跪くな。

↓次回です♪
第百二十六段　～ササナキ～

『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ早見表
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からどうぞ♪

ウィリアム・フォン、馮紹峰、フォン・シャオフォン、ペン・シャオペン　William Feng 以上全部同じ人（笑）

『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ早見表ってことでヨロシク♪

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すみれゆきの

いつのまにか母娘でやることになったブログです。娘は主に音楽関係を2017.04あたりから担当。 '17.07.22現在『アジアの音楽』『アジア以外の音楽』の両カテ以外の音楽の記事は娘です。私は映画やドラマなどを中心に気功や太極拳などの情報ファッションや猫や人間の健康に関することなどを発信してます。混乱します？そうでもない？娘は几帳面。私はイイカゲン。そんな感じの見分け方で(笑)

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