

人間的に魅力のあるいい役柄は、それにふさわしい体格や外見の人に与えられる。それが真実なのよ。長身のドレスを着た超美人のモデルが演じられる役がどれくらいあると思う?私も経験してきたけど、中身のある面白い役柄があると、綺麗な人々から先に帰されるの。
もともと「こういうタイプの役がやりたい」と思って出演作を探すタイプではないの。普段から脚本は読むようにしていて、その中からアイデアを探すことはある。驚かされるようなものに惹かれることもあるし、開発中の企画がある方向に進んでいるのを知ったとき、役者としてこの作品には出演したいと強く思ったり。ただ私は子供が2人いるシングルマザーで、撮影中は子供たちと離れる必要がある。だから、私が出演するのは心から携わりたいと感じた作品だけね。(シャーリーズ・セロン)
https://www.gq-magazine.co.uk/article/charlize-theron-interview-british-gq-ageism-sex-appeal-south-africa
https://natalie.mu/eiga/pp/atomicblonde
うまく作られた2、3分のアクション・シーンは、10分間の説明よりも登場人物をよく語ることができる。スパイとしての彼女の生き残る意思、知性、タフさ、卓越した技量、そして人間性が見えてくる。(デヴィッド・リーチ監督)
https://www.hollywoodreporter.com/heat-vision/atomic-blonde-director-interview-david-leitch-david-bowie-hints-twists-at-end-1025230
私はリアリティを見たい。誰かが攻撃されたら傷つくのが見たい。痛みとパンチを感じたい。(シャーリーズ・セロン)
https://www.hollywoodreporter.com/heat-vision/atomic-blonde-director-interview-david-leitch-david-bowie-hints-twists-at-end-1025230
殴られれば倒れ、血を流し、青あざもできる、超人ではない、リアルで人間的な描写
因みに、本作の中盤から終盤にかけて、階段など建物の内部を舞台にホイップ・パンを使って数多くのカットをつなぎ合わせた、数分間の長回し風のアクション・シーンがあります。ホイップ・パンというのは、カメラを勢いよく振って画面を流すテクニックで、必要に応じてちょっとしたCGを加えることにより、異なるカット間を連続しているように見せることができます。この方法の最大のメリットは、長回し風の臨場感を演出しながら、傷や血などのメイクをカットごとにどんどん濃くしていけることです。主人公ロレーン・ブロートンの性格、人間性をも印象づけ、「映画史に残る」とまで評されたこのシーンは、実は原作にはなく、映画表現の付加価値を強く感じさせるシーンでもあります。
スタントウーマンが階段を転げ落ちる
数多くのスタントをシャーリーズ・セロン自身が演じているが、階段を転げ落ちるカットはさすがにスタントウーマンが演じている。このカットでは顔が映らない。
激しくカメラを横に振るホイップ・パン
階段を転げ落ちるスタントウーマンを追って、カメラが激しく横に振られる。被写体がフレームからはみ出すほど距離が近く、何が映っているのかわかりにくい。
シャーリーズ・セロン本人と入れ替わる
コマ送りで見るとフレームが不連続で、スタントウーマンがシャーリーズ・セロン本人と入れ替わったことがわかるが、動きが激しく、被写体がフレームからはみ出すほど距離が近い為、通常の再生速度では気づかない。
壁に打ち付けられ、顔が映る
壁に打ち付けられたシャーリーズ・セロンの顔が映り、階段を転げ落ちるスタントも彼女が演じていたように見える。
余談:スパイのあり方を変えた冷戦の終結
本作は通常のスパイ・アクションとは異なり、虚無的、悲観的、退廃的なノワール色の濃いスパイ・アクションとなっています。これには、舞台となった時代背景が大きく影響しています。
東西のスパイ活動は長い間、米ソの冷戦構造を背景に発展してきましたが、1989年11月のベルリンの壁崩壊、そして12月の米ソ首脳による冷戦終結宣言で、それまでのスパイ活動が大きく変わることになりました。米ソの冷戦構造を背景にしていた映画「007」シリーズは、以降、仮想敵がロシアン・マフィアや北朝鮮などに変わり、元イギリス諜報部員ジョン・ル・カレのスパイ小説を原作にした米ソ冷戦が背景の映画「寒い国から帰ったスパイ」(1965年)、「裏切りのサーカス」(2011年)なども、「ナイロビの蜂」(2005年)、「誰よりも狙われた男」(2014年)など、多国籍企業の暴走とそれを助ける諜報機関や、対テロ諜報戦を扱う作品へと変化していきました。
1989年のベルリンという本作の舞台は、冷戦構造の崩壊、ベルリンの壁の崩壊という大きな変化の中で、その後、自分たちがどうなるかもわからないままに時代の波にさらされる不安定なスパイたちを、虚無的、悲観的、退廃的なノワールのトーンで描いているわけです。また、当時のベルリンのアンダー・グラウンドではパンクシーンが盛り上がりをみせていましたが、本作ではそんな80年代の音楽を活かしながら、時代の変化がもたらす不安定さを描き出しています。
シャーリーズ・セロン(ロレーン・ブロートン、MI6の敏腕女性エージェント)
シャーリーズ・セロン(1975年〜)は、南アフリカ共和国出身の女優。177センチの長身で、バレーダンサー、モデルの経験あり。父親がフランス系、母親がドイツ系。幼い頃からアルコール依存症の父親による家庭内暴力に悩まされ、15歳の頃、晩に酔った父親に暴力を振るわれ、娘の命の危険を感じた母親が父親を射殺するという不幸な事件に巻き込まれる。母親の正当防衛が認められたが、家庭内暴力や依存症の社会問題を共有する為に、この事実を隠すことなく公表している。「すべてをあなたに」(1996年)、「モンスター」(2003年)、「ライフ・イズ・コメディ! ピーター・セラーズの愛し方」(2004年)、「スタンドアップ」(2005年)、「ヤング≒アダルト」(2011年)、「マッドマックス 怒りのデス・ロード」(2015年)、「タリーと私の秘密の時間」(2018年)、「ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋」(2019年)などに出演、「モンスター」でアカデミー主演女優賞を受賞、「スタンドアップ」で同賞にノミネートされている。
ジェームズ・マカヴォイ(デヴィッド・パーシヴァル、MI6ベルリン支部責任者)
ジェームズ・マカヴォイ(1979年〜)は、グラスゴー出身のスコットランドの俳優。7歳の時に両親が離婚し、母方の祖父母のもとで育つ。 カトリック系の学校を卒業後、ロイヤル・スコティッシュ・アカデミーで演技を学び、1995年に映画デビュー。20歳の時にロンドンに移り、主にイギリス国内のテレビや舞台で活躍する。「ナルニア国物語/第1章: ライオンと魔女」(2010年)で国際的に知られるようになり、「Starter for 10」(2005年)、「ラストキング・オブ・スコットランド」(2006年)、「つぐない」(2007年)、「X-MEN: ファースト・ジェネレーション」(2011年)、「X-MEN: フューチャー&パスト」(2014年)などに出演している。
ジョン・グッドマン(エメット・カーツフェルド、CIAのエージェント)
ジョン・グッドマン(1952年〜)はミズーリ出身のアメリカの俳優。オフ・ブロードウェイの舞台に立った後、テレビにも出演するようになり、1983年に映画デビューする。「赤ちゃん泥棒」(1987年)、「バートン・フィンク」(1991年)、「ビッグリボウスキー」(1998年)と、コーエン兄弟監督作品で名を知られるようになる。「アーティスト」(2011年)、「アルゴ」(2012年)、「インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌」(2013年)、「10 クローバーフィールド・レーン」(2016年)、「パトリオット・デイ」(2016年)などに出演している。また、「ラマになった王様」(2000年)、「モンスターズ・インク」(2001年)、「プリンセスと魔法のキス」(2009年)、「パラノーマン ブライス・ホローの謎」(2012年)、「モンスターズ・ユニバーシティ」(2012年)など、アニメ作品への声の出演も少なくない。
エディ・マーサン(スパイグラス、シュタージから離反したスパイ)
エディ・マーサン(1968年〜)は、ロンドン出身のイギリスの俳優。父はトラックの運転手、母親は教師の助手という労働者の家庭に生まれる。舞台で活動を始め、1992年にテレビに初出演、マイク・リー監督の映画「ハッピー・ゴー・ラッキー」(2008年)の好演で、世界的に知られるようになる。「21グラム」(2003年)、「ヴェラ・ドレイク」(2004年)、「僕と彼女とオーソン・ウェルズ」(2008年)、「アリス・クリードの失踪」(2009年)、「思秋期」(2011年)、「ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!」(2013年)、「僕と世界の方程式」(2014年)、「人生はシネマティック!」(2016年)、「デッドプール2」(2018年)などに出演している。
ソフィア・ブテラ(デルフィーヌ・ラサール、DGSEのエージェント)
ソフィア・ブテラ(1982年〜)は、アルジェリア出身のフランスのダンサー、モデル、女優。5歳からクラシックバレエを習いはじめ、10歳でフランスに移住、新体操のフランス代表チームに所属していた。非常に身体能力の高いダンサーで、マドンナなどの数多くのミュージックビデオ、ワールドツァー、CM、ナイキのキャンペーンなどに出演している。映画「キングスマン」(2015年)で非常に高い身体能力を生かしたパフォーマンスを披露、世界の注目の浴びる。「スター・トレック BEYOND」(2016年)などに出演している。本作では、高い身体能力を抑えているが、同じく高い身体能力を持ち「エクス・マキナ」(2015年)、「ハートビート」(2016年)などで注目を集めた日系イギリス人女優のソノヤ・ミズノ同様、ダンスやアクション以外でどれだけ説得力のあるパフォーマンスを見せられるかが、今後のさらなる活躍の鍵になりそうだ。
トビー・ジョーンズ(エリック・グレイ、ロレーンの上司)
トビー・ジョーンズ(1967年〜)は、オックスフォード出身のイギリスの俳優。身長163cmと小柄の性格俳優。マンチェスター大学で演劇を学び、卒業後に「オルランド」(1992年)で映画デビュー、「ネイキッド」(1983年)、「エバー・アフター」(1998年)、「ハリー・ポッターと秘密の部屋」(2002年)、「ネバーランド」(2004年)、「フロスト×ニクソン」(2008年)、「キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー」(2011年)、「裏切りのサーカス」(2011年)、「マリリン 7日間の恋」(2011年)、「 ハンガー・ゲーム」(2012年)、「バーバリアン怪奇映画特殊音響効果製作所」(2012年)、「ハンガー・ゲーム2」(2013年)、「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」(2014年)、 「五日物語 -3つの王国と3人の女-」(2015年)などに出演している。舞台でもローレンス・オリヴィエ賞を受賞、ブロードウェイではトニー賞にノミネートされている。「裏切りのサーカス」では、本作同様、器不足のMI6のリーダー格のエージェントを演じている。
ビル・スカルスガルド(メルケル、ロレーンの助手)
ビル・スカルスガルド(1990年〜 )は、ストックホルム出身のスウェーデンの俳優。2000年に子役で長編映画デビュー。高校を卒業後、本格的に俳優活動を開始、主演映画「シンプル・シモン」(2010年)が、第83回アカデミー賞外国語映画賞のスウェーデン代表に選出される。「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」(2017年)、「デッドプール2」(2018年)、「ヴィランズ」(2019年)などに出演している。
【サウンドトラック】
「アトミック・ブロンド」のサウンドトラックCD
「フリーソロ」(2018年) 2020年09月15日
「初恋のきた道」(1999年、中国) 2020年08月04日
「恋する惑星」(1994年、香港) 2020年04月05日
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