:夢工房:

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9・10

2013年9月10日 それは1本の電話から始まった。

「あの家が決まったの。OKEIちゃんが第一報なのよ。」って。


「え~~、おめでとう!」

そう言った。心から、心底、そう称賛した。


実は連絡を受けるまで少し間があって、果たして自分がどこまで受け入れられているのか

不審に思える時期があり、「それならそれでいいわ。」とさえ思い始めていたので、その電話はとても嬉しかった。

オリンピックが7年後に決まった翌日のことであり、その件にも触れたら案の定、不動産屋が決定を受けて提示した値下げ価格をまた吊り上げてきたという。

「それは今後の業界の有り方にも影響するのではないですか。」と、しっかりゴネて値下げした価格で手を打った、とのこと。

エライ!
結果100万円の差が出た、ということだった。

「ここまできたら、定年までしっかり勤めてお金を少しでも稼ごうと思うの。」という彼女に、
「それまでの間に『時間』という自由がある私にできることは何でもするからね。」と宣言した。

「まぁ、嬉しい~、ありがとう。心強いわ~」と喜んでくれた。

実際、時間のある私・ができることは、きっと図り知れないと思っている。


私のため?にも励み。つまり『夢』の実現=二人の構想のスタートである。







9・11

それは、確か2012年の暮れ、偶然同じフェアに参加しての帰りに

カフェでお茶をした時に初めて告白された。


「私、会社を辞めようと思うの。」


そう、彼女は子育てを終えてから自宅の眼の前の会社に再就職をし、
いまだ現役を続けているのです。

「えっ、なぜ? 辞めるなんてもったいない!」

居合わせた二人が口を揃えた。

「貯めたお金で小さなお家を買おうと思うの。
それで、そこを女性の溜まり場のような空間にしたいの。

いま、物件を探してる。」






9・12

告白を受けてから、二度食事デートをしました。

夢、それは『妄想』と称されました。

二人の間でこの言葉が大いに飛び交い、あれこれ話題が尽きなくー

というのも、ひとつには彼女と私は歳が近く生きた世代が同じであるため
共通した感覚が持てるということ。

これは互いを理解する点において、もの言わずしてわかり合える
重要な要素であるといえます。


「内装は、竹を活かしてスポットの小さなライトを当てて・・・」

「表装はあの人に頼んで。」 「看板は身近に創れる人がいるし。」


二人とも、それなりのキャリアと友人知己が広いゆえ、次々とアイデアが出て、
膨らむばかりの『妄想』!



この時期、図らずもー

私の住まいの隣駅に、存在は知っていたけれど、なんとなく毛嫌い感があって
足を踏み入れたことのない古い骨董屋さんがあった。

そこが店仕舞いをするという。


たまたま通りがかって「店内底値。30%OFF~」という張り紙を発見!

惹かれて、つまりは、なによりすぐ『妄想』の線上にある感覚に触れて入店してみた。


雑多に置かれた、雑多なもの。茶碗から箪笥、和洋の人形やら靴、時計、スプーン・・・

まぁ、凄い。

ただし、それらの品々に大いに興味をそそられたのであります。

まさに、『妄想』具体化に役立つと思える品々がそこかしこ。


なにより、グッときたのはそれらの価格。



安い!!



そこに置いただけで雰囲気が出ると思う古~いアンティーク調の木製電話機

1500円





歌舞伎で使ったか?と想うような塗りの明らかに手造り一点ものの蛇の目傘

1000円






鎌倉彫の鏡台 2500円






縦縞柄の絹の着物。なんと色は黒とキツネ色、巾4センチ。おまけに八掛けが真紅という、とても普段着なさそうだけれど、それはそれは粋な一着。その他 紋付もいろいろ。

300円



等々・・・



眼がテン。


浸ってしまった。


まさに、『妄想』店開業の折に、間違いなくフィットし魅力を発揮するであろう代物が、しかも安価で手に入る状況・・・


ただ、
まことに残念なことに、その時点で起業の店そのものは現に『妄想』でしかないのでした。




















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