テレビっ子
昔々 私の彼はテレビばかりみていた。私のほうを見てくれないで。
「どうしてテレビばかり見ているの？」
「みたいテレビがあるから」
そのときはふうんと返事をして、テレビを見ているその顔を
ずっと飽きもせず眺めていた。
それから一年して私はテレビっ子になった。彼の隣で。
「テレビ、そんなにおもしろい？どうしてテレビばっかり見てるんだ？」
彼が私の顔をじっと見てちょっと微笑む
「うん、あなたといてもつまらないから、テレビを見ていた方が楽しいから」
その時から私はテレビが嫌いになった。情報のたれながしは、感受性を鈍くする。
そしてカンフル剤として本を読む。日本の古き良き時代の。
村上春樹が「だめな女は、純文学が好きでクラシックを好む」とどこかで
書いていたけど、私はそうは思わない。
「そんな女を作り出す男はどうなの？」そう問いたい。
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