※あなたの大切な人は 誰ですか? こちらはお気楽極楽発信所※

深夜の訪問者(sストーリー)



こんな遅いのにどこのアホなのよっと

窓ごしに表を眺めると

駐車場から 誰かが降りてくる

そして、なぜだかわからないけれど

うちのドアホンが鳴った。

「高速とばしてきたんだけど・・・」

玄関先に立っているのは もう二度と会わないと

思っていた人 驚きと戸惑いがぐるぐると

頭の中でまわりだす、そして胸をきゅっとしめつける

午前2時をまわり 好きなテレビのオープニング曲も

聞こえなかった

目が少しうるみ、キャラには似合わない口調で

お互い 重く言葉を探しながら、時間の筋をたどる。

宛ての無い恋ほど つまらないものはない

一人からまわりして 一喜一憂して

そして おぼつかない恋の行方を

吊橋の上から見守っている そんな感じ

たとえそれがあやうい薄い物であっても

どこかに幸せそうに微笑んでいる自分がいたりして

でも

さばけているふりをする

ものわかりのいい女も もう嫌

偽善者になりたくない 私は

何日か前に そう告げた人が 目の前に現れた

「どうしたの?」

伏目がちに聞かれる 私

こっちが聞きたいけど ま 黙っていよう

「いろいろ考えてたら なんだか会いたくなって・・

君の中にもう 俺はいないよね・・・

無関心という行動が どのくらいあなたを傷つけて来たか

いまさらながら よくわかったよ。」

「そんなこと 言いにきたの?電話で十分じゃない?」

嫌な女だ

でも最後まで演じきれる覚悟は もう できている

「あなたのあいまいさには もう どうしようもない

憤りを感じていたの。 どんな人でも、やさしさって

偽善な愛情を装ってほっておくこととは違うでしょう?

あなたのこと、好きだったけど 今は なんとも思わないわ

それが本当の無関心ってことなの。

与えるだけが愛情じゃないし与えられるだけでも

愛情ではないってこと、せめて同じ視点で

立っていたかった・・・・。」

玄関から、彼の体を押し出して ドアを 閉めた

「もう・・・・遅すぎるのよ・・・。」

さっきから、SAXのソロがかけっぱなし

なんとなく今のシチュエーションにあうバックミュージック

で、なんだか笑えた。

彼はもう何も言わなかった。

今 扉を開けて受け入れれば 元に戻るかもしれない

一瞬のそんなばかげた閃きは すぐに散っていった


大好きだった

でも おしまい

もともとあなたは 愛される人ではなかったんだね。

次の恋で たくさん 愛してあげてください

次の恋で もっと人を大事にしてあげてください

季節が変わればきっと わたしの記憶も

だんだんと薄らいでゆくのでしょう

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