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2008.04.09
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カテゴリ: イタリア映画


ローマ三部作といわれるの中のひとつ。原作はネロ帝に寵愛されたという、ペトロニウスの『サテュリコン』。

 古代ローマ。快楽主義の学生エンコルピオ(ポター)は、親友アシルト(ケラー)と一人の美少年を争って破れる。その後、彼が経験するローマの退廃と堕落の遍歴譚。
酒池肉林の宴、男同士の結婚、屍肉を食らえと遺言する老詩人の物語など、異様なキャラクターが登場する。

精神世界を描いても、放蕩や狂乱を描いても、純粋さがあるフェリーニ監督。
退廃的な中にも、ユーモアや柔らかさがあります。
グロテスクで辛辣なところは、同じイタリアのパゾリーニ作品と共通した面を感じましたが、この純粋さだけは、他の監督にもない種類のものではないでしょうか。

sat4.jpg

ローマの退廃と、芸術と、色彩の饗宴。

壮大なセットと美術にかかった労力を思うと、溜め息がでます。どのカットをとってみても既成のものはない、すべて造り上げたもの。
それがあまりに素晴らしいので、目が離せません。
一つひとつ見事なセットが、言いようのない存在で迫ってきて、堪能する前に、また次の芸術が現れてくるようでした。
壮大なセットさえも、フェリーニ作品は壊しまう・・。思い切りの良さは、感嘆したり圧倒されるばかりです。
壊す という行為は、きっといろんな意味が含まれているのでしょう。
壊すからこそ、ただ落胆させてはおかない、仄かな希望が生まれる。
多くのロードムービーが、海に行き着くことで 再生 を意味するのと似ているように感じます。

satyricon1.jpg

主人公エンコルピオが経験することは、あらすじのままに、不健康で壮絶です。
このごろ、偶然にか必然にか、内面にも外面にも強烈な映画ばかり観ていますが、シュバンクマイエルの『ルナシー』も、パゾリーニ作品も、異質な世界に抛りこまれて、その先は自分次第だけれど、フェリーニの描く世界には幻想という救いが残されているようです。


satyricon2.jpg

主人公が辿る不可思議な道。途中で彼は、ふたりの詩人と出会います。
ひとりは貧しくも、真の詩人。もうひとりは見せかけの詩で、私腹を肥やす偽の詩人。
貧しい詩人は主人公に知を与え、真実の言葉(詩)を遺して逝きますが、見せかけの詩人は享楽に溺れ放蕩三昧。
突然死んだフリを決め込む件は、『ルナシー』の侯爵と重なりました。神の真似事なのか、不謹慎な行い。人でなしを地でいく者たちがたくさん登場します。


若者たちの彫刻のような肉体美は見所。驚くほど強烈なインパクトある作品。
こちらも 死ぬまでに観たい映画1001本 に選ばれています。
イタリア語、ギリシャ語、その他の言語も使用されているようですが、字幕がつくのはイタリア語のみ。自然と謎めいた印象も残りました。



51iNcPINW2L.jpg



製作  アルベルト・グリマルディ
脚本  フェデリコ・フェリーニ  ベルナルディーノ・ザッポーニ
撮影  ジュゼッペ・ロトゥンノ
音楽  ニーノ・ロータ
出演  マーティン・ポッター  ハイラム・ケラー  サルヴォ・ランドーネ  キャプシーヌ

(カラー/125分/FELLINI-SATYRICON)







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Last updated  2009.10.17 15:17:02
コメント(6) | コメントを書く


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見直す必要あり作品  
racquo  さん
この映画を見たのはたぶん中学生ぐらい。
ギリシア神話(ローマ神話)の知識も乏しければ、
色々な意味での理解力も低かった。
だから本当は見直すべきでしょうね。
ラビリンスのミノタウロスもアリアドネも知らなかった。

色々なところに書いているように時代ものは苦手なのですが、
フェリーニの場合は考古的写実ではなく、
すべて彼のイマジネーション世界の具現だから、
抵抗はまったくありません。

あとニーノ・ロータの音楽がずば抜けて良かったですね。

(2008.04.09 16:12:46)

racquoさん  
はる*37  さん
映画を観て、それがきっかけになって知ることが
最近とても多いです。
映画からの勉強なら苦じゃなくて(笑)
この作品は神話をいっぱい取り入れていたんですね。思っていた以上に。
ラビリンスやミノタウロスと聞いて、そうだったのかと、納得したシーンがありました。

彼のイマジネーションは、ひょうきんさがあって、いいです。

>ニーノ・ロータ

ニーノ・ロータの功績はすごいですね。
映画を観ているとよく名を見つけます。色んな作品を手がけたすごい方ですね。
(2008.04.09 23:25:23)

Re:【サテリコン】 1969年 古代ローマの放蕩と堕落(04/09)  
ヤスカイ  さん
こんばんは。

映画はもちろん未見ですし、原作もいまだ手つかずなんですよ。
『サテュリコン』も これに関連して『クォ・ヴァディス』も・・・

どうもネロが好きじゃないのとペトロニウスもなんだか好きになれなくて・・・って、史実の彼らしかわかりませんが。史実のネロはなかなか頑張ってたんですけどね・・・。
でもちょっと読んでみようかという気になりました。
いま、読みたい本がたくさんあって困ってます。お気に入りに入れて機会を待ちます。

フェリーニ・・・・塩野さんは「他の人の作品は、良かったと思いながら映画館を出ますが、あなたの作品は、コンチクショウ!とつぶやきながら映画館を出ます」とフェリーニに言ったとか・・・彼は大笑いをして喜んだそうです。
「彼の作品は嘘ばかりなのだ ところがその嘘を集めていくと真実になる、という作品を作る  ・・・・・その嘘からにじみだすことが、ホントだと思わなくてはいけない」と言ってます。
塩野さんはインタヴュー嫌いのフェリーニに、一時間の予定を六時間もしゃべらせたとか。よほど感性が合ったんでしょうか・・・
フェリーニが死んだときの彼女の息子君の言葉・・「彼はイタリア人の真実を完璧に描いていながら、われわれイタリア人がイタリア人であることを恥じないですむ作品を創れる人だった」 やっぱり生意気な小僧だな・・・会ってみたい。

知ったようなことを書いてすみません・・・
失礼しました。
(2008.04.09 23:42:25)

ヤスカイさん   
はる*37  さん
面白いお話を聞かせてもらいました!
塩野さんとフェリーニは、対談してらしたんですね~。

虚構を、ただそれだけで終わらせない手腕、さすがです。
映画の背景(私は邦画だけですが)がきちんとわかった上で、コンチクショウ!と腹立たせることができれば、監督の勝ちという気がします。
私には岩井俊二さんがそうです。

嘘といえども、真実を含んでいて、ホントと思わせて楽しませてくれる監督の映画は、やっぱり好きだな~って思います。 (2008.04.10 00:08:09)

Re:【サテリコン】 1969年 古代ローマの放蕩と堕落(04/09)  
ジウニー  さん
見た時すぐに「こりゃ~ヤスカイさんが黙っちゃいられないな」と思っていたらやっぱり^^
話が合いそうですね
私はぜんぜんわからないけど芸術的な映画ですね「おお!」という感じです
絵を習うようになってから興味の幅が広がりまして主人公の着ている服の模様まで気になるようになりました

関係ないけど昨日のルナシーは「え!はるさん河村隆一も好きだったの?意外~~~!」なんて思ってしまいました、ごめんね(ふざけてる訳じゃないですから)
(2008.04.10 17:41:56)

ジウニーさん  
はる*37  さん
>こりゃ~ヤスカイさんが黙っちゃいられない

うんうん。思いました。
やっぱり為になるコメント残してくれました♪

>絵を習うようになってから興味の幅が広がり

そうですかぁ~いいですね~
ジウニーさんの世界が広がっていくの
わずかな日記からでさえ感じられると、私は思ってます。素敵。
興味あると調べてみたり探してみたりして、
新しい発見もあるし楽しいですねw

>ルナシーは「え!はるさん河村隆一も好きだったの?意外~~~!」なんて思ってしまいました

大爆笑!!
図星ですよ。そのルナシーは苦手な部類にはいってます(笑)
でも河村隆一のモノマネなら得意! (2008.04.10 21:32:46)

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