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2008.04.21
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カテゴリ: 映画
 ほんとうにじんわりと心に染む、いい映画でした。
アイスランドの雄大で厳しい自然は神々しく、神はキリストであっても、自然に宿る存在の感覚は、自分の持っているものと同じ。
老人が静かに、死へ向かって動き出す物語でした―――。

悲壮感でいっぱいでも、幻想と現実を行き来しながら、限りなく天界へと近づいていくような、不思議な の姿。
『ベルリン・天使の詩』のブルーノ・ガンツが登場することで、 天使 という不可思議なものが、見事に映像となってラストに深い感慨を残していました。


農場を捨て、娘のもとへ身を寄せるも断られ、老人ホームへ入所することになるゲイリ。そこには驚く事に幼なじみで恋をしていた女性ステラがいました。
故郷で死にたい――そう呟く彼女の望みを叶えようと、ゲイリはステラを連れてホームから脱走するのです。


望郷の念に支えられ、アイスランドの幻想的な風景の中を逃避行する二人の老人が、あまりに美しくてハッとさせられました。死を描くぶん、生の輝きも違います。
幻想の中に迷い混む時、半分は天国へ足を踏み入れているのかもしれない。
不思議な出来事も、国中で目撃される彼らのジープも、現実にたしかにふたりは存在しているけれど、ときに魂は肉体を離れ、故郷を目指していたのかもしれません。

海辺の村に辿りつき、懐かしい風景に心身ともに癒されていく二人には、もうなにも望むものはありません。過去を思い出しながら、その人生のすべてを思い出しながら、静かに最期の時を迎えるだけ。
人の気配ない国の果てで、彼らが身を寄せた民家も、先に逝ったステラを葬る教会も、異様な真新しさでした。それは、まさに現実とは違う異世界での出来事のようです。
ひとりになってしまったゲイリは、最期の力を振り絞り、命尽きるまで村を歩きます。海辺を歩き、死に場所となる廃墟へと辿り着くまでの長回しが、じんと心に染み入りました。

高齢化社会、老人をたくさん抱えた国の問題は、これからもっと膨らんでいくのでしょう。
ハリウッドでリメイクが決まったという、お気に入りのトルナトーレ監督作品『みんな元気』を思い出しました。まったく違った切り口の作品だけれど、子どもたちにさえ邪魔にされてしまう老人の悲哀が悲しい。
90分に満たない小品でしたが、とても素晴らしい作品でした。
音楽はなく賛美歌が響いて心を洗ってくれました。
アイスランドの大地の魅力ももちろんあるけれど、全体に満ちている気とか魂とか神秘が、胸を揺さぶりました。



「どの道を行き来するかは どの人生を選ぶかによる」



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 監督  フリドリック・トール・フリドリクソン
 製作  フリドリック・トール・フリドリクソン  ウォルフガング・ブファイファー
      スクーレ・エリクセン
 脚本  フリドリック・トール・フリドリクソン  エイナル・マオル・グドゥムンソン
 撮影  アリ・クリスティンソン

 出演  ギスリ・ハルドルソン  シグリドゥル・ハーガリン  ルーリク・ハラルドソン
      ワルゲルドゥル・ダーン・ソウルラウクル  ブルーノ・ガンツ

 (カラー/85分/アイスランド=ドイツ=ノルウェー合作/CHILDREN OF NATURE)








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Last updated  2016.02.14 19:56:55
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Re:【春にして君を想う】 1991年(04/21)  
ベティ333  さん
はるさんのレビューを読んで自分も観た気持ちになりました!
人生最後の旅なんですね。
娘に拒否されてかわいそうなんて思ってましたが、受け入れられてたら初恋の人との出会いはありませんでしたね。
是非観たいと思います。 (2008.04.22 12:55:05)

ベティ333さん   
はる*37  さん
伝わってくれたら嬉しいですww
とてもいい映画でした!
ふつうのレンタルショップにはなさそうですね。。
感想の最後に言葉を追加したのだけれど
道を選ぶ・・というのは
誰と生きるのかでもあるのでしょうね。
ムリをしてでも、初恋の人と最期を過ごすことを決めたゲイリはすごいし
いい生き様だなと思いました。
(2008.04.22 21:58:43)

『コールド・フィーバー』  
racquo  さん
の監督さんですね。

こちらはまだ生きている老人の死に場への旅ですが、
『コールド・フィーバー』の方は死んだ両親の弔いの息子の旅。
テーマとして共通性が感じられますね。
たぶんあまり都会化されていない、
そしてそこにある巨大な自然の力から人が受けるもの、
あるいは厳しくもあるであろう自然との共生の必要性、
都会化された我々が見失っているものを思い出させてくれるのでしょう。

いま上に戻って気付いたけれど、原題はまさに「自然の子」なんですね。

(2008.04.23 02:04:13)

racquoさん   
はる*37  さん
共通したものがあるようですね~
この映画は、きっと
『コールド・フィーバー』を予約した時に見つけて
観たいと思ってポチリしたのだと思います。

>原題はまさに「自然の子」なんですね

そのままですね^^ (2008.04.23 17:22:48)

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