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2008.06.21
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カテゴリ: 台湾映画


ある時、シャオカンはまもなくパリに旅立つという女性シャンチーと出会う。彼女はシャオカンの着けていた時計を強引に買い受けて旅立つ。
台北とパリ。遠く離れたふたりは互いの場所で、深い孤独と向き合っていた―――。



想像以上になにも起こらない物語は、印象がかなり違っていたけれど、なかなか良かった。
きっと誰もが持っている孤独。それは身近で、主人公たちがいじらしく感じられるのは、自分の中にも同じくあるものだから。
ツァイ・ミンリャン監督作品には、いつも同じ役者が配される。彼の分身的な役割リー・カンションは、実に魅力的だ。
役者たちが監督に全幅の信頼を置いているのが伝わる。そうでなければできないだろう演技で溢れる。
どこにでもいる無力な人物を、泣き笑いしたい気分で見つめる。その先に、愛おしさと切なさがほんのりと残る。

映画を通じて“死”を考えて欲しかったーーというこの作品。父親の死から始まる物語は、喪失から立直れない母を描き、その息子の孤独や、シャンチーの異国での孤独にまで描写が及んでいく。
面白いのは、シャンチーがなぜパリへ行ったのか不明瞭なまま(旅行とはいえ)、魅力的には描かれないパリで、ジャン=ピエール・レオに出会うところ。
大人は判ってくれない 』のシーンを引用して、歳を重ねたレオ本人も出演せている。内容とは繋がりないのは、監督憧れの俳優を起用したかった、ただそれだけなのかもしれない。
楽日 』で往年のスターを出演させたように、自分の作品で敬意を込めて。そういう自由さが許される作品だった。

ひとつのエピソードを、少ないカットで撮っていく個性的な映像は、やぱり私好みだった。
シャオカンがシャンチーを想って、色んな場所のいろんな時計を、7時間遅れのパリTIMEにあわせるシーンは、ウォン・カーウァイの描くこじゃれたユーモアの感覚に似ていて、こちらも好きだった。
香港・日本・台湾に共通してあるアジアの恋愛のあり方は、豊かさの象徴のような気がする。

それにしても、時計売りのシャオカンは、続編でAV男優になってしまうのだ。
最初から知ってて見ると、なんだか妙に納得した、時の流れを感じた。






脚本  ツァイ・ミンリャン  ヤン・ピーイン
撮影  ブノワ・ドゥローム
出演  リー・カンション  チェン・シャンチー  ルー・イーチン  ミャオ・ティエン
セシリア・イップ  ジャン=ピエール・レオ

(カラー/116分/台湾=フランス)







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Last updated  2008.12.22 14:12:10
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