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2008.12.21
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カテゴリ: アメリカ映画




こわれゆく女
夫ジョンがメガフォンをとった骨太ハード・ボイルド。
裏社会で生きてきた擦れたマフィアの元情婦グロリア。度胸の据わった、貫禄ありまくる彼女の姿にシビレる。同じ女としてほんとにたまらなく憧れる一面を持っつグロリアに魅せられっぱなしだった。

内容は別物でも、形式は『レオン』の原型で、母性・父性などとは縁遠い生き方をしてきた中年の大人が、思いがけず他人の子どもを守るハメになり、いつしか膨らむ情に、自らの命を懸けてでも相手を守ることになる―――というもの。
はじめは子どもの扱いなどわからないグロリアと、家族を失ったばかりのショックで心を閉ざしたフィルは、衝突してばかりいる。
付いたり離れたりしながらも、諦めの中で逃避行を重ねるうち、いつしか深い信頼関係で結ばれていく件は、いまとなっては新しいものではないけれど、子ども+大人で描かれた作品はこれが初めてだったのなら、当時は相当斬新だったに違いない。

gLORIA[1].jpgGloria shoting.jpg



グロリアが煙草をふかすとき、マフィアに銃をぶっ放すとき、ガウン姿でくたびれた表情を見せるとき・・・・すべてに人間的な魅力がありすぎて、この映画の大半が女優としての彼女の才気に他ならないと思えてくる。
もちろん、夫であるカサヴェテス監督の脚本もよく、冒頭の導入部なんか相当にカッコ良く、音楽もドラマティックで秀逸なのだけど、女優ジーナの存在があまりにも大き過ぎるのだ。
たとえば好きな映画『レオン』では、当時12歳ほどだった子役ナタリー・ポートマンの強い目の魅力も、作品の評価に力を貸していたけれど、本作では子役の魅力によるところは少ないように思う。

少年との間に芽生える感情が恋愛なのかはわからない。私的には母性愛であってほしいけど。
フィルがベッドで眠っているシーンが妙に艶かしくて、「愛してる」という台詞がなぜが浮いて聞こえたのは、私だけだろうか。
それでもシャロン・ストーン演じたリメイク版『グロリア』では、恋愛であるという感想を目にしたから、監督の狙いはそうだったのかもしれない。


『こわれゆく女』から6年後の作品。心の機微や細部の繊細さは、さすがに及ばない。
強い女 の代名詞として、目立たなくてもいい映画として、ずっと残ってほしいな。
最近、プライベートで映画の話をする機会が増えて、公開当時、この映画を観たという同僚の方にも出会った。主演女優が忘れられない味のある映画だったよ!と聞いて、無性に観たくなってレンタルした。思いがけず大好きなカサヴェテス・ファミリー映画だったのも嬉しくて。
人との出会いも、映画との出会いも、本当にいいものだと、最近あらためて実感しながら過ごしているはる*です。





製作  サム・ショウ  スティーヴン・F・ケステン
撮影  フレッド・シュラー
音楽  ビル・コンティ
出演  ジーナ・ローランズ  ジョン・アダムス  バック・ヘンリー 

(カラー/121分)







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Last updated  2008.12.22 13:44:12
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