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2010.02.08
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カテゴリ: フランス映画

事故で夫と最愛の娘を失った主人公ジュリーが、作曲家だった亡き夫の未完成交響曲を完成させることで、悲しみから立ち直っていく姿を描く―――。


 十数年ぶりの再見。
フランス国旗の色“ 自由・平等・博愛 ”をモチーフにした3部作の第1作目、テーマ色はブルー。
鮮烈な のイメージが記憶にあったのは、劇中に登場する硝子のオーナメントがとても印象的だったから。
今回は、色をあまり意識せず、ただただ悲しみから自由になっていくビノシュの姿に、じっと魅入ってしまった。

著名な作曲家だった夫の曲は、じつはジュリーが作曲していたのだろうか。。
そうだとしても、夫が死んでしまった今では、未完成交響曲が日の目をみることはない。なぜなら、偉業はすべて夫のものであり、彼女は陰の存在だったのだから、、、。
家族を失った悲しみと同時に、ジュリーは音楽に対する諦めも抱いたように、わたしには見えた。


亡き夫のパートナーで、ずっと彼女に思いを寄せてきた男の深い愛さえ、撥ねつけてしまう。それでも男は「曲を完成させる」と世間に発表することで彼女と繋がろうとする・・・。

音楽も邸もなにもかも、家族を思い出すすべてと離れていたいジュリーに、未完の楽譜と向き合うことは深い意味を持つ。
いつしか再生へと歩む彼女に希望の光はみえるのだが。ぬぐえない悲しみの涙が、同時に頬を伝い流れるのだった―――。


音楽と映像が絶妙に絡んだ物語で、とくにラストの合唱はとても素晴らしい!
ジュリエット・ビノシュという女優さんの魅力に、今度も圧倒されてしまう。
当時、まだアメリカ映画ばかり多く見ていたわたしにとって、ヨーロッパ映画の寡黙さは脅威だった。
悲しみひとつとってみても、じっくりと静かに切り込んでくる大人な描写が、すぐに好きになった。
刺激を受けた頃を思い返して懐かしい。
完成後は監督を廃業したため、このシリーズがキェシロフスキの遺作となっています。



●  ●  ●  ●




製作/ クシシュトフ・キェシロフスキ  マラン・カルミッツ
撮影/ スワヴォミール・イジャック
音楽/ ズビグニエフ・プレイスネル
出演/ ジュリエット・ビノシュ  ブノワ・レジャン  エレーヌ・ヴァンサン

(カラー/99分)







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Last updated  2010.02.10 01:38:01
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