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2010.11.14
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カテゴリ: 日本映画



 偏見に負けじと成り上がろうとする者、忠男のようにアナーキーに生きる者。
東京で暮らす在日外国人たちの生き様は、じつに ギラギラ と輝いていてエネルギッシュ。
当時の世相がそうであったとして、この熱さは近頃では得がたいすごさだ。
女にも喧嘩にも手が早い彼らが、なぜに受け身のタクシー運転手なのか・・・そこには滑稽という言葉だけでは語れない、ペーソスあふれる日々が詰っている。

お調子者を演じた若き岸谷吾朗の どぎつさ は、かなり魅力的だった。
これぞ昭和の俳優というか、、懐かしい感じ。舞台で培われた演技力はさすがだ。

マドンナ役のルビー・モレノも忘れてはいけない。当時20代だった彼女はトロのように脂ののった時期で、(濡れ場もあるが)かわいらしい姿が印象的だった。
2005年『 恋するトマト 』で、端役とはいえ久しぶりに彼女を観たとき、なんだかとても懐かしかった。

タイトル『月はどっちに出ている』は、本編中の台詞が由来となっている。
新米の運転手が街を流すうち迷子になると、電話を掛けてきて聞く。
「いま、わたしは、どこにいるのでしょう?」
すると、交換手は
「月はどっちにでていますか?月に向かって帰ってきてください」と答えるのだ。そのシーケンス。

ちなみに、本編は元々、WOWOWで放送された崔監督のテレビ映画で、それを自身が劇場用に撮り直したのだそうだ。

†    †    †

 監督/ 崔洋一
 原作/ 梁石日「タクシー狂躁曲」
 脚本/ 崔洋一  鄭義信
 出演/ 岸谷五朗  ルビー・モレノ  絵沢萠子  小木茂光

 (カラー/95分)







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Last updated  2010.11.15 21:54:04
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