☆ｆ4♪ＬＯＶＥ　アンクミの徒然日記

対立

それは、突然の出来事だった

自室のドアを開けると　自分のイスに　誰かが座っている

ドアに背を向けているので　誰か判らないが
司には　その場のひんやりとした空気で　そこに
誰が居るのか　すぐに気が付いた

「お母様　いつ帰国なさったんですか？」

静かに　イスを回すと　そこには鉄の女　道明寺　楓が
相変わらずその目は　冷たく　人を威圧してくる

「西田から報告は受けてますが　司さん　女性を一人　秘書課に移動させたようですね　　どういう事かしら？」

「えっ！　はい」西田のやつ　ババアに報告してやがったのか

「はい、牧野　いえ彼女は　今回のプロジェクトで　相手の会長を説得してくれたので　それで　秘書として・・・」

もごもごと口ごもりながら　司がそう言うと
「司さん　そのくらいの事でいちいち社員を動かしていては
困りますね　　牧野さんという方は　どうゆう方なんですか」

西田からの報告で　全て知っている　道明寺　楓だが　あえて司にそう聞いた

「僕は　その～　彼女を紹介しますね」
デスクの電話を取ろうとする　司に

「紹介～？　司さん　その方は貴方と　どうゆう関係なんですか？」

彼女の突然の帰国が　今やっと　司には判った
俺と牧野の事で　帰って来たんだ

俺を　自分の思いどうりに　動かそうとする　母親

「牧野は俺にとって　大切な人なんです」
「大切な人？　司さん　自分の言っている事が判っているんですか　貴方は道明寺家の大事な　後継者ですよ　その人間が　　あんな庶民の娘なんかを　大切な人だなんて」

司は　今はっきりと　この人に自分の気持ちを言わなければ
これから先も　俺はずっと　この人のいいなりで　生きていかなければならなくと思った

「俺は　牧野が好きです　貧乏とか　金持ちとかなんか　関係ない　俺は　あんたのいいなりに　会社を継いだ　でも　自分の好きな人は　自分で決める　あんたの言いなりにはならない」

司は　そう言うと　部屋を出て行こうと
その後姿に　激しく　声を掛ける　楓

「司さん　お待ちなさい　話はまだ済んでいませんよ」
「もう　あんたと話すことは無い　俺はもう決めているから
牧野との事は　誰にも邪魔させない」

激しくドアを　叩きつけるようにして　司は出て行った
ドアの向こうでは　まだ母親の大声が

目の前に　コーヒーを２つ載せたトレイを持ちながら
牧野が　立っていた

今の　二人の会話は　きっとドアの外まで聞こえていたのだろう　牧野の顔を見れば　それぐらい　察しが付く

つくしはその場から逃げ出したかった
私の事で　二人が揉めている

つくしの手から　トレイを奪うように司が取ると
コーヒーがカップからこぼれ　トレイの中に
そんな事も気にせずに　トレイを下に置くと　つくしの手を取り
歩き出し　屋上へ続く階段へと

「あいつの言った事は気にするな　俺の気持ちはどんな事があっても　変わらないから」

青空を　自由に飛びまわる　一羽の鳥を見ながら
つくしは　「私も　あの鳥のように　自由に何処へでも　好きな所に飛んで行きたい」

その言葉はどう言う意味なんだろうと　つくしの顔を覗きこむ
「俺と居るの　嫌か～」
寂しそうな声で　司はそう　聞いてきた

「う～んん　違うの　　でも～」
つくしは何と答えていいのか　判らなかった
自分の事を　好きだと言ってくれた　道明寺の気持ちは　つくしも　良く判っている

でも　その事で　司は母親と喧嘩　自分は会社で孤立している

私が　いなくなれば　こんな事も全て無くなってしまう
私が　いなくなれば

でも　その反対では　道明寺の側を離れたく無い気持ちもあった

すぐにカッとなる　道明寺　
わがままな　道明寺　
子供みたいな　道明寺

つくしの心には　今　勇樹との記憶より　道明寺と過ごした日々の事の方が　多くなっている

彼の腕の中に　飛び込むのは簡単な事だけど
それで　いいのだろうか
自分は　本当に　道明寺の隣に居てもいいのだろうか

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