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2025.02.17

愛を耕すひと★デンマーク開拓史

カテゴリ：映画

愛を耕すひと ■

荒野の果に、春を掴む・・・。

18世紀デンマーク。
貧窮にあえぐ退役軍人のルドヴィ・ケーレン大尉は、貴族の称号を懸け、ひとり荒野の開拓に名乗りを上げる。
しかし、それを知った有力者フレデリック・デ・シンケルが自らの勢力が衰退することを恐れ、ありとあらゆる手段でケーレンを追い払おうと躍起になる。
襲い掛かる自然の脅威とデ・シンケルからの非道な仕打ちに抗いながら、彼のもとから逃げ出した使用人の女性アン・バーバラや家族に見捨てられた少女アンマイ・ムスとの出会いにより、ケーレンの頑なに閉ざした心に変化が芽生えてゆく…。
そして、それぞれが見つけた希望とは―。

　デンマーク開拓史の裏に隠された愛の物語を描く歴史ドラマ。
イダ・ジェッセンによる歴史小説を原作に、『ロイヤル・アフェア愛と欲望の王宮』のニコライ・アーセルが監督を務める。
「ハンニバル」シリーズのマッツ・ミケルセンがルドヴィ・ケーレン大尉を演じるほか、「レイズド・バイ・ウルブス　神なき惑星」のアマンダ・コリン、『THE GUILTY／ギルティ』のシモン・ベンネビルーグらが脇を固める。

　1700年から1721年までの大北方戦争の後、デンマークでは18世紀のほとんどは戦争の脅威がなく、比較的平穏でした。
しかし、問題がなかったわけではありません。
産業が発達せず、農業に頼るしかなかったのです。

1733年に 農奴制を開始して一握りの地主が庶民を奴隷のように農業に振り分けて働かせるも、収穫できる作物の品質は良くなりません。
ことさらユトランド半島の北側は土地環境が過酷です。
農業に適しているとも言えません。
それでも当時のデンマークの人々はそんな不毛の大地を開拓しようと苦労を重ねてきました。
そんな18世紀のデンマークの開拓史をひとりの人物の視点で雄大に描いた叙事詩的な映画が2023年に公開され、2024年にかけて世界各地を魅了しました。

それが本作『愛を耕すひと』です。

作は、イダ・ジェッセンによる史実に基づく歴史小説「The Captain and Ann Barbara（英題）」。

古典的な西部劇の要素を備えつつ、それを北欧風にアレンジした佇まいなのです。

　１８世紀のデンマークを舞台に有力者からの圧力や自然の猛威に立ち向かいながら荒野の開拓に尽力する退役軍人の姿を描きだす。
北欧の至宝がデンマークの絶対王政の地へ舞い降りる。
荒れ地の開墾を申し出る話。
マッツ自体の哀愁が映画の濃度を占めて北欧歴史劇としての重みも文字どおりプラスさせる。
粛々とした空気感がとかく印象的。
18世紀の世情を露骨に反映させたり世界観の落とし方も美しさに特化させる。
マッツの絵力だけでもアドレナリンが放出したが澄んだ空気感など味わい深い風味があった。

★ユトランド半島の開拓を静かに映画いた映画かと思いきや、
地域の有力者の横暴な態度や暴力も映画かれている。

★ユトランド半島は、付け根の方がドイツ領。
ドイツと地続き。

★18世紀の農奴制に耐えられなくなった人が逃げるとどこまでも追いかけ、捕まる非道な仕打ちと死が待っている。

★当時のはぐれ者（ロマ？）たちの集団が描かれていた。
言葉も、違っていた。

★肌の色が黒い少女アンマイは、その肌の色ゆえに
「不吉」といわれて親にも疎まれている。

当時、ドイツでは、ジャガイモの栽培に成功していた。
デンマークでは、まだだった。

★ヨーロッパでは、貧しくてもパンを食べるのかと思いきや、お粥のような食べ物ばかり。
牛も飼っていないから、バターなどもつくれない。

★主人公は、静かなたたづまいに見えたのだが、
開拓が成功したら、貴族にしてくれと願い出るところが、ちょっと違和感。
この主人公役の俳優は、雰囲気があった。