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カテゴリ: 診療
 医師冥利に尽きる瞬間は、なんと言っても患者さんが治ったときや、ありがとうと言われたときですが、逆に医師をしていることが辛い瞬間もあります。毎日の診察で嬉しいこと、辛いことが交互にきますが、やはり術後の経過が悪かったり、病気が進行してしまっている末期の患者さんのところに行くのは精神的に辛いものです。
 癌が再発したり、手術で合併症が起きてしまった患者さんは一様にかなり落ち込んでいます。医師は治療するのが仕事であり、もちろん現状にあわせて処置や投薬をしなければなりませんが、人間同士である以上は元気のない相手を診るにはかなりの精神力がいります。辛い処置があるときにはご本人がぐったりしている隣でご家族が医師をにらみつけるような状態になることもあり、なかなかに疲れる作業ではあります。

 昔の医療現場では、処置の際には看護婦さんがそれとなくご家族を部屋の外に出して、医師の処置を間近で見ないような状況が当たり前になっていました。ここ数年で、現場の雰囲気が変わり、最近では医師の指示がなければ家族は自由にしてよいという考え方が「患者さんの立場に立った医療」を推奨する看護師(呼び名も変わりました)さん達から提案され、徐々に処置時にも真横で見ていたりすることが多いのです。時代の流れで、すべての物事がガラス張りになって密室での出来事を減らすということでしょうか。
 ことの是非はさておき、処置をする側の視点からいうと緊張感はかなり高くなります。さすがに医師になって10年以上経つと、見られているからといって処置をしくじったりすることは少ないのですが、やりにくい事は間違いありません。若い医師だと、じっと見られていることで固くなり点滴を失敗したり却って手が震えたりする事も多く、決してよいことばかりではありません。まあ個人的にはhead&neck自身はそういったプレッシャーをはねのけるほど強くなければならないと思って、むしろ自分たちの甘い部分を矯正するよい機会だと考えるようにしていますが、中には怒り出す医師も居たと聞きました。
 家族が居ようが居まいが上手に手技をやるコツを一言でいうとすると平常心ですが、なかなかそううまくはいかない場面もあります。うまくいかないときは自分の焦りや緊張を押さえる忍耐力が必要になってきます。

 ふと考えると、誰でも仕事をじーっと横で見られているとやりにくいものです。なにも隠す意志はなくとも、監視されている用で居心地が悪い。特に処置や手術のような、手技的な医療を行なう場合には、それを行なう医師の傍で家族が見ていることは、医師の集中力を奪うというマイナスの作用をもたらす面もあると思うのでした。


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最終更新日  2008.11.11 16:41:31
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精神力  
Hsiaohei  さん
病気を診ていただくだけじゃなくて、医者も患者も人間だから処置を行われる際にそういうことがあるんですね。

先日、休日に点滴の針を差し替えるとき、たまたま見舞いに来ていた家族の前で、若い研修医の先生が私に点滴できる場所を探すのを苦労していました。
家族も正直言ってちょっとその様子を「大丈夫かな~」という感じがありました。

入院中、回診できてくださる主治医先生もどんな気持ちなんだろうとこじれている症状の私は思うのでした。 (2008.11.11 17:37:02)

Hsiaoheiさん   
head&neck  さん
いつもありがとうございます。症状がこじれているのですか、辛いですね。どうかいつまでも読者で居ていただけることをお祈りしています。 (2008.11.12 20:16:57)

こんにちわ  
杏子 さん
私の概念では手術患者の家族は手術室の近くに待合室があって「手術中」の表示が見える場所と勝手に想像していました。私の大学病院の場合、家族は入院棟の待合室で待ち、手術室は別棟で、看護師さんが冗談で曰わく「密室」で、家族達は何が起こっているか知るよしもなく違和感ありましたが、よく考えたら、雑念なく専念するのは理想的だったのかな~と後で感じました。最も経過良好だったから、そんなこと言えるのかも知れませんが。
んおで、最近の大きな病院は、家族と切り離す形が多いのかと思いましたら、先生の処置を家族が見ていて場合によって睨まれる場合もあると聞いて、びっくりしています。 (2008.11.13 14:03:49)

そういえば…。  
PANDAの妻 さん
先生のおっしゃる通り、そういえば、最近は回診や先生がベッドにいらして下さる時等、ちょっと前なら、家族はお邪魔しないように場を外し、先生に質問する事があれば、先生が廊下に出ていらした時に聞く…、なんていうのが当たり前でしたけど、当然のように患者さんのそばにいる人が多くなりましたね。お見舞い客も然り…で。けど、それは、やりにくいでしょうねぇ…。大学病院の若いもん達なら尚のこと…。
しかし、そういうのまで、「ガラス張り」と表現するんでしょうか?診て頂いている側の常識とか気遣いとかっていうのも、患者として、きちんと考えていたいなぁ…と思いました。 (2008.11.13 22:03:42)

杏子さん PANDAの妻さん   
head&neck  さん
コメントありがとうございます。
考えかたは色々ありますが、結局現在の現場には人間的気遣いが欠けてきつつあること、相手も人間であるという想像力が低下してきていることが問題のような気がしますね。 (2008.11.15 12:39:02)

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