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源氏物語に「梅が枝」という巻があります。この短い巻の中で、一人娘の明石の姫を東宮妃として入内させる準備として、光源氏が薫物(たきもの)を調整する場面があります。
物語の中では「二種(ふたくさ)づゝ、あはせさせ給へ」つまり、梅が枝と黒方の二種ずつ調合することを、紫の上や明石の上などの女人たちに頼んでいます。
黒方(くろほう)は冬の薫物で、沈香をメインに丁子、白檀、甲香、麝香、薫陸を合わせた丸薬のような薫物です。梅が枝は、春の薫物で、黒方の処方に甘松などを加えたもので、その多くは漢方薬の原料です。
とはいえ私は、これらがどんな香りなのかを知りません。そこでさっそく「六種(むくさ)の薫物(たきもの)」を注文した、というわけです。
「六種」とは、黒方(くろほう)、梅花(ばいか)、荷葉(かよう)、菊花(きくか)、侍従(じじゅう)、落葉(らくよう)の六種類のお香を指します。
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