手にあるものを持ったお姉さん
今から何年か前・・・。
仕事帰りに、車で信号待ちをしていたときだ。
道の向こうから、見たところ３０～３５歳と見られる、きれいな
お姉さんが歩いてきた。
ステキなスーツを着て。
きれいな靴を履いて。
カッコいいバッグをさげ。
バッチリメイク。
ヘアスタイルも決まってる。
きれいなお姉さんを見るのが好きな私は、
「ほー、きれいやの～」
と思いながら見ていたのだけど・・・。
ん？
なんか違和感・・・。
なんだろう？
あ、もしかしたら、笑っているからか？
でも、ひとりでいても微笑んでいる方はいるし、別に違和感を
抱くほどでもないな・・・なんだろう？
と思ったとき、それが目に飛び込んできた！
それは・・・。
右手に持っていた・・・
や き と り
やきとり一本。
ほんとに、一本だったっ！
やきとりの袋もないの。
だから、どこかで一本だけ買ったんだと思うんだけど・・・
お姉さん、やきとり持って、嬉しそう！！
でも、持ってるだけで食べず、本当に嬉しそうに私の車の横を
通り過ぎていった・・・。
どれくらい嬉しそうかと言えば・・・
お祭りで、こどもがわたあめを買ってもらって嬉しそう！
なくらい、嬉しそうだった。
あのやきとり、結局いつ食べたんだろう。
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