映像四郎の百人斬り

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「安定」





 私の「飲み友達」の「地下鉄A子ちゃん」は、

 現在、まっとうな主婦になっている。

 今までの「地下鉄A子ちゃん」は、

 旦那さんと「SEX」しないという契約のもと、

 結婚していたので、

 お互いに、「自由恋愛制度」を導入していたのだ。

 夜も出歩き、朝帰りは、日常茶飯事。

 だが、脊椎に、「爆弾」を抱えた「地下鉄A子ちゃん」は、

 「LAST彼」と「SEX」したのち、

 脊椎の痛みで、3日動けなくなり、潮時を感じたそうだ。

 旦那さんも、夕方には、必ず帰ってくるようになり、

 ちゃんと、ご飯を作り、夫婦の時間を、過ごしている。

 「はは」も「ちち」も、亡くしてしまった、

 「地下鉄A子ちゃん」にとって、

 旦那さんが、「LAST家族」なのだということに、

 最近、気づかされたそうだ。

 「血煙」上げることもいとわず、

 「彼=恋人」を探し求めていた「地下鉄A子ちゃん」。

 現在、性欲がなくなり、気分が、落ち着いてしまったようだ。

 激動期は、私が、ひたすら、聞き役に回っていたが、

 安定期の現在は、普通に、私の話も聞いてくれた。

 知り合って、2、3年だが、初めての安定期だ。

 いつまで、続くかは、わからない。

 だが、旦那さんといて、初めて、寂しさを感じなくなったらしい。

 今までは、どんな「彼=恋人」といても、

 どこかで、寂しさを、拭えなかったそうなのだ。

 姿形は違っても、精神的な「オフィーリア」が、普通に、

 棲息していることが、東京の懐の広さだと思う。

 地方都市だと、市場が限定されるため、

 「血煙恋愛」は、どこかで、限界に達してしまうのではないだろうか。

 「不倫相手」に、「別荘地」で「拉致」され、

 相互の「SEX」漬けの日々を、送ったのち、旦那さんの前で、

 手首を切るなどの「騒動」を、繰り返していたら、

 地方の片田舎では、世間体が、悪くて、同じ場所に、

 住めたものではないんじゃないだろうか。

 今の日本では、個人化が、進んでいて、

 そんな地縁関係などというものは、

 全国一律存在しないのかもしれないが。

 都会というものは、規模が、増せば増すほど、

 自浄作用が強くなる。

 だからこそ、逆に、「地下鉄A子ちゃん」は、

 「恋人関係」を「血煙」あげながら、

 求めていたのかもしれない。

 しかし、「地下鉄A子ちゃん」は、不屈の人なのだ。

 いつ「女」に返り咲くかは、わかったものではないのだ。



 その「証拠」に、それから、数日後、

 私のもとには、またもや、「暴風雨」を暗示するメールが、

 着信していた。

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