PR
キーワードサーチ
フリーページ
このころの私は、強い感動と共に発見の成果を信じ込み、懐疑的に物事を見る冷静な心を失っていたのかもしれない。
「ゴッド・ハンド」と呼ばれ、藤村新一が遺跡から次々と取り出してみせた旧石器が捏造だと明らかになったのは 2000 年 10 月のことである。歴史好きの私にとって、このニュースのインパクトは大きかった。
本書の著者は、その藤村とともに石器時代の遺跡の発掘に携わり、捏造が発覚した時に文化庁主任文化財調査官の地位にあった。捏造発覚寺には渦中の人物として糾弾され、多くの著書が絶版になったという。
この本を出版することは、かなりの覚悟が要ったことだと思う。
本書を読んでいくと、考古学の発掘の手順の複雑さがよく分かる。手順が複雑であるがゆえに、発掘担当者に対する性善説で作業が回っていたようだ。このため、単純な捏造も見抜けなかったのだろう。
こうした事故が再発することのないよう、著者は具体的な提言をしている。
本書の終盤で、著者が藤村に再会した様子が記されている。この部分だけは小説めいているが、逆にその書き方がゆえに、著者や藤村が失った 10 年の歳月の重みを受け取ることができた。
旧石器遺跡の研究については、藤村が捏造を始めた 30 年前に立ち戻っているという。これは大変な痛手である。歴史の教科書の冒頭は、私が学んだ時のものと、私の子どもが学んでいる内容が大して変わらないということを意味する。
本当の“日本の始まり”はどこにあったのか、何十年かかってもいいから、じっくり入念に調べ上げてほしいと願う。
■メーカーサイト⇒ 岡村道雄=著/山川出版社(千代田区)/2010年11月発行 旧石器遺跡「捏造事件」
■販売店は こちら

【西暦2007年、人類は全面核戦争に突入】… 2025.11.08
【三重連星系から人類殲滅艦隊がやって来… 2025.10.27
【プログラマにおすすめ】「分かりやすい… 2025.09.14