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2015.08.30
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カテゴリ: 書籍
メカニックデザイナーの仕事論

メカニックデザイナーの仕事論

 アーティスト気質ではメカニツクデザイナーはやっていられない。(146ページ)
著者・編者 大河原邦男=著
出版情報 光文社
出版年月 2015年8月発行

アニメ「タイムボカン・シリーズ」「ガンダム・シリーズ」でお馴染みの、日本初のメカニックデザイナーである大河原邦男さんが、自らの仕事について振り返る。

大河原さんは、アニメのメカをデザインするだけでなく、アトリエの隣にある通称「大河原ファクトリー」でモックアップを作ることで知られている。本人は「モックアップを試作していくのには、別の理由もあります。私は絵がうまくないし、何枚も描くのが嫌なんです」(148 ページ)と謙遜するが、これが玩具メーカーの心を掴んで、何本ものアニメ作品を世に送り出してきた。大河原さんは、「空想のアニメだから、好き勝手にデザインしてもいいかというとそうでもない。私が心掛けているのは、たとえアニメの世界であったとしても『嘘のないデザイン』をすること」(20 ページ)と語る。

漫画やアニメより機会が分解することが好きだった大河原少年は、東京オリンピックのポスターに触発され、東京造形大学の 1 期生として入学。当初はグラフィックデザイナーを目指していたが、すぐにテキスタイルデザイン科に変更し、オンワード樫山へ就職する。すぐに結婚し退職、奥さんの実家の近くにあるタツノコプロに転職する。タツノコプロでは中村光毅さんの下で背景を描いていたが、やがてメカのデザインを担当するようになる。その大河原さんをして「あ、この人には一生かなわないな」(183 ページ)と感じさせる中村さんは、「ニルスのふしぎな旅」「うる星やつら」「北斗の拳」「風の谷のナウシカ」「フレッシュプリキュア!」などの美術監督を務めたアニメ界の恩人だが、残念ながら 2011 年(平成 23 年)に 67 歳という若さで他界している。

ガンダムのキャラクターデザインを担当した安彦良和さんについては、「ご本人は否定しますが、誰もが安彦さんを天才と言います。私もそう思います。あの口の悪い富野監督ですら安彦さんを天才と呼びますから」(188 ページ)と評する。
監督の富野由悠季との不仲説については、「もし本当に仲が悪かったら、40 年も仕事を一緒にしません」(190 ページ)と笑いを誘う。
大河原さんは、「私は仕事でないと絵を描きませんが、ものづくりは仕事抜きで大好きです」(206 ページ)という。そして、「ネジがたまらなく好き」とのこと。

大河原さんが今も一線で仕事を続けられるのは、好きなことを仕事にしているからだと感じた。若い頃に、進路や仕事を変えるのは、一種の通過儀礼なのだ。
そして、組織人であるから仕事を頼みやすいのだろう。大河原さんは、「アーティスト気質ではメカニツクデザイナーはやっていられない」(146 ページ)と指摘する。
いま、世間では東京五輪のエンブレムは新国立競技場のデザインで揉めているが、大河原さんの仕事っぷりを見習ってほしいものだ。






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最終更新日  2015.08.30 21:39:49
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