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2015.12.26
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カテゴリ: 書籍
自分のついた嘘を真実だと思い込む人

自分のついた嘘を真実だと思い込む人

 「相手の話をうのみにせず、『他者の欲望』を分析する」(153ページ)
著者・編者 片田珠美=著
出版情報 朝日新聞出版
出版年月 2015年9月発行

著者は、精神科医の片田珠美さん。2014 年(平成 26 年)の STAP細胞事件の小保方晴子氏、ゴーストライター騒動の左村河内守氏、号泣会見の野々村竜太郎・元兵庫県議などを取り上げ、息を吐くように嘘をつく人の傾向と対策を解説する。SNS 上で「息を吐くように嘘をつく人」が増えている感じを受けたので、本書を購入した。

まず、片田さんは、嘘つきの片棒を担ぐイネイブラー(支え手)にならないようにと注意を呼びかける。そのために、プチ悪人になることを勧める。
第1章で、嘘をつく動機として、自己愛、否認、利得の 3 つをあげる。このうち近年増加傾向にあるのが、自己愛のための嘘という。親から過大な期待をかけられたり、匿名性をいいことにネットでいい格好するためにつく嘘がそれである。
問題は、嘘をつくことそのものが目的になっている人だ。パスカルは『パンセ』の中で、「この世には、嘘をつくという目的のためにだけ嘘をつくという人も存在する」(27 ページ)と述べているとのこと。どうやら人類は、この 350 年間、進歩していないようである。

息を吐くように嘘をつく人のまわりには、嘘つきに心酔するイネイブラーがいるという。片田さんは、そうした嘘つきの「『他者の欲望』を察知する能力の高さ」(40 ページ)を指摘する。欲望をくすぐられ、イネイブラーになってしまうのだ。イネイブラーもまた、犯罪者である。

片田さんは精神科医という立場上、患者の訴えを信じていたが、イネイブラーにならず、嘘つきを見破るためには、「性善説だけではやっていけないことを痛感」(128 ページ)したという。まず、「嘘をつく人は○○しがちという思い込みにとらわれて、相手が嘘をついているかどうかを判断するのは危険」(145 ページ)、「嘘を見抜くのにこれといった決め手があるわけではない」(158 ページ)としながらも、「相手の話をうのみにせず、『他者の欲望』を分析する」(153 ページ)プチ悪人になることを勧める。そして第5章では、さまざまな質問によって、嘘つきに喋らせ、尻尾を掴む方法を紹介する。「究極の目的は敵失を誘い出すことにある」(186 ページ)。

第6章では、嘘が分かったときの対応だ。まず、「嘘の証拠を突きつけたら、相手が正直に白状するだろうなどという甘い期待は捨てなければならない」(194 ページ)とアドバイスする。最後に、「『プチ悪人』になって観察力と分析力を養い、自分の身は自分で守っていただきたい(217 ページ)と締めくくる。

私は性善説を信奉していたはずだが、仕事などリアル世界で歳をとるうちに自然に、片田さんが勧める「プチ悪人」となっていた(苦笑)。ただ、ネット世界では、片田さんが言うようなプチ悪人にならずとも、より多くの人の投稿に目を通していれば、自ずと嘘つきがあぶり出されるように感じる。とりあえず Twitter では、耳が痛い意見を言うアカウントをブロックせず、傾聴してみることをお勧めする。






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最終更新日  2015.12.26 12:24:39
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