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著者・編者 | 海堂尊=著 |
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出版情報 | 宝島社 |
出版年月 | 2018年4月発行 |
テレビ・ドラマ化された『 ナイチンゲールの沈黙 』で活躍する玉村誠警部補が、リフレッシュ休暇で四国遍路に出掛けた。そこへ、上司の加納達也警視正が無理矢理に同行する。遍路の途中、2 人は次々に事件に巻き込まれる――。
まず徳島では、賽銭泥棒の容疑者として逮捕された女性の無実を証明する。
次の高知では、10 年前に起きた政治家秘書殺害事件の容疑者の鉄壁のアリバイを突き崩す。銀塩時代のカメラを知る各位は、ニヤリとさせられるトリックが仕組まれている。そして愛媛では、蚊を信仰する謎の寺院で失血死体に遭遇。海堂先生がホラー小説を書くわけもなく、本編でも活躍する Ai の専門家、放射線科医の島津吾郎が滞在先の道後温泉から召還され、死因を探る。
4県目の香川では、ひょうげ祭りに爆破予告があり、これを未然に防ぐのだが、背後には闇の組織が――なお、ひょうげ祭りも屋島水族館も実在している。とくに屋島水族館は、2006 年に事業譲渡され新屋島水族館として営業再開しているところも物語と同じである。
4 本の短編は、小気味の良いテンポで進み事件を解決してゆく。加納と玉村のデコボココンビの温泉ミステリーというだけで笑えるのだが、四国遍路という実体に対する虚構のブレンドが絶妙である。宗教という禁忌領域でこれをやるのが、海堂ワールドの真骨頂。ちなみに、わが家は真言宗であるが、最後に単行本書き下ろしの高野山エピソードがある。金剛峯寺や奥ノ院のユーモアのある描写は珠玉の出来映え。好奇心と笑いとで、最後まで楽しく読むことができた。
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