私と子ども

☆私と子ども

私のもっとも苦手なものは「共感」だ。
おそらく親との関係がうまくなかったためだと思う。
記憶の中に「そうね」「よかったわね」の言葉は無く、「そんなことじゃだめ」のお説教と、「やせっぽち」とか「ヒステリー」などのネガティブな批評だけが残っている。
だから家ではどうでもいいこと以外決して喋らなかった。「自分の問題」と切られるのがわかっていたからだ。
いつのまにか「うれしい」「かなしい」と感じるためには、誰かが必要になっていた。
子どもがうまれたとき、一も二もなく「やったー」と大喜びする自分がいたらよかったが、私には「妻が母になれたこと」が嬉しかった。

誰かが困っていたら「手を貸さずにはいられない」気持ちに駆られるのではなく「手を貸した方がよいのでは」と考えて行動する。表向きは優しい人と似ているが、実際はちょっと気の利かせかたを知っているに過ぎない。

大人同士ならこれでも何とかなるかもしれないが、子どもには通用しない。
いつか「パパってほんとは優しくないんだね」と気づかれると思いものすごく不安になった。

でも子どもはいつも「パパ、パパ」と言ってくれる。

子どもが私を「パパ」として受け入れてくれる。
だから私は応えよう。
言って欲しかった一言を、私が子どもに言ってやろう。
私の孤独は私で終わるように。

子どものそばにいて、頭に手を置いて、「よく頑張ったね」っていつでもいってやれるようにしたい。
親のできなかったことを子どもに託すべきでないが、一つだけ託したい。
「夢をもつ」ことだけは。


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