ナンパ男

私が初めてイタリアを訪れたのは、今から20数年も前のことである。ファッションの本場フランスやイタリアを訪れ、彼らの優れた感性を、直に肌で感じたかった為だ。
生まれて初めての海外旅行だったが、経費節約の為、私は旅行会社を頼ることなく一人でヨーロッパに旅立った。一応予定は立ててはいたが、行き当たりばったりのヨーロッパ周遊40日間だった。
イギリスを側きりに、フランス・イタリア・スイス・スペインなど、ユーレイルパスというヨーロッパ周遊券をフルに活用して各国を廻ったのである。

うら若き、しかも美しい(?)日本人女一人旅である。当然の如く私に声をかけてくる男達が山ほど居た。
数多く訪れた国の中で、声をかけてきた男達の多さは、 ダントツでイタリア である。
この初めての一人旅以降も、私は仕事や遊びで幾度もイタリアを訪れていたが、毎回ナンパされた回数は相当なものだ。。
とにかく、イタリア男達のナンパは尋常ではない。

別にイタリア男が全てナンパをしている訳ではないが、イタリア男達に聞くと
「美しい女性に声をかけないのは失礼」
というホントか嘘かわからん言葉が返ってくる。
誉められて悪い気はしない訳だが、要するに彼らのほとんどが下心を持って声をかけてくるに違いない。悪い風に考えれば、ナンパをされる女というのは、軽い女に見られているとも言えなくもない。

外国人に声をかけてくる男達は、当然の如く英語がある程度話せる訳で、ひどい輩になると片言の日本語を話す。そんな男達に対して、多くの日本女性達はヘラヘラと笑ってNOという言葉が言えないのである。
「NOと言えない日本人」という本が出版された事があったと記憶しているが、まさしくその通りなのである。
このヘラヘラ笑いが、ナンパ男達に誤解を招くのだ。
とにかく一部の日本人女性達は、NOと言わず笑みを浮かべているだけならまだしも、彼らの甘い言葉にヒョコヒョコ付いて行ってしまうのである。街なかのバール(喫茶店)へ歩いて行って、お茶を飲むだけなら、国際交流を深める結構な機会なのだが、困った事に彼らの車に乗ってしまったり、彼らの家を訪ねてしまったりする。

ヨーロッパでは、良家の子女は見知らぬ男の車に乗ったり、ましてや男のアパートなどには足を踏み入れないものだ。男のアパートに行くという事は、つまりは「肉体関係OKですよ」ということになる。
何年か前に、卒業旅行でイタリアを訪れた日本の女子大生6人が、複数人数という安心感からナンパ男の口車に乗って彼のアパートに行き、日本刀で脅された上強姦されたという悲しい事件が起き、日本のニュースでも取り上げられた。
実はこの男、イタリア人ならぬイラン人だったのだが、このニュースでイタリア男の評判も地に落ちたのである。

日本も最近随分危険になったが、特に外国ではお気を付け頂きたい。
アメリカでは、ナンパにヒョコヒョコ付いて行く日本人女性達の事を「イエローキャブ〔手を上げれば止まるお気軽タクシー〕」と呼んだり、フランスでは「コンソメ〔consommationを略して/消費物〕」と呼んだりもする。
イタリア・ヴェネッツィアの医者の知り合いなどは、今までに落とした日本人女性の写真を、自慢げに私に見せる最低ぶりだ。
「異国での一時のロマンス」も結構なことだが、後悔される事なき様に!

こんな最低ナンパ男達は、逆手を取って利用してやろう!
お茶に誘われたら、近くのバールで高いジュースやサンドイッチを注文しよう!
お昼なら、レストランでも行ってたらふく食べよう!
食事が終わったらお支払いは彼に任せて「グラッツェ」と言い、そそくさとナンパ男とおさらばしよう!しばらく彼等はしつこく付いてくるだろうが、お昼間の街なか、公衆の面前で襲ってはこない。
この時こそ、愛らしい笑みを吹き飛ばし、般若の面相でNOと言うのだ。
バス停を見付けたら立ち止まり、バスが来たら乗ってしまおう!次の停留所で降りれば済む事だ。一駅くらいなら無賃乗車もどうってことない。

金持ちそうな紳士然とした男なら、ちょうど良い機会だ。前から欲しかった高価なブランドバッグでもアクセサリーでも買ってもらおう!
商品を受け取ったら、これまた「グラッツェ」と言って彼の元を去ろう!彼も紳士然としているだけに、後を追うようなみっともない真似も出来ず、心の中で「オイ、待て~!」と腕を伸ばして歯軋りしていることだろう。

但し、これらの事が出来るには、私のように相当の根性がある女か、ある程度言葉が話せなければならない。
そして一番大事なのが、お昼間の人通りの多い街なかで実行する事だ。ただお昼間と言っても、ここイタリアは観光地以外では、昼の1時から4時頃までは、皆家に帰って食事をする時間なので人通りは極端に減少する。彼とレストランで食事するなら、人通りが戻る4時頃までレストランで粘る事にしよう!

私も随分(?)年を取った上、出産後は流石の美貌(?)も少々衰え、最近はナンパしてくる男も頓に減った。
まあ、一人で外出する機会がほとんどないということもあるだろうが、きれいなオッパイが完成して落ち着いたら、思い切りお洒落をして一人で町へ降りてみよう。最近のイタリア男達のナンパ状況調査の為だ。
ここ最近のナンパ経験と言えば、妊娠6ヶ月の時にローマで幾人かが声をかけてきたが、「妊婦を誘ってどうすんの?ただのチョッとしたオデブさんに見えたのかしらん?」とショックで、お茶さえ飲まずにシカトしたのと、今年初めに、娘と一緒にもかかわらず声をかけてきた60歳にもう一息のおじさんだけ。
このおじさんとはお茶を飲んだが、私には珍しく割りカンにさせて頂いた。
娘のフルーツパフェまでおごらすのは気が引けたのである。 イタリアナンパ経験初めての自腹 であった。


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